風のたより #133 千葉甫 2019-12-21 14:03:23 | 短歌 食べられるために食べさせられている牛が長閑な眼を向けてくる 明るくはならないままに昼がきて降り出している音の無い雨 雲一つ無く晴れわたる十二月の日向と日陰の気温の落差
風のたより #132 千葉甫 2019-12-19 13:58:43 | 短歌 新しく増えずに私の住所録ここまで減って年賀状書く 久しぶりと言われるほどにご無沙汰の長引いていた私だったか 恙なく師走も残るは十日ほど「喪中につきの」はがきを見ずに
風のたより #131 千葉甫 2019-12-17 13:45:43 | 短歌 忘れてはならぬと思っていたことを忘れていたとふっと気がつく 目の前を携帯電話を見つめつつ横切るスケートボードの少女 幾度も目覚める短い眠りにはそれぞれに夢 脈絡も無く
風のたより #130 千葉甫 2019-12-15 14:07:09 | 短歌 灯点して眼にとびこんできた蜘蛛の怯んだ私から走り去る 黄昏に匂いのあって予報より遅れて降ってきた雨を知る 何事も即決断の出来なくて今日も一つの思案引きずる
風のたより #129 千葉 甫 2019-12-13 12:02:20 | 短歌 北からの風に向かって背後から鴉の低く来て舞い上がる 眼に見えて寂しくなった紅葉の木の下を行く一週間後 細々と降り続いていた雨上がる今日のパレード終った後に