でっかくて
真っ暗な倉庫に置かれた
コピー用紙の空箱の中で
泣いていた
この子以外
箱の中にはぺらっとペットシーツだけ
水もフードもなし
ヤバい
あの人たちならやりかねない
いや、きっとやる
この状態で15時間とか放置する
おばちゃんHのニンゲン嫌いアンテナは
こういう時みょーに働く
もしかして近くにいるかも?な
お姉ちゃんHの電話を速攻鳴らす
近くではなかったけど車とばして走ってって
防犯カメラにたくさん映っただろうお姉ちゃんHのファインプレー
残業中に携帯鳴らしてごめんねNさん
重たい扉の倉庫からこの子を連れ去る許可くれてありがとうAさん
ほか、手をかしてくれた情報くれた幾人かの方々ありがとう
そして、この子は
ここにいる
体温が下がってしまってる
舌の色も薄ピンクになっちゃってて
シリンジで流し込むミルクも
ほんのちょっとずつしか呑み込めない
月齢は1.5か月ほどか
元気なら600gを超えててもおかしくないだろうに
痩せていて軽すぎる
いつから食べれていないのか
ずっとずっと泣き続けている
泣き声も普通じゃない
苦しいのだ
時計は夜の8時をとうに回ってしまってる
KO先生の携帯を鳴らしてみたけど
つながらない
きっと午後の診察がまだ続いているのだろう
明日の朝いちばんで病院へ駈け込もう
寝ずの看病はできる
でもこの子に何か起こらないかすごく不安だ
前日からこの子の「たすけて」を耳にしたニンゲンは
たくさんいたらしい
この小さないのちを前に
9時5時の仕事したのか
1件の動物病院に断らて倉庫か
なぜ他をあたらない
面倒なら担当降りろ
ボランティアに電話したけどつながらなかった、て??
おばちゃんたちの電話は鳴ってない
嘘つくな
ほんの少し入ったミルクのおかげか
舌に赤みがでてきた
でも自分から食べ物に行かない
子猫は体が冷えたら口をあかない
お姉ちゃんHがペットボトルの湯たんぽをつくる
死ぬなよ
話しかける度じっとこっちを見つめてくる
10時半、おばちゃんHの携帯が鳴る
「午後の診察長びいちゃって、どうしたの?」
10:45 おばちゃんHはKO先生の診察室にいた
電話で泣き声を聞いてもらうと
「その声はまずいね、今からおいでよ」
体重は320g
男の子
TubeDietハイカロリーを溶いて
胃袋へチューブで入れてもらうとピタと泣き止んだ
「きっと低血糖になっちゃってたね」
背中に補液
毛布にくるんで湯たんぽの横に
...すると
うとうとし始めた
よ、
よかった~( ;∀;)ほんとに、ほんとに‼ を連発し
「まだチューブで流動食必要かも、数日病院でみるよ」と言ってくれたKO先生に頭下げて
おばちゃんHが病院を出るころには日付が変わっとった
手抜き仕事の誰かたちのせいで死んじゃうなんてくやしい
がんばれ、ちびっこ
今日には、明日には
大きな声で「おなかすいたーー!!」と言ってくれ