空と無と仮と

渡嘉敷島の集団自決 公式見解としての「渡嘉敷村史 通史編」①

「渡嘉敷村史 通史編」を取り上げる理由


 当ブログを読んでくださる方々がお住まいになる都道府県や市町村には、発行年月日に相当な隔たりがあるにせよ、必ずといっていいほどに、各自治体の古代から近現代までの歴史を編纂した書物が発行されております。そういった歴史に興味がある方なら自ら購入したり、あるいは各自治体の図書館にて、自らが居住する自治体以外の書物もお読みになったりしたことがあるかもしれません。
 当然のことながら渡嘉敷村にも「渡嘉敷村史 通史編」と「渡嘉敷村史 資料編」という二種類の編纂された書物があり、渡嘉敷村の歴史にとどまらず、その自然環境や文化といったものや民俗的な観点からの視点も、緻密に詳細に解説されております。
 そしてこれも当然のことながら、沖縄戦における渡嘉敷村の様相、すなわち「集団自決」に関することも記載されております。

 では一体、渡嘉敷村という自治体が発行した「渡嘉敷村史 通史編」には、集団自決に関することについて、どのようなことが書かれているのでしょうか。
 今回はその点に着目して考察していきたいと思います。

 集団自決に関する研究書や書物は数多くあるのに、なぜ「渡嘉敷村史 通史編」に着目するのかという点については、タイトル通り「公式見解」という解釈が可能だと思うからです。
 別の言い方にすれば、渡嘉敷村という自治体が公式に「認定した事実」ということにもなります。つまり、そこに書かれているのは紛れもない「事実」であることを、渡嘉敷村が保証するかのように認めているということです。

 自治体が歴史に「お墨付き」を与えること自体の是非はともかく、集団自決や沖縄戦全体の研究・考察、あるいは学校教育における平和学習にて、陰に陽に多大で広大な影響を及ぼしているはずであると思われます。これはなにも渡嘉敷村に限ったことではなく、沖縄県内の各市町村にとどまらず沖縄県史に関しても同様です。
 また、沖縄戦に関する定番中の定番ともいえる「鉄の暴風」と、双璧をなしているといっても決して過言ではないかと思われます。

 従って看過することはできないと確信しております。

 そうでありますゆえ、「渡嘉敷村史 通史編」をあらためて考察していくことが、集団自決の「実像解明」の一助にもなるのではないかと考えた次第でございます。

 なお、今回は「渡嘉敷村史 通史編」のみの考察で、「渡嘉敷村史 資料編」に関しては参考程度に取り上げるつもりです。また、今後は便宜上「渡嘉敷村史 通史編」を「通史編」と表記いたします。


次回以降に続きます。


参考文献

渡嘉敷村史編集委員会編「渡嘉敷村史 通史編」(渡嘉敷村役場 1990年)
 


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