シロクマックスのアラフォー、ぼちぼちアメリカ生活

アメリカ生活のあれこれをつれずれに書いてます。
移住して8年、ぼちぼちやってます。

On the Beach

2011-07-05 | アメリカ生活のあれこれ

今朝は仕事始めが朝2時40分(世間では朝とは呼ばない)

調教開始が4時。なぜならトラックが開くのが4時だから。

こっから7時半までに120頭ほどに調教をつけるわけですが、

今日は7時くらいに厩舎長のロフティーによばれて

ビーチで馬に乗ることに。

「I get you to the beach this morning」

とか言われてもなんのこっちゃ!?と思いました。

関節が腫れてる馬がいるから、海水につけて歩かせる治療&調教ということで、

そこから連想するビーチウォークはなんとなくオシャレな

イメージで。サーファーがモーニングサーフィンする横とかで

馬に乗っちゃったりしちゃったりするのかな・・なんて思いました。


4頭を厩舎自前の馬運車にのせて15分。

どこのビーチに行くのかと思ってたら、おもいっきりシドニー国際空港の

埋め立て滑走路の横じゃないですか!どういうビーチなんだバカ!!

オシャレなサーファーなんかいやしないよ。

ま、たしかに砂浜だし、遠浅だからけっこう沖まで行ってもせいぜい人間の

胸下くらいまでしか水位はないんだけど、あれ?鞍は?

鞍なしか!!!こりゃグリップ勝負ですな。どれだけ馬を足で

グリップできるか。馬場馬術の世界です。

落馬したらそこには冬の海水が待っているわけで・・・

こりゃ落ちれない、と心底思いました。


裸馬に跨って馬に入水をうながすものの、超怖がって入らない。

久しぶりに結構強く脚による扶助でもって入水成功。

でも馬の肩口まで海水に浸すように言われてやったけど、

そうすると俺の足のくるぶしまで水がきちゃうんですけど・・・・・

僕は長靴ではなく、ショートブーツにチャップスというふくらはぎを

保護する道具をつけているので、くるぶしから下は完全浸水。

寒いなんてレベルじゃない!!!海風も強いし。

しかもすぐ横の滑走路からはマレーシア航空とカンタス航空の

飛行機が5分おきに離発着をしていて、超うるさい。

 

馬はとてもリラックスできて、気持ちよさそうでした。

やっぱりずっと狭い馬房と馬場との往復じゃあストレスたまるよね。

うちの厩舎は馬房と広めのサンド・ヤードとがあって、

全馬、2日に一回はサンド・ヤードで午後一杯を過ごします。

これはやっぱり馬のストレスを考慮した措置だと思います。

やっぱ金のある厩舎は設備が違います。そう感じます。


爆音をともなって離発着する旅客機の真横で裸馬に跨ってビーチウォーク

ってあまり素晴らしくはないですよ。

でも馬は全然怖がるでもなしに、水遊びを楽しんでました。

そんなもんだ、と思えば馬だってなにも怯えたりしません。

カメラのフラッシュに怯えたり、サングラスの反射に怯えたり、

クラクション鳴らされて暴れたりする日本の馬とは違うんです。

これはアメリカだって同じです。ゼニヤッタの引退セレモニーに

行きましたけど、何千発カメラのフラッシュにさらされていたか。

微動だにしませんよ、そんな程度では。

日本のブリーダーはなぜ生産した馬のメンタルをもっと鍛えないのか

と疑問に思います。馬は環境とトレーニング次第ではこんなに

賢い動物なんだということを「人間」が知っていれば、もっともっと

馬に物事を教え込むことが可能なはずです。

日本のホースマンの「馬の常識」「馬ってのは臆病な動物だから・・・」

という概念は世界基準からは大きく逸脱した位置にあると個人的に

思います。

 

話はそれましたが、ノンキなもんで、カンタス航空のパイロットが着陸したあと

こっちに手を振ってましたよ。俺はそんな余裕はないです。

寒いし、落馬したくないし。

ま、鞍なんかなくたって馬の背中に跨ったときの騎座の場所さえ

しっかりしていれば、まず落ちるこたないですけどね。

またしてもいかにもオージーな話でした。