防衛費の伸びが続く(⇒引用:朝日新聞記事)。中国の驚異があるから当然云々、訳知り顔で語る者達(自称保守・愛国者≒ネトウヨ)がネット上に溢れているが、これらの意見に疑問を持つ人も多いであろう。大きく疑問点は2点でてくると思う。
1点目、防衛問題が日本国が対処すべき優先課題なのだとろうか。2点目、中国は日本が敵対すべき敵国なのだろうか。気づく人は気づいていると思うが、1点目と2点目は相互に関係する論点である。ここでは1点目の論点について述べてゆきたい。
そもそも、日本の国力の源泉は何かと言えば、それは経済力であることを否定する人はそう多くはないであろう。日本には経済力があるから、対外援助等を活用した外交を展開できるのであり、また、諸外国に比べて遜色の無い装備品で自衛隊は武装できるのである。
では、本邦の経済力の源泉は何か、と言えばそれはⅠ労働力人口とⅡ技術革新を支える科学技術であることも論を俟たない。これに疑義のある人は、以下の私の指摘はチンプンカンプンであろうから、これ以上読まない事を勧める。なお、なぜそう言えるのか疑問に感じる人は、以下の引用を読むことを勧める。(リンク⇒内閣府資料/財務省資料)
Ⅰの労働力人口が重要と言えば、まず、取り組まなければならないのは、どのようにして労働力人口を維持・増進するかである。そのためには、①女性・高齢者の労働市場参入 ②少子化対策 ③外国人労働者の受け入れ(移民)となる。安倍政権下において善し悪しは別として①は及び③はそれを実行ならしめる基盤は整備されたと言える。②に物足りなさを感じるものの、菅政権が不妊治療の保険適用を重視政策にしていることから、安倍政権においてもその重要性は認識されていたのであろう。但し、少子化対策は産むだけではだめであり、①との関連になるが、幼児や児童を育てる環境、所謂子育て環境の整備も重要である。この点、今後充実する必要があるであろう。
話は変わるが、自称保守・愛国界隈≒ネトウヨは安倍政権を礼賛しているわけであるが、彼らの価値観は核家族的家族感重要、移民反対であったはずである。安倍政権で進んだのは労働力人口維持のため、女性及び老人の労働市場参入推進策であり、外国人労働者の受け入れ態勢整備である。彼らが何を支持していたのか理解に苦しむところである(一見したところの対外強硬的な姿勢と戦前社会の肯定程度のものなのであろうが)。
話を本題に戻し、Ⅱの技術革新を支える科学技術を如何に振興するかであるが、これは人材をどのように確保するかであり、方策としては①教育の充実による人材の育成 ②外国からの優秀な人材獲得 ③学術機関の研究費の充実 ということになろう。なお、科学技術と言えば所謂理系をイメージすると思うが、学際的な研究の重要性が言われている今日、上記①~③について文理とわずということをここでは指摘しておきたい。
ここまでの結論をまとめると、我が国の喫緊の課題は少子高齢化対策及び教育レベルの維持であり、防衛予算を増額するより、防衛費よりこちらの予算の充実を図る必要があるとなる。少なくともOECD内で対GDP比最低割合の支出(リンク:参院資料)という現状は改善すべきであると言える。
安倍政権及びその継承政権である菅政権は、上記Ⅰの労働力人口の増加については、新自由主義的かつ国民の福祉とバーターではあるものの、それなりの政策はしている(していた)といえるものの、上記Ⅱの教育という面では不十分である(あった)と言わざるを得ないであろう。
ここで話が発散するが、いずれにせよ、上記Ⅰ及びⅡに共通するのは、外国人活用(受け入れ)である。これを前提とすると、我々は、日本社会の外国人(特に東アジア)排除的な社会風土では早晩日本社会は立ち行かなくなることを認識し、行政は外国人受け入れを前提とした制度設計を行い、また個々の日本人特に日本の国益云々叫んでいる奴輩は、今後の日本は外国人と共存していく社会になること、またはそうならなければ国際社会における日本の相対的地位は低下してしまうことを認識しておくべきであろう。