昨今、メディア等で中国脅威論が幅をきかせている。また、韓国敵視の言質をネット上で姦しく騒ぎ立てる者が跋扈している。そして、これらを騒ぎ立てている者達の言質は端的に言ってステレオタイプに過ぎない。更に言えば、プロパガンダに乗ぜられているとしか表現のしようがないであろう。
「戦争のプロパガンダ10に法則(草思社文庫)」によるとプロパガンダにおいては以下のことが主張されるとある。「我々は戦争をしたくない」「しかし敵側が一方的に戦争を望んだ」「敵の指導者は悪魔のような人間だ」「我々は領土や覇権のためでなく偉大な使命のために戦う」「我々も意図せざる犠牲を出すことがある。だが敵はわざと残虐行為に及んでいる」「敵は卑劣な兵器や戦略を用いている」「我々の受けた被害は小さく敵に与えた被害は甚大」「芸術家や知識人も正義の戦いを支持している」「われわれの大義は神聖なものである」「この正義に疑問を投げかける者は裏切り者である」
どうであろうか。敵を中国や韓国に置き換えると、本邦におけるメディアやネットにおける一部のノイジーな方々が言い立てている内容と同じである。つまり、本邦で「反中」「嫌韓」をがなりたてている者達は、ネットやテレビといった伝達手段を用いてプロパガンダをしているだけの、またはそれを真に受けて義憤に燃えている知的に低劣な方々、という結論に達する。「反中」「嫌韓」をネット等で騒ぎ立てている馬鹿を「ネトウヨ」と世間一般では称しているので、結論を簡単に表現すると「ネトウヨは朝から晩までプロパガンダを流している、またはそれを真に受けて日々興奮している知的水準の低い方々」という表現になるのだが、論考をここでやめては面白くない。日本社会に蔓延するこのプロパガンダが出てきた背景を若干陰謀論的に考察してみる。
私は、上記プロパガンダを朝から晩まで垂れ流し、またはそのプロパガンダを信じメディアやネットで知的レベルが低そうなことを延々と述べている者が本邦社会に散見されるようになった背景として、①安倍政権・自民党による世論誘導及び②ロシアによる工作の成功があると睨んでいる。
①について、そもそも自民党は橋本行革以降、日本社会をアメリカ型に変えようとしてきたと言える。この点は、「日本経済30年史(岩波新書)」に詳しいが、アメリカ型社会とは畢竟、自由競争を社会発展の基軸とし、国民間にある程度の所得格差が発生するのを是認・推奨する社会であるといえる。そういう社会に日本社会の構造を変えて行くということは、所得による国民の分断線が生じるということである。これにより生じた所謂負け組の不満を解消する手段としてナショナリズムを煽るという下策を安部政権・自民党は採用したと私は推測する。そして安倍政権・自民党は、中韓が経済力をつけてきたという状況、つまり相対的に東アジアにおける日本の地位が低下したという状況を受け、日本人が有する中国人・韓国人への蔑視・差別意識を利用し、負け組の不満の矛先が中国及び韓国に向くように世論誘導したのではないかと推測する。そこにロシアが含まれないのは、政権放棄×2男(安部晋三)が日ロ平和条約締結に妄執していたからであろう。事実、いつも愚かなコメントを発している阿比留瑠比・門田隆将・有村香等メディアに蔓延るの所謂安部応援団の馬鹿どもの口からは中国云々・韓国云々聞くことはあってもロシアについて聞くことはなかったのは状況証拠としてこの証左であると考える。
②のロシアの工作については、冷戦時代の旧ソ連よりロシアによる日本社会各層への工作は継続的になされているとみるのが適当であろう。その一端として、冷戦時代より愛国チックな論調で有名な産経新聞関係者(論説委員)もドップリ浸かっていたレフチェンコ事件(証言)(引用:衆院質問主意書、警察白書)というものがある。ロシアの対日工作の目的は、警察白書でも指摘されているが、日・米・中の離間、親露ロビ-の扶植、北方領土返還運動の鎮静化等であると推測される。そして、昨今の日本社会における反中・嫌韓感情とロシアに対する甘い見方を鑑みるに、ロシアは日本においてその協力者を利用し反中・嫌韓感情を煽ることにより、第二次世界大戦以降日本社会に根強かった、ロシアに対するネガティブ感情をそのまま中韓にすり替えることにある程度成功したのではないかと考える。
そもそもロシアの脅威は依然として健在である。これはロシアの動向及びアメリカの安全保障政策を追っていれば自明のことである。現に本ブログを書いている時点でロシアが米国に大規模なサイバー攻撃をしていた可能性について報道されている(BBC 2020/12/20)。何故、政権寄りの者達の口から中国脅威論、韓国怪しからん論しか出てこないで、ロシアに関する言及が少なかったのか不思議でならなかったが、上記に挙げた理由、則ちA.経済的格差生起に伴う社会の分断線を、中韓を対象にしたナショナリズム喚起で克服しようとしていたこと及び、B.政権放棄×2男(安部晋三)の日ロ平和条約締結という妄執を自民党・外務省及び安部応援団を自認する馬鹿どもが忖度した結果ではないかと推測するのである。これに上で述べたロシアの工作がある程度効を奏した結果であると思う次第である。つまり、安倍政権に群がっていた馬鹿どもはロシアを結果的としてアシストしていたと言うのが私の見立てである。
日本社会が「反中」「嫌韓」に傾斜して得する国はどこかと言えば、本邦周辺ではロシアであろう。事実、「反中」「嫌韓」を喧しく言い立てる輩に「ロシアはどーなんだ?」と聞くと、「ロシアは親日国。ロシア人は日本人を尊敬し、恐れているので脅威ではない」と驚天動地なことを言い出す者に出くわすことが、最近多くなった。そもそもスラブ系ロシア人はモンゴロイドに根深い差別意識をもっており、日本人だけは例外ということはない。これは、ロシアを多少知っている者は誰であれ否定はしない事項である。現に北方4島を不法に占拠し、極寒のシベリアに同胞を拉致し搾取し、ほんの数十年前まで我が国に陸軍を本格的に侵攻させる能力を有していた国の正統後継国家に対し、今の日本においては全くと言っていいほど問題にされていない。むしろ、政権放棄×2の無責任男「安部晋三」が日ロ平和条約締結に前向きだったのと平仄を合わせるかのごとく、「反中」「嫌韓」の盛り上がりと反比例して、「対露警戒」は日本社会にどこかに消え去ってしまったような状況である。
日本の公安部署は、反中・嫌韓を姦しく騒ぐ旧安部応援団の背後を徹底的に洗うべきである。そしてロシアとのつながりがあれば、それを白日の下に晒す等しなければ、今後、本邦社会はロシアの工作下、おかしな方向に向かってしまう可能性があると危惧する。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます