観音経(妙法蓮華経 第二十五) ～あまねく世界を見渡す〈観世音〉という名の偉大なる求道者２〈七難・後〉

また
ある人が
“刀を持った者”や
“棒を持った者”に
危害を加えられそうになった時に
この〈観世音菩薩〉の名を称えるならば、
かれらの
“刀や棒” は少しづつ壊れてゆき
ついにはこれらの危害から開放されるのです。


もしも
〈六道世界の千倍の、その千倍の、その千倍の世界(三千大千国土)〉のすべてにている〈夜叉や羅刹ども〉がやって来て
ある人を苦しめようとしても、
その人が
〈観世音菩薩〉の名を称えるならば
いかなる〈悪鬼〉といえども
“危害を加えること”はおろか
“邪悪なる眼で見つめること” すら出来なくなります。


また
もしもある人が
罪があるにしても、無実の罪であっても、
手かせをはめられ
足かせで自由を奪われ
首かせで押さえつけられ
鎖で胴体を縛られて尊厳を奪われて、
その体を繋がれ、閉じ込められたとします。
その人が
〈観世音菩薩〉の名を称えるならば
これらすべての“繋ぎとめるもの”はことごとく壊れて
すぐに自由となることが出来るでしょう。


もしも
〈六道世界の千倍の、その千倍の、その千倍の世界(三千大千国土)〉に
“人からの怨みを買うような悪者たち(怨賊)”が満ちているとして、
そのなかを
大商人が大勢の商人たちを引き連れて
重要な宝を持って通らなければならないとします。

その危険な旅路の途中で
その中の一人がこう皆に告げます。

『善良なる皆さん。
恐れることはありません。

あなたがたが一心に
〈観世音菩薩〉の御名をお称えするならば、
この偉大なる菩薩様は
人々に “恐れのないこと”をよく施してくださるのです。

皆がこの偉大なる御名を称えるならば
あの恐ろしい盗賊たちから逃れられるでしょう』

他の商人たちはこの言葉を聞いて
一緒に
『南無観世音菩薩』
と声を上げるので
このことで苦難から逃れられるでしょう。


〈無尽意菩薩〉よ。
〈大菩薩たる観世音菩薩〉の持つ威力ある強大な力とは
このようにはるかに広大なのです。」