アリ@チャピ堂 お気楽本のブログ

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タイタンのゲーム・プレーヤー再刊さる

2020-04-12 11:57:59 | フィリップ・K・ディック
「悪く言えば書き飛ばしの作品だ」


「タイタンのゲーム・プレーヤー」“The Game Players Of Titan ”
1963年作品 大森望訳  (ハヤカワ文庫SF) 文庫 – 2020/3



1990年に出版された創元SF文庫の再文庫化ですと
奥付の前に但し書きがある

昨年8月に再文庫化された「フロリクス8から来た友人」同様に
巻末にあった著作リストが省かれている
それとSF研究家牧眞司氏の解説がかなり短くなっている
省略されたのはディックの書誌的な解説部分で
“The World Jones Made“、“The Man Who Japed”はまだ未訳と書かれていたり
邦訳本の紹介はサンリオ文庫が多数であるなど
30年前(!!)の解説なので書き直すには骨が折れそう
しかし、そういう事情を断って残しておいてほしかった
日本での年ごとの出版数がグラフで示されていて

この表の後にさらに出版社が変わり新訳が見つかりと
修正が必要なことがわかるが
日本でのディックの評価や人気度が視覚的にわかる
面白い資料だと思う
私が「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」を買った1977年以降
最初のブームが訪れ
忘れたころに(ファンは忘れているつもりはないが)主に映画化などと連動して
ブームが再燃するという現象を視覚化するために
このグラフをぜひ作り直して欲しかった

さて、以前どうアップしていたのかはこちら「タイタンのゲーム・プレーヤー」
メタメタ小説だったらしい?
それは読んでいる方の能力がメタメタだったのか訳の分からない文章だ
牧氏の解説には「悪く言えば書き飛ばしの作品だ」と書かれている
それもこれもディック
裏表紙の紹介末尾には
「ゲームが支配するディストピアを描く長編小説」とあり
「フロリクス8から来た友人」の紹介にも「鬼才のディストピアSF」と書かれている
今どきのSFはユートピアを描かないので
だいたいみんなディストピアになるのだろうが・・

出版文化を守るため
ぜひ文庫版を買って未読の方はお読みください
すでに旧版を持っている方も記念にお買い求めください


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