びしょ濡れになりながらソファーの上で気を失っている真姫ちゃんを見遣れば、海未が目を細めて呟いた。
「真姫は……撮り溜めていたらしいにこの現役アイドル時代の映像が詰まった外付けＨＤＤが水没したと知り、このような変わり果てた姿に……」
「目を覚ませ！」
この非常事態にそんなしょうもない理由で気を失っている真姫ちゃんの頬をスパーンとビンタすると、真姫ちゃんはハッと目を覚ました。
「に、にこちゃん……よかった、無事だったのね。明日はいよいよデビューライブね。そんなところでびしょびしょになってないで早く着替えて休まないと」
「目を覚ませ！ 記憶退行させてる場合じゃないわよ！」絢瀬絵里 スターライトセーラー 服
こちとらデビューライブどころか引退ライブまでしっかり終えてアイドル生活をまっとうした身だ。
再びビンタをキメたところでようやく正気に戻ったのか、真姫ちゃんは一目散に絵里に詰め寄った。
両方の頬っぺたににこの可愛い手形がついているけど、それどころじゃないのかまったく気づいた様子はない。
「エリー！ あなたいったいどうしてくれるのよ！？ オーディオ機器も家具もまた買い直せばいいけど……！ に、にこちゃんは……にこちゃんの……にこちゃんの若い頃の映像は、もう、もう……帰ってこないのよ～～……！」
「真姫ちゃんがガチ泣きしてるにゃ……！ にこちゃんの映像なんて他にも死ぬほど持ってるのに……！」
「真姫ちゃん、ロリコンさんだから、やっぱり若い頃のにこちゃんがいいんだね」
「りんぱな意外と容赦ないわね。さすが同級生だわ」
「感心してる場合じゃないから！ いーからあんたはさっさと保険会社にでも連絡してきなさいよ！」
「真姫ちゃん元気だして？ 何を隠そうにこっちの現役時代の映像ならうちとえりちもばっちりコンプリートしてるから！」
「ちょっと待て。初耳なんだけど」西木野真姫 スターライトセーラー 服
「本当？ 本当なの希！？ 信じていいのね！？」