アリ@チャピ堂 お気楽本のブログ

日々の読書記録を勝手きままに書き記す

男は釣りで人生の危機を乗り越える

2012-09-02 14:19:28 | 釣りの本
フライフィッシング讃歌


「フライフィッシング讃歌」 ハウエル・レインズ著、倉本護訳、晶文社 1995年


Fly Fishing Through the Midlihe Crisis Howell Raines William Morrow andCompany,Inc. 1993

タイトル(原題)が映画公開とほぼ同じ時期に出版されていることもあり
“A RIVER RUNS THROUGH IT”を意識している?あやかっているのか?

釣り好きであれ、そうでない人でも
まあ人生を振り返る時期に至って読むと
それなりに著者の思いのそこかしこに
自分の経験に重なるようなこともあって
他に読む本もない時間の流れの緩やかな午後あたり
酒を片手に読めればよいかもしれない

釣りを、フライフィッシングをする人にとっては
ちょっと鼻持ちならないような野郎だが
釣りの話題を広げるためにも
酒を片手に読むと良いかもしれない

何はともあれ
自分の仕事に対し自信に溢れ
その業績をはばかることない成功者が
家族に潜む小さな危機を
一流記者らしく読ませる文章にして書いている
そういうエッセイである

“Fly Fishing Through the Midlihe Crisis”の巻末には索引があり
たとえばCarter,Jimmyが何ページに登場するかすぐに分かるようになっている
お節介というのかちょっとこういうところイヤミだが
基本的に釣り、フライフィッシングという領域から世界を見るという視点を維持している
それは、フライフィッシングにはまってしまった人類に共通するもので
さらにフライフィッシングをキャッチアンドリリースという行為によって
文化に高めたアメリカの事情も知ることができて
釣りにいけない時間
フライも巻き終えたのならご一読を


褒めているのかけなしているのか?評価の違いは時間の余裕の問題だろう
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A RIVER RUNS THROUGH IT

2012-08-30 08:28:17 | 釣りの本
なぜ「マクリーンの川」なのか?



「マクリーンの川」ノーマン・マクリーン著 渡辺利雄訳 集英社 1993年発行


A RIVER RUNS THROUGH IT Norman Maclean 1976 TheUniversity Chicago Press 1989

映画「リバー・ランズ・スルー・イット」が公開されるにあたり
その原作本として出版されたのが「マクリーンの川」である
とすると余計、映画の邦題とも異なるこのタイトルになぜなったのか判然としない

カバーには紛れもなく映画のシーンが使われている
そして映画では絶対に使われなかった(原作にも出てこない)
サーモンフライが飾られている
翻訳者の後書きでいささかこの経緯について言及されていて
「編集者の意向による」となっている
さらに本来ならば「マクレイン」が発音として近いそうだが
それもマクリーンとするように指示があったらしい
このことが本の価値を減ずるものとはいえないが
大手出版社の編集者のレベルがこんなものかなと
出版社が違っていたらもっと本を所有する喜びにもつながったろうに

「A RIVER RUNS THROUGH IT」はamazonで買ったんだと思う
シカゴ大学出版部発行の本である
この経緯についても訳者あとがきにある
著者であるノーマン・マクレインは
シカゴ大学の英文科の教師であった
大学を辞して引退してからこの自伝的小説を書き上げ
いくつかの出版社に断られた後に
彼が教鞭をとったシカゴ大学の出版することになった
教授時代の実績や人柄が功を奏したこともあるのだろうが
作品の素晴らしさに気づき出版を決断する
編集者の存在がなければ実現しなかったはずだ

カバーのイラストはフライフィッシングをまったく経験したことがない人が見ると
日本語訳のカバーのサーモンフライのようにも見えなくもないシルエットだが
ちょっと調べればこれが違う種類の
対象とする魚が異なるものであること
そして当然ながら原著のものが正しいということが分かるはず
原作に対して礼を失しているとはいえ
出版されたことは良かったのだとう思うが
日本語版でもきちんとした編集者に恵まれたらどれだけよかったろうか

フライフィッシャーマンにとって
本当にフライフィッシングを知っている著者が
多くの釣り師が自分のつりを人生に重ねあわせるように
川とロッドとラインと魚と自分が一体となる瞬間を
(残念ながら魚が欠けることが多いが)
そして、そこに流れる哲学を感じさせてくれる名著に違いない

イギリスにホイットレーというフライボックスを作る会社がある
そこが出したリバーランズスルーモデルのフライボックスに
小説から一文が引用がされ刷り込まれている

書かれているのは小説の最後の一段落だと思っていたが
手にしてみたら小説の冒頭部分であった
タイトルの“a river runs through it.”を含む一文は
フィッシングベストに入れて持ち歩くには確かに重いものがあるかもしれない
最初に語られる信仰とフライフィッシングに区別をつけない
フライフィッシングの中に信仰があるという教理が
小説の最後まで貫かれた人生の通奏低音であるとすれば
いささかのユーモアも含んだ冒頭部分もまた
引用するに同じほどの重さを持つかもしれない

最後に小説の終わりの一文を記す

Eventually,all things merge into one,and a river runs through it.
The river was cut by the world's great flood and runs over rocks
from the basement of time. on same of the rock are timeless raindrops.
Under the rocks are the worlds,and some of the words are theirs.
I am haunted by waters.
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釣りの本といえばこれを外すわけにはいかない

2010-08-28 18:00:00 | 釣りの本
「私の釣魚大全」 開高 健


「私の釣魚大全」開高 健(著) 文春文庫 1978年

あまりにも有名でなにも語ることはない
逸話と名文とに酔いしれる1冊
ワインでもバーボンでもシングルモルトでも
良い酒と一緒に書斎で読む本でもあり
ジーパンの尻ポケットに突っ込んで
旅先で読んでもよい
いや、ジーパンの尻ポケットに突っ込むのは
角のポケット瓶でなければいけないか・・
開高健に乾杯!!

ただ読むべし
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戦後、絵を売りながら釣りをして歩く話

2010-08-27 22:00:00 | 釣りの本
「つりかげ わが渓わが人生」 山本素石


「つりかげ―わが渓(たに)わが人生 」 山本素石(著) PHP文庫 1992年

私が持っているのはPHP文庫版
写真はスキャンする手間を省いて借りものです

戦後、復員してきた著者が日本画の工房に入り
安い絵を庶民に売る稼ぎを身につける
工房の師とともに地方に絵を売りに行商に出て
その先々で釣りをするという話である

日本の釣行文学では有名な方のようである
話の中渓流マス釣り場として親しみのあるに奥三河神越川の話もある
ここでは釣りよりもロマンスのほうが中心に描かれている

釣りの話というだけでなくて
戦争の暗さからようやく解き放たれた人々の暮らしが垣間見えて
そうしたところも読んでいて面白かった

 エッセイなのか小説なのか 抒情的で少しセンチメンタルな話
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バスフィッシングに熱中していた頃もあった

2010-08-26 22:00:00 | 釣りの本
「大魚の一撃」 バスフィッシングのトーナメント大会を舞台に事件が


「大魚の一撃」”Double Whammy”
カール・ハイアセン著

これは釣りの本でなくてほんとはミステリーに分類されなければいけない
R.J.デッカーという新聞社専属カメラマン崩れの私立探偵が
バストーナメントを舞台に起きた殺人事件と
不正を暴く内容だ

しかし、買った理由はバスフィッシングを題材にしているからで
ミステリーとしての面白さを期待したわけではなかった

結婚直後から職場の同僚に教えられてバスフィッシングを始めた
これは家庭内では評判が大変よろしくなく
その後、ルアーからフライにと道具が変わり
湖から渓流に舞台を変えたけれど
通いつめるための合意を得られないまま
いまではお犬様の面倒をみるのが大変で全くいけなくなってしまった

バスフィッシングに熱を上げていた頃の思い出の一冊である

 バスフィッシングをやっている人には面白いはず
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