アリ@チャピ堂 お気楽本のブログ

日々の読書記録を勝手きままに書き記す

ワダツミの木の物語

2019-07-22 23:38:18 | 番外
元ちとせ「ワダツミの木」



以上の部分はCDを聞きながらの聞き取りなので
歌詞カード通りではありません

さて、この歌ほど物語を感じさせた歌は
過去なかったように思うのです
歌詞とヴォーカルの両方がそうさせるのだと思いますが

どんな物語なのか
だんだんと脚色されふくらんでいきましたが
こんな話なのです

わだつみの木の物語
-島の国の王子と娘の物語-

南の島の国に美しい娘がいた
まだ若い王子がその娘に恋をした
娘も王子に恋をしたが
それは添い遂げられぬ恋だった

人目をしのび二人は浜辺を歩いた
娘の頭には赤い花がいつもさしてある
はるか西に赤い花の咲く島があるという
そこでなら二人の恋は実るだろうか
いつしか二人の思いは遥か西の島に
二人が結ばれるその地に思いを馳せた

王子は娘に言った
新月の夜舟を出そうと
星の明かりだけをたよりに
二人だけの小さな舟で漕ぎ出し
遥か西の島へ行こう
新月の引き潮のとき
王子が隠した舟で落ち合おうことを約束した

許されぬ二人の恋を島中の者が知っていた
二人が島を出るかもしれない
父王はその話を聞き及ぶと
二人を引き離す謀を命じた
こどもをに文を持たせ娘のところにやった
次の満月のときに出発を早めよう
必ず私はいくと

満月の夜娘は舟のそばに身を隠し
王子の現れるのを待った
浜辺を歩くものがあり
大きな声で話し合っている
王子が結婚することになったと
隣の島の国から妃がやってくると

満月が水平線に落ちかかり
夜が明けようとするまで
何もできず隠れていた
そのまま朝を迎えることはできなかった
娘は一人小さな舟を海に浮かべ
心当てなく櫓を漕いだ
いつしか引き潮にのり舟は沖へと流れ
娘は一人舟に横たわった
すべては波にまかせて
一人娘を乗せた船が島を離れようと
しかし立ち去りがたく沖を漂った

王子は娘の行方が知れなくなったと聞く
若い島の男と逃げたのだと告げるものがある
浜辺をさ迷い跡を求めた
隠された舟はなく
その満月の夜海を見ながらただ佇んでいた

島の漁師たちは満月の夜
不思議な舟を見た
白いほのかな光は満月の光なのか
舟を見とめて近づくと娘が眠るように横たわっている
近づこうとすると舟は逃げていく
離れようとすると舟は追ってくるようである
漁師たちは気味悪がって満月の夜
舟をだすのをやめた

沖をさ迷う舟の話が王子の耳にも届いた
臣下の者に糾すと
その舟には娘と若い男と二人が眠っていたという
王子は悲しみに打ちひしがれたが
どれだけか満月の日が過ぎ
王は隣の国の姫を娶った

娘を乗せた舟は島から離れながら
しかし引き寄せられて漂っていた
いつしか舟は朽ちていき
娘の体は海の水に守られるように
浮かんでいる
その体を水面に支える最後の支えを失うと
遠く浅い砂の底に静かに降りて行き
足が海の底をとらえたとき
いつしか白い大きな木の姿に思いを託し
漂うことをやめて一本の木となった
海に立つ木は満月の夜
赤い花を咲かせる
その木は漁師たちだけでなく
月の明るい夜に浜から西の海の
遠い水平線に浮かんで見えた

島中の人がその木のことを知り
何の化身であろうかと噂した
新王の耳には入らないようにと
周りのものは口をつぐんだが
妃がその話を聞き新王に話をした
赤い花の咲く海に立つ木の話を

新王は島人の姿に身をやつして
気づかれぬよう城を抜け出した
そして西の海の見える浜辺に立ち木を探した
気も狂わんばかりに遠くを見入る男に
老人が声をかけた
何をさがしているのかと
私は娘をさがしている
舟出をするはずだったのだと
老人は舟に漂う娘の話をした
あなたが探しているのはその娘なのかと
新王はその舟には誰が乗っていたのかと尋ねた
老人はただ娘だけが
微笑を浮かべて眠っていたと話した
娘だけが

新王は西の海のかなたに眼をやった
傾いた満月が水平線に落ちようとする
かなたに白い木が見えた
遠くおおきささえ見極められそうもないのに
そこに一本の木が見えた
海が足を洗うのも気にせずに
いつしか海へと入っていく
すると赤い花が潮に乗せて運ばれてきた
紛れもなく娘のあの花飾りのはなである

新王は海に身を投げるように泳ぎ出した
いつの間にか老人の姿は消え
浜辺には新王が残した足跡のみが残っている
新王は沖へと向かって泳ぎだした
どれだけ遠くともその木のもとに泳ぎ着きたい
ひとつ泳ぐたびに
木が大きく近づいてくるような気がした
どこまでも力の限り泳ぎつづけて
新王はついに枝の一つ一つがうかがえるほど近くに
泳ぎ着いた
しかしそこからは泳いでも泳いでも
その木に近づくことができなくたった
新王の体はいつの間にか水面を割って
海の中へと消えていった

風にそよぐように枝々がざわめき
大きな赤い花が満開となって枝々に咲いた
そして新王の体は海に立つ木に旅を続けた

その日から海に立つ木は見えなくなった
そして新王の姿を見たものも誰もいない

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パリ区分地図さえあればどこにでも行ける

2010-08-23 22:00:00 | 番外
「PLAN DE PARIS」 趣のあるパリの区分地図

この地図を持ってメトロを乗り継ぐと
パリを巡っているなという気になった
こちらが1980年に一人旅をした時にパリに到着してすぐ本屋で買った1975年版


ビニール装になった1989年版

こちらは新婚旅行の際に使ったもの
日本で買っていったような気もします
表紙を見ると出版社が変わっているようですが
中身は変わりません

パリはすべて街路制で道の名前が分かればそこに行ける
住所表記の道の名前を下の索引で探し、それが何番の地図のどのエリアかがわかる
その最寄りのメトロの駅を見つければよい


これはルーブル宮・美術館のある1975年版の1区の地図です


地図の間にカルネ(10枚つづりの割引回数券)の残りがはさまっていました


今は同じ区分地図はもう手に入らないようで
普通のペーパーバック版の地図しか検索にひっかかりません
パリに確かめに行きたいけれど・・生きている間に行けるでしょうか

居ながらにしてパリを散策 便利で楽しい地図です


蛇足ですが1980年に撮ったパリの写真を
この後、エッフェル塔誕生100年祭だったか
パリ中の建物を洗ってきれいにしてしまって
1990年に新婚旅行で立ち寄った(2日いただけなので)時には排気ガスの臭いばかりが気になりました
ただ、歩道上の犬の糞は格段に減っていました






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これが「ゼタ」です

2010-08-21 22:37:08 | 番外
「ガロ 1971年11月号」 水木しげるが一番まともに見える マンガ界のアンダーグラウンドなのか

水木しげる夫人のエッセイ「ゲゲゲの女房」紹介の続編になるのだろうか
連続ドラマでは「ゼタ」という名前になっている月刊漫画雑誌「ガロ」を
鶴舞公園近くの古書店でみつけ
その中で水木しげるの連載が掲載されているものを買った


学生であったころ書店で噂に聞いている「ガロ」を手に取ったことはある
「カムイ外伝」「赤色エレジー」などは安保世代(全共闘世代というと怒る人もいるか)に多数の読者があり
私(遅れに遅れてきた青年)が知った時点ではすでに伝説のような雑誌であった
伝説のように思った理由として80年頃にはもう販売部数も減っていて
捜さないと書店のどこで売られているのか分からなかったこともある

寺山修二を漫画にした・・アンダーグラウンド・・もしくはサブカルチャーというのか
手にはしてみたが読みたいとは思わず買わなかった・・1冊ぐらいは買ったのだったか記憶が定かでない

発行人長井勝一と裏表紙に記載されているが
この人がドラマで深沢洋一という名前で登場しているのだろ
この号に連載されていた水木しげるの漫画は「星をつかみそこねる男」第14回で主人公は近藤勇

偶然、今日(21日)の放送で、廃刊の相談のために水木を訪ねてきた深沢に渡す原稿がこれだった

この号を見る限り掲載されている漫画家では水木しげるが一番普通に思えるほど
ちょっと癖のある内容になっている


極め付きは「作家の良心、画く姿勢」という若手漫画家の座談会


いまや日本の「マンガ」は「アニメーション」が日本語として発音されるほど
我が国の重要なコンテンツ産業となったようであるが
その底流となっている「マンガ文化」の一端を垣間見る気がする

さて、古本屋巡りは時として掘り出し物やお宝に遭遇することがある
店の奥に入るのでなく1冊100円などとカウンターや雨ざらしの書架が発掘現場になる
そうした古本屋の楽しみはまたの機会に

*今日は評価のしようがなくアリスは登場しません
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内面こそが外面を規定する 

2010-08-02 22:01:15 | 番外
「猫の建築家」は「建築家の猫」ではない?!

猫の建築家
森 博嗣作、佐久間 真人絵
光文社


美とは何かを探求する猫は、探求する眼差しの中で構造物を再構築する
猫にとって、意味が付与されないままの(人間にとってはすでに名づけられているものであっても)構造物に
接近し受け止める中でそのものが「建築される」



日本語の曖昧さは「建築家の猫」とすると「建築家が所有する(飼われている)猫」とイメージさせる
街中を歩き意味を問い、あらためて街を構築する猫
人は名前をつけ役割を規定し、もうそれ以上に意味を問わない
しかし、それは本当にそれだけの意味しか持ちえないのか
子どもの頃は親の持つ意味と違う意味をすべての物の中で見つけ出せたのに
猫は飽きずに今日も街の中の「美」を見つめ直している

意味不明の解説から、何を構築してもらえるでしょうか
ただ「猫の建築家」の雰囲気が伝われば良いのですが
それは見てのお楽しみでしょう

 何よりもイラストが好きです

作者の森博嗣の本を読んだことはありません
人気ミステリィ作家だそうです
押井守監督のアニメ「キルドレ」の原作者と言うことで知っています
ま、もったいぶった本文よりもイラストが好きで評価しています


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番外編 犬の雑誌の紹介

2010-07-30 23:08:47 | 番外
何より可愛い 我が子の写真が 「コーギースタイル No25」


「コーギースタイル Vol.25」 辰巳出版 (タツミムック) 2010年発行

何と、チャッピーとアリスの写真が載っています
取材を受けたのは6月初め・・ようやく発売になりました

お知り合いの取材のおまけだったのですが
別コーナーにチャッピーのアップが!!

思わずこちらでも紹介していまいました!!


お薦め?押し売り?でも嬉しい
コメント (2)
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