シャルドネに恋をして

一房の葡萄に恋をした酔っぱらいの一人言

我々はどこから来たのか、何者か、どこへ行くのか…

2017-07-21 20:26:24 | シャルドネ

1898年3月 ダニエル・ド・モンフレ宛て

この絵は、このままの状態で残るだろう。

下描きだと言う人がいるなら、それでもいい。

しかし、同時に次のような疑問もおこり、私は当惑してる。

一枚の絵の制作は何処で始まるのか?

そして何処で終わるのか?

生命の深奥で感情が激しく沸騰し、あらゆる思考が火山の溶岩のように爆発する時、

一つの作品、人は粗野というかも知れないが、偉大で、超人的に見える創造が

突如として現れるのではないだろうか?

理性の冷たい計算では、その創造を見ることはできない。

しかし、人間の心の奥底で何時から作品の創造が始まるだろうか?

おそらく無意識のうちに、それは始まるであろう。

 

     『ゴーギャンの手紙』 東 珠樹 訳 / 美術公論社

 

画家ポール・ゴーギャンが生前書いた手紙が一冊の本になっている。

手紙が本になるくらいだから、量もさることながら読み応えがある手紙ばかりだ。

この手紙はナンバリング174。1898年3月ゴーギャンの代理人モンフレ氏へ送られた手紙で、ゴーギャンが今手がけている絵に対する苦悩を綴ってあるようだ。この手紙は、年代からみるとゴーギャンの大作『我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか』(1987~98年制作)を描いている時に書いた手紙のようだ。 

創造するということは、絵だけではなく、音楽、文学、はては料理までも「始まり」と「終わり」はどこにあるかということだ。ゴーギャンはふつふつと身体からイメージが湧き出てきたときが「始まり」で、無意識なうちに始まると言っているようだ。作曲家が五線譜に音符を書き始めたときではなく歩いているときにでも歩調と同時にメロディーが浮かんだときなのか、詩人なら原稿用紙に筆を走らせたときではなく目から入った光景が頭の中で文字に変換されたときなのか、料理人はじゃがいもの皮をむき始めたときではなく晩餐会の趣旨を聞いたときに浮かび上がるメニューということが創作の「始まり」なのか。

そしたら「終わり」はいつなのか。この手紙を読むと、今が終わりなのか、まだ描き続けなければいけないのか当惑しているようだ。「終わり」は、映画やドラマのように完成した瞬間の気持ち良い歓喜が出るようなものではないようだ。

 今宵は、南フランスの太陽の恵みを運んでくれるシャルドネ姫とタヒチの楽園に思いを馳せて楽しんでいます。

 

☆シャルドネ姫と地中海の仲間たち 

 『鶏肉と地中海野菜のトマト煮』は、前夜に食材をカット、炒めて5分。煮込み20分で冷めてから冷蔵庫。カプレーゼは10分で流し込み、固まるまで1時間半。ホタテのソティーは10分。3パターンに分けての簡単料理で今宵はシャルドネ姫と南国気分です!

 

☆NOVELLUM / Domaine LAFAGE

  パーカーポイント90のシャルドネ姫。南フランスはルーション地方で地中海から5kmに位置する海辺のワイナリー。

 この造り手は創作意欲に満ち溢れています。ブドウの劣化を防ぐために収穫は夜間行います。面白いのはワインの味を求めてアッサンブラージュと言ってほかの品種とブレンドをする方法でワインの魅力を追求しますが、この『ノヴェラム』は、収穫して発酵前にヴィオニエ種の澱に一週間触れさせて、ヴィオニエ種の特有のアロマ(ライチ、桃などのアロマ)を乗り移らせるようです。つまり、これは澱に触れさすだけなのでアッサンブラージュ(ブレンド)ではなく、他のブドウ品種の協力を得たシャルドネ種100%になります。

 こういうことが、創造する造り手の湧き出たイメージの始まりなんだろうなぁ~。

 今宵のシャルドネ姫の魅力は、金色がかった少し濃い目の黄色で透明感は十分あります。ほのかなマンゴーとパッションフルーツの香りを漂わせています。お味は酸味より甘味のほうが先に出るが余韻は柔らかな酸味で、ミネラル感が溢れています。

 咽喉を過ぎるとフルーツ感に満ち、心地よいです。自分はいつも抜栓してからは、今の季節でも冷やさずに室温に戻しながら楽しみます。このシャルドネ姫は、地中海育ちのせいか温度が上っていくにつれて果樹味が濃くなり、この移り変わりが魅力をアップさせてくれます。今宵のシャルドネ姫は、十分楽しませてくれます!

 

☆カプレーゼ(トマトジュレ入り)

 

        

 トマトの優しい酸味とモッツァレラチーズが見事手をつなぎ合いミルキーさがあふれ出ており、そこにシャルドネ姫の活き活きなフルーツテイストが入りこむと口の形がペコちゃん形状に変化しました。※口の両脇が美味しくて跳ね上がりました。

    

 ☆鶏肉と地中海野菜のトマト煮(オレガノ入り)

 少しオイリーなトマト煮込みとシャルドネ姫の夏色の果実味がみごと相乗効果をあげて、全体が深い味わいに生まれ変わり、美味しさ全開です!

 

☆ホタテのバター&トリュフペースト(黒トリュフピューレ:ウルバーン社)

 ホタテの甘味、旨味が階段をつくり、ひとくち噛締めるごとに一段あがり、たどり着いたのはホタテのミネラル感とシャルドネ姫のミネラル感が抱き合った幸せの聖地。

 

 今宵の料理はすべてシャルドネ姫とハグしながら飛び跳ねるくらい相性が最高!そのせいか、今宵のシャルドネ姫とのランデヴーは40分ほどで完食・完飲。困った。いつもならシャルドネ姫と楽しみながらブログを書くのに、どうしよう...。もう一人の姫に逢おうかな...。

 

 我々は「どこから来て」、「どこへ行くのか」。また「始まり 」と「終わり」は? それを思うと、ブログを書いていてこれでお終いにしようと思ったとたんに、これも継ぎ足したらいいんじゃないかとか、余計なことを書きすぎたので手直しをしてしまい、いつのまにかずるずると時間がすぎ、挙句の果ては、「こんなもんでいいか」と投稿してしまうのが私です。ゴーギャンと私は天と地どころか太陽の何億光年向こうから地球の中心核以上の差がありすぎ、話になりませんですよね。

 

 『我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか

この絵は、右から人間の誕生から死へと4つのパーツに分かれている。自分の絵の知識は色々な本を読んだところからの受け入れ知識なので、これ以上の説明はしません。

 

 今宵の楽曲は、ゴーギャンの絵『二人のタヒチ女性』がジャケットになっているマイケル・フランクスの歌です。

             ↓ 

♪Michael Franks - Tahitian Moon