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21世紀新訳・仏教経典(抄)

西川隆範編訳・桝田英伸監修

宇宙の仏-華厳経  ~菩薩の十段階 その2

2010-06-13 20:43:44 | 経典
 これら偉大な山々も、ひとつの大いなる海に包まれています。同様に、<菩薩の偉大なる十地>も、ひとつの<大いなる仏智、一切智>に包まれているのです。
 この海は、十の特徴があるので、“不変なる、大いなる海”と呼ばれるのです。
 一 どんどん深くなり底が見えない
 二 生き物のしかばねなどの汚れを飲み込んで、なくしてしまう
 三 いかなる川の名水であっても、その名前を失ってしまう
 四 大いなるひとつの味である
 五 豊富に宝物を宿している
 六 深みを極め尽くすことはできない
 七 広大無辺である
 八 巨大な(偉大な)生き物の住まいとなっている
 九 飽くことなく潮の満ち引きを繰り返し、干満の時を忘れない
 十 いかなる大雨が降ろうとも、すべてを受け入れ、あふれることがない
という十の特徴です。
 <菩薩の偉大なる十地>も同様です。十の特徴があるので、“不変なる、偉大なる”ものとなるのです。
 第一の<歓喜の地>のなかで、だんだんと揺らぐことのない誓願が生まれてきます。
 第二の<垢を離れた地>のなかで、<戒を破る>という心には戻ることがなくなります。
 第三の<悟りの明かりの地>のなかで、<ものごとのいつわりの名前>が捨てられ、本質を明らかに見るようになります。
 第四の<勇ましい焔の地>のなかで、勇ましく修行に励んで、<仏を一心に敬う清らかな信心>が確立されます。
 第五の<勝利することの難しい地>のなかで、平等な心を修めることで、<時間と空間のなかでの様々な導き方(方便)と神通力>が生まれて、<世の中のこと>をすべて乗り越えます。
 第六の<諸仏が前に現れる地>のなかで、仏たちと常に共にいることができ、<とても深い因縁の真相>を見ることができるようになります。
 第七の<遠くまで行く地>のなかで、“三つの迷いの世界(三界)を離れ、仏の国へ行き、しかも三界も仏国も空であると知る”ので、広大な心が身に付き、その心で様々な物事やその成り立ちの真実について、正しく観察することができるようになります。
 第八の<不動の地>のなかで、“本来すべてのものは、生まれることなく、すがたもなく、壊れることも、去ることもないと深く知る(無生法忍)”ので、<大いに尊く、厳かに飾られて見えている世界>から目覚めることができるようになります。
 第九の<善なる智慧の地>のなかで、身につけた限りない智慧で<仏となる道>を正しい心で観察するので、<如来の不可思議な智慧や思慮深さや心の境地>が欲しくなり、そのように修行するので、“深い解脱を得て、ありとあらゆる物事の成り立ちを如実に知り、その境地を失わなく”なります。
 第十の〈法の雲となる地>のなかで、〈一切の智〉を得て、〈如来の智信を得る三昧〉に入るので、“大きな宝の蓮華”に座ることができるようになります。そして、ありとあらゆる世界を自らの光で照らして導き、諸仏を供養することができるようになるので、あらゆる仏からそれぞれのすばらしい法の雨をそそがれて、しかもそのすべてを残らず受け止めることができるようになります。



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