アリ@チャピ堂 お気楽本のブログ

日々の読書記録を勝手きままに書き記す

ドリトル先生シリーズの訳者は井伏鱒二

2011-01-02 17:06:16 | ファンタジー
「ドリトル先生アフリカゆき」動物たちのほうが人より優れているに違いない



「ドリトル先生アフリカゆき ドリトル先生物語全集 1」ロフティング著 井伏 鱒二訳 岩波書店 1961年発行

岩波の児童文学書は紙箱入りで
なんとなく児童文学の中でも位が上のようなきがしていた
ドリトル先生シリーズがもし金の星社やポプラ社から出ていたら
訳者が井伏鱒二ではなかったように思う
だから・・この作品の価値が変わるわけではない

ドリトル先生シリーズは他に追従するものがない
独自の境地にあるシリーズではないか

主人公のドリトル先生もそうだがオウムのポリネシア、ブタのガブガブ
犬のジップ、サルのチーチー・・というそれぞれのキャラクターが生き生きとし
なんといってもこのシリーズは人情話的な雰囲気があり
動物がまたその人情に通じている、いや人情に訴える登場人物たちが
次々と登場し、そして力強くドリトル先生を支えていく
教育小説かもしれない

何より好きなキャラクターは「オシツオサレツ」で
プーさんの物語を哲学的に再解釈する方法であれば
この生き物こそ自己と対話する中で弁証的に発展する小宇宙的生き物だ

こうした他にない作品を生み出す力に感服し
こうしたエネルギーが自分にも無いものだろうかと
ただただ羨ましく思うのである

 こういう財産を残せたら人生はとても価値あるものになるのだが
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あけましておめでとうございます プーから知る世界

2011-01-01 15:00:00 | ファンタジー
「クマのプーさん プー横丁にたった家」は偉大な哲学書だった


「クマのプーさん プー横丁にたった家」A・A・ミルン著 E.H.シェパード絵 石井 桃子訳

今年はプーを見習って、世界の哲学史、思想史を再考する年にしたい
マイケル・サンデルの「正義」についての授業の放送を見たが(聴いたが)
今一度、人間がその歴史の中で培ってきた知的財産について
きちんと学びなおす必要を感じた
直観と嗜好だけで未来を決めてはいけない
過去からの連続を断ち切ってはいけない
その先人の一人(あるいは一匹)がクマのプーさんだ

「タオのプーさん」や「クマのプーさんの哲学」など
プーさんの会話から何かを読みとろうとする努力が真面目にされている
ミルンの才能がプーの言葉に多義性や象徴性を持たせることになったのだろうが
人間を哲学することの困難さと
もっともありふれた人間にさえその困難さがイデアとして付与されている
矮小と偉大の混在こそが我々の非日常の連続から作られる日常に反映し
難しく語っても、簡単に語っても同じ「人」である
そのことに深く関係しているのだろう

今年こそ私は「北極」を見つけたい
それは「人が発見するもの」だから


プーさんの成功の8割ぐらいはシェパードの絵によるものかもしれない
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バーティミアスとアラジンの魔法のランプ

2010-12-27 23:56:49 | ファンタジー
「バーティミアス サマルカンドの秘宝」ハリー・ポッターより・・


「バーティミアス サマルカンドの秘宝」金原瑞人、松山美保訳 理論h社 2004年発行

ハリー・ポッターシリーズのヒットの後あきらかに変わったことは
新しい本が出るごとに「ハリー・ポッターより・・・」という宣伝文句が使われるようになったこと
しかし、いまのところ「ライラシリーズ」もそうであったが
比較されるけれどそれを超える「売上」のあった本はない

バーティミアスシリーズも「ハリー・ポッターを抜いて第1位」などと書かれているが
残念ながらそれは我が国では果たせなかった

この本の特徴は「注釈」にある
欄外に事柄の解説が載せられていてそれなりに面白い

アラジンの魔法のランプならぬ妖精・・魔物を召喚しそれを手下にする
いまどきのカードゲームみたいな要素もあり面白い

しかし、ハリー・ポッターシリーズの後に「魔法」を扱う本を出せば
比較されるのや避けて通れない

ハリー・ポッターシリーズより面白いとは言い難いが
ポッターシリーズとは違った視点で面白いことは間違いない

 魔方陣の中で悪魔を呼ぶ・・悪魔くんそのものだ
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映画(ほぼ)完結記念 ハリーポッターシリーズ その6

2010-12-26 22:47:24 | ファンタジー
「ハリー・ポッターと死の秘宝」死ぬのはどっちだ


「ハリー・ポッターと死の秘宝」J.K. ローリング著 松岡 佑子訳 静山社 2008年発行

このブログを偶然読む人があってその人がこの巻
ポッターシリーズの結末をまだ知らないとすれば
これからその結末に関わる話を書くのでこれ以上読まないでください

まず、私にはこの結末の肝心なところが理解できなかった
ハリーの命もまたヴォルデモードに「分霊」されているので
ハリーが死んでもその命はヴォルデモードが死ななければ消滅しない

ハリーは自ら死を選ぶことで自分の中に「分霊」されたヴォルデモードの命を消滅させ
同時に、ヴォルデモードは生きているので
ハリーは死ななかった・・・・・・・のか

このあたりの仕掛けが良く理解できなくて消化不良という感じが拭えない
どこかに納得いく説明が書かれていたのかもしれないが
読み飛ばしてしまったようだ

だから、ハリーが生きている限りはヴォルデモードは完全に死んでしまったことにならない
ハリーが成長し、ハリーの子どもたちの物語がいずれ出る
そういう落ちなのかなと思った

シリーズとして確かに面白いが
とこどころに設定の破たんがあり
最後の最後にその一番大きなほころびがあるように思うが
も一度きちんと読み直してみないとその確信をきちんと説明できない
読み直して明らかにする必要があるだろうか?
そこまでする必要はきっとないのだろうと思う

 シリーズを通して確かに「面白い」話である
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映画(ほぼ)完結記念 ハリーポッターシリーズ その6

2010-12-25 21:41:38 | ファンタジー
「ハリー・ポッターと謎のプリンス」 いちばん怪しい男


「ハリー・ポッターと謎のプリンス」J.K. ローリング著 松岡 佑子訳 静山社 2006年発行

毒を食らわば皿まで
シリーズも最後まで付き合わなければいけない
もう後2冊(上・下だから4冊)で終わりかと思いながら
何とか読み終えました(当時)

結果としてわかったことは
最終話「死の秘宝」のための序章のようなつなぎであったか
まあ、後半4冊で一つの話だと思えばそうですね

ダンブルドアとスネイプのからみは織り込み済みという終り方で
マルフォイって意外と頑張るやつだなと
少し見直した人も多いのではないでしょうか

今年も終わりに近づき
シリーズももう終わります・・
映画はいつ見に行けるのか・・
結局レンタルになるのでしょうか

 シリーズとしての評価にならざるを得ないですね
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映画(ほぼ)完結記念 ハリーポッターシリーズ その5

2010-12-24 22:00:36 | ファンタジー
「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」 ロマンスもあり活劇もあり


「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」J.K. ローリング著 松岡 佑子訳 静山社 2004年発行

ヴォルデモードの活動が公然化していく
対決の時に向けての「味方」と「敵」がはっきりと色分けされる
何より、悪者はどこまでも憎々しげに描きこまれ
ちょっとあざとい感じがある
いや、ヴォルデモードの潜在的支持者がこれだけいる魔法世界であれば
もっと悪辣な魔法を駆使し悪の限りをつくす
(ヴォルデモードも青ざめるような奴)
そういうこともありそうだが
魔法界の悪人は意外と良識派
私などは服従の呪文をかけまくってしまうけれど・・

それは物語の不文律
できることとできないことを
読者も期待を込めて受け入れる
話の収まりがつかなくなるから

そしてポッターとヴォルデモードの関係を決定づける予言が明かされる
シリーズ最後にこの予言の解釈と実践が重要な意味を持つが・・
ちょっと腑に落ちないところが・・後のお楽しみとなる


 対決へ流れが加速する
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映画(ほぼ)完結記念 ハリーポッターシリーズ その4

2010-12-23 20:25:15 | ファンタジー
「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」 ここから2巻に、しかも別売禁止とは!


「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」J.K. ローリング著 松岡 佑子訳 静山社 2002年発行

ここから上・下2巻になる
映画も最後の最後にpart1とpart2となったけれど
そして何より驚いたのが上・下2冊一緒に買わなければいけない
本屋からすれば上・下2冊同時に売らなければいけない
「アズカバンの囚人」が1,900円、2冊セットで3,800円?!
ふつう2冊同時販売なら安くするだろうと思うところだが
訳者が出版社も経営しているようだが児童書を販売するには夢も何もない
さっさとスイスがどこかに住民票を移し竹中平蔵氏と同じように節税対策をする
ただ、居住の実態がないと「脱税」と認定された部分もあったようだ
ハリー・ポッターシリーズに目を付けたことはそれなりに先見の明と言えるのだろうが
お金に汚い感じがなんとも残念である

という周辺問題を考えずに
いよいよヴォルデモードとの対決に及ぶわけで
後半はこの1巻だけでなく4巻を通じて1作品という感じもする
なぜポッターはヴォルデモードに殺されないばかりか
彼を倒したのか??
全巻を読み終えてもこの部分はいささか説得力に欠ける
1巻から3巻までの魔法や小道具の着想を単純に面白く読めたのに比べて
これから後にはポッターとヴォルデモードの関わりを説明するために
そうした小道具や設定が何らかの意味付けと説明に用いられ
それが却って「そうなの?」「ちょっと矛盾していない?」
「忘れていたのを思い出して説明してる?」などと
読み進む中で引っかかりがあちこちと出てくる

勉強するために時間を遡り事態に関与できるのならば
もっとこの魔法使ったら??などと思ったりする

「魔法」というあり得ないもので不可能を可能としながら
可能にできない場合の理由付けが大変なのだ

読むのは純真な子供でこのようなひねくれた親父を対象としていないから
そういうことは問題にならないし
だからこの作品はシリーズを通して指示されたのだろう

子供たちのためにももっと買いやすい本にしてほしかったと残念に思う


ついに死人が出る、それは成長のための儀式になるのか?殺さずにはシリーズを続けられなかったから?
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映画(ほぼ)完結記念 ハリーポッターシリーズ その3

2010-12-22 21:49:06 | ファンタジー
「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」 吸魂鬼は怖いのか?


「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」J.K. ローリング著 松岡 佑子訳 静山社 2001年発行

ポッターの名付け親シリウス・ブラックが登場する
この巻は改めて読みかえすと殺伐とした闘いの場面は少ない
のんびりと読める
ヴォルデモードの恐怖を必要以上にあおるため
宿命性を強調するあまり
あるいは伏線を広げ過ぎてシリーズ後半では説明書きが増えてくる
そういうことはまだここでは少ない

しかし、ハリー・ポッターシリーズで最も気に入らない
大声の部分で活字のポイントをあげるという体裁の悪さでは
この本が一番ひどいかもしれない
まんがの吹き出しじゃないのだから

後半に繋げる踊り場のような作品だと言える

 やはり登場人物の設定が優れているのだろう
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映画(ほぼ)完結記念 ハリーポッターシリーズ その2

2010-12-21 21:44:59 | ファンタジー
「ハリー・ポッターと秘密の部屋」 昔のことは忘れた


「ハリー・ポッターと秘密の部屋」J.K. ローリング著 松岡 佑子訳 静山社 2000年発行

第2作となるが、ローリングが最初から7巻で完結させる
もしくは、終わりまでの筋書きを踏まえて書いた・・ということが
遡って読みかえすとわかる
随所に伏線として散りばめられているものがある

ただ、時として強引なもののあり
すべての筋書きがピタッと収まり良くなっているわけでない

トム・リドルの日記がとても重要なものと後でわかるのだが
これって、随分乱暴な使われ方をしていて
これはまずくないかと思ってしまう

後になるほど説明的な、言い訳的な魔法の規定や小道具の意味づけが行われることがある
2作目はたくさん種が埋め込まれていると同時に
ほころびのもととなる事柄が幾つも顕れてくる

蛇足の蛇足だが
映画を作った時に、後のラブロマンスを想定していただろうか
それとも子役の選定の難しさなのだろうか
まだ、「死の秘宝」を見ていないが
ジニーはもう少し魅力的でないと
エンディングが決まらないのではないか・・
と、老婆心である

 一応、このシリーズは面白いことに違いは無い
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映画(ほぼ)完結記念 ハリーポッターシリーズ その1

2010-12-20 22:30:00 | ファンタジー
「ハリー・ポッターと賢者の石」ベストセラーの始まり


「ハリー・ポッターと賢者の石」J.K. ローリング著 松岡 佑子訳 静山社 1999年発行

映画もとうとうシリーズ最後の「死の秘宝」が公開される
ただ、最後は「一粒で二度美味しく」ということかpart1がまず公開される
それを記念して、ハリーポッターシリーズを

最初の「賢者の石」について、2001年の5月に書いたものを引用する

正直に言えば、この本を書店で見たとき、買ってみようと言う気にならなかった。まず、装丁が今ひとつである。そして何より、本文中、強調のため活字がボールドになっていたり、級数が大きくされている。原典に忠実とはいえ、学習参考書でもあるまいに。きっとさほどのことはないと、読まず嫌いになったのだけど、借りて読むなら損はないかと、姉の購入するのをまっていた。読んでみたら面白い。挿絵も少なく、そこそこ長い物語を子ども達が嬉々として読んでいるという話に感心もし納得もする。(が、日本でもそうかわからない)

主人公は魔法使いである。と同時に普通の小学生(十一才)で、勉強は好きではない。生い立ちを知らぬまま、普通の人間として意地悪な伯父伯母のもと、さんざんな扱いを受けながらもけなげに育ってきた。ある日、突然魔術学校の入校案内が届く。それは、伯父伯母の妨害に会いながらも、尋常ならぬ方法で届けられる。そして、自分が、魔法使いなら誰一人知らぬ者の無いヒーローであることを知り、ホグワーツ魔法学校での生活が始まる。

何より面白かったのは、推理仕立てになっているところだろうか。ただの子供向けの童話ではなく、きちんと構成された筋立てと、意外な仕掛けが次へ次へと読み進めさせる。学校での人間関係、いじめやライバル、そして友情。それをただ教訓的に、あるいは面白おかしく書くのではなく、小説の様に仕立てている。子どもに媚びていないところが良いのかもしれない。さらに、あらかじめシリーズ化をも意識してか、次の物語への布石も随所に散りばめてある。

心ならずもヒーローとなるポッター少年。その仇敵の存在。なぜ彼は赤ん坊の時、最大の敵を滅ぼし、生き延びたのか。これはシリーズを通しての謎として封印され、その仇敵との最後の決着のときに明かされることになるのだろうか。一作を読み終えると、次にと、読者に飢えをあたえのどの渇きを覚えさせる、作者の非凡なる所を感じさせるものがある。

 いろいろあっても、読まれるのには理由があり、その第一は面白いことだと思う
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