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マハロ船長の航海日誌2

温故知新〜天測航法を学ぶ〜

2020/12/20
加山雄三の「海その愛」の歌詞に、♪海に抱かれて 男ならば たとえ独りでも 星をよみながら 波の上を 行こう♪ というのがありますね。
満天の星と、大海原を独りゆく船・・・・海のロマンそのものですねえ!
星をよみながら」の航海に必要なのが「天測航法」なんですが、GPSの普及で、もはや「天測航法」は絶滅危惧種となっていますが、そんな天測航法に一条の光を当てるべく、去る12月20日 YBCC(横浜ベイサイドクルージングクラブ)主催による「天測航法講演会」が開催されました。


天測航法(天文航法とも言う)とは、天体を観測することで船舶や航空機の位置を出す航海術で、数千年にわたって徐々に発達してきたものです。目に見える天体(太陽、月、星)と水平線の角度を計測することによって自らの位置を知ることができるという、昔は外洋航海者必須のスキルでした。(今でもGPSのバックアップとして使う人もいるらしいです。)


集まったのは、十数人の奇特な人達(笑)
講演者は現役の船乗りであり且つ老練なヨット乗りであり、元訓練帆船「海星」の航海士でもあったK山さん。船乗りとしての腕もさることながら軽妙洒脱な話術のほうにも定評があり、関東近辺の港で彼の名前を知らぬ者はモグリだと言われる程なんです!
六分儀は、英語でセクスタントだが、六分儀というくらいだから、SIX-TANTかとおもえば、SEX-TANTなのであります。少々違和感ある英語であるが確かにS・E・Xと綴るのであります。・・・・・なんて話から始まり、天測航法についてやら、船員免許のことやら、浦賀航路の渡り方やら、海上保安庁との付き合い方やら、人生航海士の話まで、自由自在のK山節は健在なのでした。


ちなみにごく簡単に天測航法の理論を解説しますと・・・
ある時点において、ある天体が、真上に見える場所は地球上に1カ所しかなく、その位置は緯度と経度で表されます。
真上すなわち90度に見える場所は1カ所として、0度~89度に見える場所は、90度の場所を中心に円を描いた地点となります。
この原理を利用して2〜3個の星を観測してる自位置を出す航法が高度差法という天測航法の最も一般的技法です。
他に「正午天測法(Noon Sight)」やさらに古い「月距法 (Lunar Distance)」があります。太平洋一人ぼっちの堀江謙一氏は正午天測法を使っていました。世界初の単独世界一周のジョシュア・スローカム船長は月距法を使っていました。


ところで、この日に午前中は、久しぶりにセーリング。講演会参加の2名同乗で、風も平均5mはあるので、豪快なセーリングを楽しむつもりが、メンテのための臨時の小さなメインセールと、悲惨な船底汚れで全然走りませんでした。来月の上架整備が待ちどおしいです(涙)


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コメント一覧

なんちゃってオーシャンセーラー
なるほど!夕刻でも見える1等星を2~3個ということはGPSので初めの衛星を使用するような感覚ですかね~?
楽しみが増えました!ありがとうございました!!
マハロパパ
なんちゃってオーシャンセーラーさん
星と水平線の両方見えるのは夕刻のみ。
実際に使う星は10個ほどだそうです。
私は眼が悪く、星は無理そうです。
なんちゃってオーシャンセーラー
24年前に1級船舶免許を取った時には天測の講習がありましたね。実際に六分儀に触れて太陽を水平線に下ろしたのを覚えています。

2017年に44フィート艇を西宮→ロサンゼルスをダブルハンド、ロサンゼルス→ハワイをフルクルー、ハワイ→西宮をダブルハンドで依頼された航海をした時に六分儀を買いました。買ったのは玉屋の『MS-2L』で樹脂ケースのものです。もうワンランクあげて木箱の方が精度が高くやはり“ロマン”があると思ってもう少し奮発しようと思ったのですが玉屋のスタッフさんが『揺れるヨットのような小型船にはML-3LよりML-2Lのほうがいいですよ。』という高価な方を売りつけるのではなく用途に適した物を案内してくれたのが非常に好感が持てアドバイスされたままにMS-2Lと購入しました。
買った直後にお世話になっている業者さんのところに堀江さんが顔を出し『天測なんて簡単だよ!太陽が一番高くなる前後に太陽高度を測って一番高くなった時間と角度を記録するだけだよ!』的なアドバイスを戴きました。それが正午天測法ですね。天測の本では色々な方法が記載されていので頭の中がこんがらがっていたのが整理された瞬間でした。
残念ながら西宮→ロサンゼルス間ではほとんど太陽が顔を出さなかったので天測は出来ませんでしたが帰りは毎日太陽高度を測る練習はできました。

2019年に46フィート艇で再びハワイ→西宮の回航を依頼されダブルハンド航海で天測の練習が出来ると喜んで引き受けほぼ毎日天測を行い堀江さんのアドバイスから太陽が一番高くなった瞬間の記録時間を天測暦にあてはめ計算して緯度を出し、記録した時間から時差を計算して経度を出すと一番正確なポジションは26分間に28回の太陽高度を確認して計算すると1マイル以内に収まりました!!
実際にこの航海では艇の電源を使用しているGPSプロッターが不調、おまけにオルタネーターも設置ミスで長時間の使用ではオーバーヒートして電源消失などを繰り返し乾電池式のガーミンのeTrex10J2つと六分儀と海図で帰ってきました。
バックアップとしても頼りになるし、単調な航海を楽しいものにしてくれる日課が出来るので天測はお勧めです!!でも六分儀ってeTrex10J換算なら5つくらい買える価格なんですよね~、、、なので僕の中では一番の宝物です!!(笑)

なるほど最も一般的技法が『高度差法』という物なのですね!!でも星を揺れるヨットの上で上手く水平線に下ろせるかな??勉強して次のチャンスに試してみます!
マハロパパ
六分儀の天測航法は、消えゆきつつありますが、大自然を相手にするヨット乗りのシーマンシップは決して消えないと信じております。
Unknown
航海の安全 正確な位置とりにGPSがひと役かっているんですね。かつて有った駅の伝言板は、携帯の普及で姿を消しました。便利な世になった事は確かですが、
野口五郎さんの私鉄沿線に唄われていたロマンチックな風情は無くなりました。天測航法が同じとは言いませんが、加山さんが唄った男のロマンも、いつか解説が必要になる日が来ると思うと、一抹の寂しさを覚えます。
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