新型コロナウイルス（COVID-19）

1.中国武漢市の海鮮市場で蝙蝠を捌いた際に人に感染したと伝わるが、武漢近郊にはBLS-4（バイオセーフティレベル4）の研究施設があり、そこから漏出したとの説もある。

感染後1〜14日で発症する。多くは3〜7日で発症。

 

2.感染経路は接触感染、飛沫感染。空気感染に近いエアロゾル感染。感染力の高さから、空気感染も疑われる。

R0(感染の強さ)は2.5から3以上が考えられる（SARSは3）。

 

3.症状　

無症状　1.2%   回復

軽症　　80.9%  回復

重症　　13.8%  回復

重篤　　4.7%   2〜3％が死亡

　　　　　　n＝72314（中国）

 

発熱や空咳、倦怠感が主症状。

一部の患者には鼻閉、鼻水、咽頭痛、筋肉痛、下痢が見られ、重症患者は発症後7日間程度ののちに、呼吸困難や低酸素血漿に陥る。

重篤者は急性呼吸器症候群から脳毒症ショック、代謝性アシドーシス、血液凝固障害、多臓器不全などを併発する。

重症や重篤患者には病歴があった。

軽症感染者では微熱や軽い倦怠感があるが肺炎像は見られない。

血液検査値は、白血球は正常範囲かやや低下、リンパは減少。

重篤患者では炎症サイトカインの上昇がみられた。

新型コロナウイルスは鼻咽頭、喀痰、血液、糞便から検出される。

発症初期段階ではレントゲンフィルムに小さな斑状陰影間質性肺炎がみられ、進行するとすりガラス状陰影と浸潤像が発現する。

 

4.死亡率n＝44672（中国）

0〜9歳　　0%

10〜19歳　0.2%

20〜29歳　0.2%

30〜39歳　0.2%

40〜49歳　0.4%

50〜59歳　1.3%

60〜69歳　3.6%

70〜79歳　8%

80歳〜      8%

 

乳幼児の死亡率の低さから、乳幼児期に接種した多種類のワクチンのいずれかが関与している可能性がある。

 

5.治療薬　候補

日本では

ロビナビル/リトナビル配合薬（抗HIV薬カレトラ）

ファビピラビル（抗インフルエンザウイルス薬アビガン）

レムデシビル（エボラ出血熱薬）

シクレソニド（喘息吸入薬オムベスコ）

 

抗HIV薬ダルナビル/コビシスタット、抗マラリア薬クロロキン、抗ウイルス薬のインターフェロン、抗インフルエンザ薬オセルタミビル（タミフル）、抗インフルエンザ薬バロキサビル(ゾフルーザ)、ステロイドのメチルプレドニゾロン、抗IL-6受容体抗体のトシリズマブが臨床試験として中国で使われている。

 

カレトラは副作用(下痢、嘔吐、肝障害)大。

アビガンは催奇形性(男女とも)あり。

シクレソニドは副作用小。

 

武田は患者の血漿製剤の高免疫グロブリン製剤TAK-888を急遽開発中。

米国ファイザーはSARS-CoV-2に抗ウイルス活性を示す化合物を特定し、開発続行中。

米国ビル・バイオテクノロジー社はCOVID-19に対するモノクローム抗体を中国へ導出。

リジェネロン、イーライリリーは抗体を、アルナイラムはsiRNAを開発中。

 

6.ワクチン

米国モデルナ社は開発中のmRNA-1273の治験薬を2月24日に初出荷。NIAIDがP1試験を開始。n=45で8週間後に効果判定。

CEPIは、米国イノビオ、豪クイーンズランド大、ドイツギュアバック、米国ノアバックス、英オックスフォード大とワクチン開発で提携。

ノババックス社は4月半ばにナノ粒子ワクチンの治験を開始。

グラクソスミスクライン社はアジュバント技術でCEPIに開発プログラムに協力。

仏サノフィ社、米国ジョンソンエンドジョンソン社がワクチン開発を表明。

日本ではアンジェスが阪大と共同でDNAワクチン開発を発表。タカラバイオとダイセルが協力を表明。

田辺三菱は現在非臨床試験を行ない、8月には臨床試験開始。