かりんとう日記

禁煙支援専門医の私的生活

リサイタル後感想:オラフ・マニンガー

2023年03月20日 | おんがく
チェロのリサイタルに行ってきた。
上野の東京文化会館小ホール。
かつて、一度だけ、弦楽合奏の演奏会で、のったことのあるステージ。
老舗料亭のような落ち着いた雰囲気がある。

今回はベルリンフィルのチェリストの一人であるオラフ・マニンガーのリサイタル。
経歴を見たら、なんと同級生!
しかも10月生まれで誕生日も近い。
出身がレックリングハウゼンという、神経線維腫症の名前と同じだというのもプチびっくり。
ベートーヴェンのチェロソナタの3番は、敬愛するベンジャミン先生のマスタークラスを見た後だったので、楽しみだった。

Beethoven: Cello Sonata No.3 (Benjamin Zander - Interpretation Class)

1楽章の第一モチーフは、ベンジャミン先生の解釈通り、ダウンから始めていた。
残念だったのは、「ピアノとの愛の会話」が、あまり感じられなかったこと。

ピアニストに、もう少し主張がほしいなあと思いながら聴いていて、最近職場で気になっているコメディカルの人たちに根深く浸透しているネガティブ思考と行動のことを思い起こさずにはいられなかった。

マスタークラス内でのベンジャミン先生の「ベートーヴェンはピアニストだった」という言葉が、印象に残った。
ピアノ伴奏つきチェロ独奏曲ではないということが、レッスンを見ると、よく理解できる。

ベルリンフィルは世界一流のオケ。
団員一人一人がオケという会社の社員として、様々な役割を担っていると聞く。
また、それぞれが個人演奏活動や自オケ内問わず、ジャンルを超えた人たちとのグループ活動も、積極的に行っているプレーヤーも多い。

けれど、まったくのソリストとして生きている人とは、やはり少し気迫というか、主義主張の強さの質が違うなと感じた。
でも、演奏からは、とてもまじめで誠実な人なんじゃないかなと想像した。

アンコールは、カザルスの「鳥の歌」。
オラフ氏ご自身が英語で曲紹介していたが、やはり声と楽器の音色が似ていた。
これは、持論だけれど、チェロは弾く人の性格や声までもがシンクロしやすい楽器だと思う。

この曲をアンコールに弾くチェリストは多いけれど、曲の背景を考えれば、今の時代に悲しくもマッチしている。






コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« Britten: First Suite for Cello | トップ | Come on! »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

おんがく」カテゴリの最新記事