いいところをつく

企業年金の書類が来る。なんでも、全額年金を選択するか半分一時金で貰うか、全額一時金を選択するか、極めてややこしいが、よく読むと、いいところをついている。丁度10年後くらいで、全額年金で貰っていた方が得をする勘定になっている。70才・・・いいところだ。親友や幼馴染みがバタバタ死んでいった私としては、一時金を選択する方がいいかもしれない。
だが、この一時金制度、厚生年金や国民年金にはない。あれば、そちらを選択し、あとは生活保護で…などと考える不埒な者が出てくる恐れがあるからだろう。私の場合、30歳の頃に自分の60歳を夢想だにしなかった。ところが、瞬く間に還暦を目前にした。今、30歳でニートをしている者が、『俺には老後はない』と、虚無を決め込んでいたとすれば、大間違いだ。少年老易学難成。明日には子育て世代も白髪の老人になっているかもしれないのだ。
また、60歳になる前に、私の友人たちのように死んでいってしまうかもしれないのだ。55歳で死んだ大学時代の大親友の教師、57歳で死んだ幼馴染みのベーゴマ仲間、彼らは三途の川の渡船場で、私の到着を待っているかもしれない。『年金もらえていいなぁ…』などと呟きながら。なので私は、貰えるものは貰える身体があるうちに全て貰う方式でいく。