21世紀新訳・仏教経典(抄)

西川隆範編訳・桝田英伸監修

この世の由来-世記経  ~人類の降臨 その2

2013-07-17 10:20:48 | 経典
かの〈梵天王〉の容貌は、いつも子供のようであった。
だから王は『童子』と名乗った。


この時代
〈世間〉が再生されるにつれて、多くの生き物たちは〈光音天〉へと生まれ変わっていた。
彼らはおのずと湧きおこって来る〈歓喜〉を食べものとしていた。
彼らの体は光を放ち、〈神足(超能力)〉でもって空を飛び、行き来していた。
安楽であり、妨げるものもない境地であり、彼らの寿命は久しく長かった。


そののち
この〈世間〉に“大水”が満ち
天下は“大いなる闇”となった(第二の災い・水災)。

太陽も月も星々もなく、昼夜もなく、四季もなかった。


そしてまた再び
〈世間〉の様子が変化しようとしていたとき
生きものたちは
〈光音天〉での“幸せ”が尽き、“おこない”が尽き、“命”が尽きて
〈光音天のひとつ下に新しく生まれたばかりの天国・空梵處(大梵天)〉に生まれた。

ここでもやはり
彼らはみなおのずと湧きおこって来る〈歓喜〉を食べものとしていた。
彼らの体は光を放ち、〈神足(超能力)〉でもって空を飛び、行き来していた。
安楽であり、妨げるものもない境地であり、彼らの寿命は久しく長かった。

この時にはまだ
“男女の区別”もなく
“生まれの尊卑”もなかった。


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