かりんとう日記

禁煙支援専門医の私的生活

今年のさくらは

2005年02月18日 | 昼下がりの外来で
「せんせい、今年のさくらは見れますかね?」

お乳のちょっと下にしこりができて、乳がんだと思ってたら、
実は肺がんの皮下転移だとわかったお千代さん82歳。
お嫁に来た先でタバコを覚え、以来ずっと吸い続けてきた。

「タバコはがんだと言われて、すっぱりやめました。」

「せんせい、はっきり言ってください。私は命があとどれくらいと言われたからといって自殺するような女じゃありませんから。片付けなきゃいけないことも色々あるんですよ。」

話しているといつのまにかこちらも笑顔になっている。
お千代さんはそんな女性だ。
初めて会った時から大好きになってしまった。

私の中では、桜の花の記憶はなぜか悲しい記憶ばかり。
あぁ、今年のさくらも悲しい思い出になってしまうのだろうか・・・

『今年は春の訪れが早いそうですよ。見られるといいですね。』

本当に待ち遠しい。
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