汨羅の観察人日記(一介のリベラルから見た現代日本)

自称『リベラル』の視点から、その時々の出来事(主に政治)についてコメントします。

商売としての新聞

2013-04-21 14:06:59 | メディア全般
ネットにおいて、「マスコミの報道は偏向している」との書き込みが溢れ、「マスゴミ」なる用語が使われている。偏向しているという指摘は、多分に「自分の考えに合致した紙面作りではない」という側面が強く、額面どおり受け取ることのできない指摘ではあるが、マスコミが偏向しているというのは、その性質上、偏向するのが当然と言えなくも無い。

マスコミの報道というと、大きくテレビにおける報道番組と新聞(本記事では全国紙を前提とする)に区分されるが、ここでは新聞について取り上げる。なお、テレビはどうしたという指摘があるだろうが、テレビの報道番組に関しては、以下に述べる新聞に関する事項が、「視聴率」「スポンサー」という形でもっと端的に出るだけである。

さて、新聞というものを考える上で考えなければならないのは、;">【新聞は売り物】であるということである。つまり、新聞を販売するにあたっては、購読者層があり、当該購読者層に購読してもらえる、【お金を出して読んでもらえる商品】にしなければならない。

また、新聞社の収益として重要なのが【広告】である。このため、広告主に広告を出してもらえるような【媒体】にする必要がある。

このように書くと、新聞は【商品】であるため、商品として売れることが前提となるということを理解してもらえると思う。従って、新聞の論調を評価するに当たっては、社が左翼・右翼・保守云々は余り意味がなく、それぞれの新聞が①どのような読者層をターゲットとして紙面作りをし、②どのような広告主に広告を出してもらうかという営業を行っているかという視点が必要になる。
②の視点は、後日、マスコミは日本エスタブリッシュメントの一員であるということについて記述する予定なので、今回は①について述べたい。
それぞれの新聞がどのような層をターゲットとして紙面作りをしてるかということを考えると、各新聞の論調というものが見えてくる、又は論調について納得できると思う。
まず、成年日本人の大多数は【それなりの高等教育(高校以上)を受けている】ということを前提とすると、各新聞の論調から、私が判断する各新聞社の主要ターゲット層は以下の通りである。

1・朝日新聞:それなりの高等教育を受けた層のうち、国内経済に関しては所得の再分配にある程度理解を示すことができ、外交においては国際協調路線に理解を示すことのできる層。
2.読売新聞:それなりに高等教育を受けた層のうち、国内経済については自由競争の結果による格差の発生をある程度是認でき、外交においては対米協調を前提としたタカ派路線に理解を示すことのできる層
3.毎日新聞:それなりの高等教育を受けた層のうち、朝日新聞的な論調及び読売新聞的な論調、どちらにも理解を示すことのできる層
4.日経新聞:それなりの高等教育を受けた層のうち、特に大・中企業において就業している層
5.東京新聞:それなりの高等教育を受けた層のうち、、国内経済に関しては所得の再分配に重きをなすとともに、どちらかといえば、自由民主党が体現する保守的なもの(私的に表現すると現状維持)に批判的な層
6.産経新聞:自民党以外の政党を批判することが「保守」であり、中国・韓国を批判することが愛国的な行動だと信じている層

大手新聞はこのように分類できると思う。

このように見ると、1の朝日新聞購読者層のスタンスと、6の産経新聞購読者層の認識は全く違うので、6から見て1が偏向していると思えるのは当然といえば当然である。しかし、6の産経新聞のスタンスはどのように理解しても『真ん中・中立的な判断の基準』とはならないため、6の産経新聞購読者層が1の朝日新聞及びその購読者層を批判したところで、道路の右隅から自分の左側にあるものを全て左といっているに過ぎないと言える。

新聞を読んで一喜一憂しないためにも、新聞とは単なる商品であり、日本社会のいずれかの層に売り込むために紙面作りをしていると割り切って読んだほうがよいだろう。

また、新聞は知識を伝える商品なので、新聞が日々伝える情報量は相当なものである。新聞の上記特性を理解しつつ、日々新聞を読むと、その積み重ねによる知識量は相当なものになると思う。(産経新聞はプロパガンダに近い紙面作りなので、情報量を増やすという観点からは他紙に劣ると、個人的には認識しているが。)