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映画『グリーン・ホーネット』と最近のヒーロー像

JAL機内で映画『グリーン・ホーネット』を鑑賞した。この映画は僕が崇拝するあのブルース・リーが主演した60年代米国でヒットしたテレビドラマのリメイク作品。白人の主人公ブリットと、武道の達人であるアジア人カトーのコンビ“グリーン・ホーネット”によるアクションドラマである。当時、準主役級の役でアメリカのテレビドラマにアジア人が主演することは前例の無い出来事であった。そしてカトー役のブルース・リーのアクションの凄さが衝撃的で、完全に主役のブリットを食ってしまったことから、ドラマは途中で打ち切られてしまうが、このドラマの成功でブルース・リーは間違い無く世界におけるアジア人の地位を上げることに成功したのだ。その意味でオリジナルの『グリーン・ホーネット』はまさに偉大なる金字塔的な作品なのである。



今回のリメイクは、原作がどうこうというものでは無く、映画自体もかなりB級映画的な質の作品だが、新しい感覚のヒーロー像が描かれている点でとても興味深い。主人公ブリットは、新聞社の社長で世間からも一目おかれる偉大なる父をコンプレックスに持つグータラなボンボン息子。いつも親の金で派手なパーティーを繰り広げて遊びほうけている。ところが、父が急死したことをきっかけに財産を引き継ぎ、武道の達人にして天才発明家である父の運転手カトーとコンビを組んで遊び半分にヒーローになることを思い付く。しかし、ヒーローごっこをしているうちに父の死の背景には大きな陰謀があることを知り、本気で悪党を一曹キることを誓う。



これまでヒーローは“人間的に完璧な人物”と決まっていた。しかし、このグリーン・ホーネットは逆に人間臭さでいっぱいの欠点だらけの人物。本来ヒーローからは程遠いイメージだが、最近のヒーロー映画の傾向として見られる要素だ。『アイアンマン』も酒ばかり飲んで遊びまわっている大会社の社長で、昔の典型的なヒーロー像を大きく変えた。このような傾向は暗い過去を持つ『バットマン』や比較的普通の人間が活躍する『スパイダーマン』にも既にその布石は打たれていたのかもしれないが、『アイアンマン』で一気にそのヒーロー像の常識は様変わりしたように思う。




ところで、『グリーン・ホーネット』には、あのキャメロン・ディアズも出演しており、彼女もこんなB級映画にまで出るようになったのかと驚いてしまった(別に彼女である必要も無い役柄でもあり)。『アイアンマン』にもグウィネス・パルトロウやスカーレット・ヨハンソンが出演しており、ヒーローものに人気女優を起用するパターンもすっかり定番となってきた。

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