『初音ミク』が最近至るところで大ブレイクしている。
僕も最近まで、初音ミクとは単なるヲタクの萌えキャラかとばっかり
思ってあまり注目していなかったが、これは大いなる誤解であった。
初音ミクは元々北海道・札幌市にある
クリプトンフューチャーメディア社が発売した音声合成ソフトの名前で、
ヤマハが開発した音声合成システム『VOCALOID2』(通称ボカロ)
の技術を使って、機械的に入力された女性の声を、
なめらかな歌にしてしまう優れモノ。
このソフトそのものをバーチャルアイドルに見立てて作られたのが、
最近良く見かける“初音ミク”のキャラなのだ。
つまり、単なる萌えキャラの名前ではなく、実は日本、しかも札幌から
世界的に有名となった日本のソフトウェアなのである。
これまで、日本のハードウェアが世界に進出することはあっても、
日本のソフトウェアが世界的にスタンダートになるようなことは
起きていない。その意味で、意図的であったか否かは別として、
この音声合成ソフトは、日本が得意な“アニメ”の世界と
これまた日本が得意なロボットの要素、そして音声ソフトというものを
見事に融合しながら、世界進出を狙ったソフトとして、
まさに画期的な出来事なのである。
萌えキャラの初音ミクは最近アメリカやフランスなど、海外の
アニメ市場で、バーチャルライブなどを開催し、大成功を収めている。
今年も3月9日(ミクの日)には感謝祭も開催。まさに世界でブームを
巻き起こしており、急速に知名度を上げている。
そして、ついにあの小室哲哉が先日、過去に自分が作曲した楽曲を
初音ミクに歌わせた初のボーカロイドカバーアルバム
『小室哲哉 meets VOCALOID』をリリース。
収録曲はお馴染みの下記11曲。
1. I Believe (オリジナル: 華原朋美)
2. 恋しさとせつなさと心強さと(篠原涼子)
3. Too Shy Shy Boy (観月ありさ)
4. My Revolution (渡辺美里)
5. Departures (Globe)
6. Faces Places (Globe)
7. Wanna Be A Dreammaker (Globe)
8. Survival Dance (TRF)
9. Seven Days War (TM Network)
10. Wow War Tonight (H Jungle with T)
11. Love is all Music (華原朋美)
お馴染みの小室の名曲たちが、初音ミクによって新たな命を
与えられており、なかなか興味深い。
そしてGoogle ChromeのCM曲を手鰍ｯたことで一躍有名になった
クリエイターのLivetuneによる初音ミクボカロEPアルバム
『Tell Your World』もかなり秀逸な出来栄えの初音ミクアルバムだ。
収録曲はリミックス2曲含めた下記8曲のミニアルバム。
1. Tell Your World (Google Chrome CMソング)
2. Far Away
3. Star Story
4. Half Step
5. Fly Out
6. ジュビリー
7. Tell Your World (PandaBoY Remix)
8. Tell Your World (Open the Scenary rmx by fu_mo)
この音声合成ソフト『初音ミク』を使えば、今まで単なる声の
“サンプリング”では表現しきれなかったような難しい曲も
自然な形で再現出来てしまうという点で画期的な技術である。
今後、例えば今は亡きマイケル・ジャクソンやビートルズ、
エルビス・プレスリー等の新曲を簡単に作ることが
出来てしまうような時代が来てしまうかもしれない。
ただ、小室のボカロアルバムを聴いていて感じたことだが、
試みとしては画期的で素晴らしいものの、やはり本家本元の
歌手が歌うバージョンに比べると、どうも味気ないのも事実。
要するに、歌に“魂”が入っていないのだ。なので、
既に誰か歌のうまい歌手の曲をボカロアルバムにしてしまうより、
全く新しい、未来的なテクノサウンドの初音ミクオリジナルを
作る方が楽しめると感じた。その意味では、Livetuneのアルバムの
方が良い出来栄えでは無いだろうか。
日本のソフトウェア技術がどこまで世界を席巻するか、
これからも初音ミクの動きには注目したい。
