1月11日、元YMOの高橋幸宏が亡くなった。まだ70歳という若さだが、2020年に脳腫瘍の摘出手術を行ったことを公表。手術は無事に成功したと伝えられていたが、ここ数年は体調不良というニュースもあったが、今年の年明けに脳腫瘍により誤嚥性肺炎の為、死去との訃報が伝えられた。先日、坂本龍一に関するブログでも書いたが、坂本龍一もガンを患っているらしくとても心配だが、先に高橋幸宏が亡くなってしまうとは本当に残念である。
高橋幸宏と言えば、なんと言ってもYMOが一番に思い浮かぶ。昔からダンディで、正直YMOの中では一番オシャレでイケメンであったと思う。細野も坂本もある意味天才肌で、ちょっと“変態”気質でもあると思うが、その意味でも高橋は普通にまともなミュージシャンという印象を長年勝手に抱いていた。細野と坂本が意見の違いで揉めた時は、高橋が間に入って調整役をやっていたらしい。
高橋幸宏が亡くなって、追悼の意味でまた久しぶりにYMOの曲をたくさん聴いているが、やっぱり80年代に一番良く聴いていたのが懐かしい。ギター少年がエディや布袋に当時憧れたのと同じで、YMOに影響を受けてシンセの道にハマった人も多いと思うが、僕もそんな端くれの一人。当時のお年玉やお小遣いなどをフル投入し、CASIO CZ101と、CASIO FZ-1のシンセ、YAMAHA RX17というドラムマシーン、FOSTEX 160という4トラック録音・ミキシング機器を当時購入して、自己流でインストルメンタルを作曲していた。思い返すと、僕のシンセはやっぱりYMOに始まり、そしてTMネットワーク、Jan Hammerなどにハマりながら、松岡直也などのフュージョンにどんどん流れて行ったのが80年代後半から90年代始め頃の思い出だ。
YMOの曲で僕が一番好きなのは下記の4曲。80年当時アメリカで週末放送されていた日本語放送の旅行代理店のCMで常に流れていたのがYMOの曲だったので、毎週完全に思い出に刷り込まれていた(笑)。
- RYDEEN
- Technopolis
- Behind The Mask
- Cosmic Surfin'
RYDEENは高橋幸宏の作曲で、あまりにも有名なYMOの代表曲だが、個人的にはTechnopolisが一番大好きであった。そしてBehind The Maskは後にマイケル・ジャクソンもカバーして英語の歌詞を付けたり、世界的にも有名になったYMO曲だが、僕はやっぱりこのYMOのオリジナルインストバージョンが一番気に入っている。そしてCosmic Surfin’もノリのいいテクノポップとして素晴らしい曲だ。
晩年のYMOはちょっとコミックバンドのハシリのような曲もあったり、どんどんボーカル曲なども増えていったが、僕はやっぱり初期のインストルメンタルで、テクノに徹していた頃の曲が一番好きだ。一番良く聴いていたYMOのアルバムは、ライブ盤であった『Public Pressure』、そして最近良く聴くのが幾つかあるベスト盤の1枚、『YMO GO HOME!』。このベストには僕の好きな上記4曲や、他にも『U.T』、『Nice Age』、『Tighten Up』、ボーカル曲としてヒットした『君に、胸キュン。』などを全て収録されているのでおススメである。
また、僕の中で高橋幸宏と言えば、YMO以外にも2014年に高橋幸宏が小山田圭吾、TOWA TEIなどに声をかけて新たに結成した『METAFIVE』というバンドがとても印象に残っているし、今でも時々聴いている。曲風としてYMOへのリスペクトとオマージュをふんだんに感じさせながらもどこか新しい息吹を感じさせる現代テクノポップとでも言えば良いだろうか。元々YMOに影響を受けてテクノを進化させていった小山田圭吾やTOWA TEIなどの“YMOチルドレン”たちが、今度はレジェンド高橋幸宏と組んで、新たにチャレンジしたという試みが素晴らしいし、音楽とはこうやって昇華して行くのだと最初METAFIVEのアルバムを聴いた時に思ったのが懐かしい。
その意味では最近までMETAFIVEなども手掛けながら精力的な音楽活動をしていた高橋幸宏。何度も僕の中にも最先端のテクノを刻んでくれたことに感謝しつつ、これからもYMO、METAFIVEなどを聴きながら追悼したいと思う。