本ブログの初期の頃に、スピリットと果汁で作る簡単なカクテルを紹介いたしました。
今回はコロナも普通の流行り風邪同様となり、少しはお外でお酒を楽しめるようになったということで、少し本格的なカクテルのお話を。
さて、カクテルはCocktailで表記され、直訳すれば「ニワトリの尾」となります。何故ミクストドリンクがニワトリの尾になったのか。まあ諸説あるのは当然なのですが、定番の港町を舞台とした、国際バーテンダー協会のテキストにも紹介されている説によると。
メキシコはユカタン半島のカンペチェなる港町(具体的ですね~)に英国の船が入港し、マドロス(英語ではSeamanですが)さんが地元の酒場に入ると、店の奥で少年が何種類かの酒を木の枝でマドラー代わりにステアしています。英国では酒はストレートで飲むのが一般的なので、珍しいと思い「それは何だ?」に対して少年の答えが、その木の枝のことだと勘違いし、「コーラ・デ・ガジョ」とスペイン語で答えましたが、それは「雄鶏の尾(Tail ofCock)」を意味する枝の愛称だったそうで、その勘違いが時代を超えたミクストドリンクの名前となったそうです。
前回の簡単なというか、作りやすいカクテルで紹介いたしました、4大スピリットに加え、ベースとして、ブランディ、ウィスキーなどが加わります。ブランディはブドウを原料とした蒸留酒で、これを樽で3年以上場合によっては50年以上、更に判らないくらい(Unknownと呼ばれる)寝かせて作られます。有名なのはコニャックとアルマニャックでいずれもフランスの地方であり、揶揄されるのが美味しいワインができないから、蒸留したと。ヘネシー、レミー・マルタン、クルボアジュ、マーテルなどが有名ですが、カクテルに使われるのは、VSOPクラスです。それ以上の格のものはそのまま召し上がるほうが宜しいかと。あたくしの好みはマーテルのコルドン・ブルーでございます。高いのでいわゆるブランディグラスと呼ばれる、チューリップグラスで手のひらの温度にゆっくりと温めて、至福の香りとお酒に流れた時を楽しむのであります。!
ウイスキーはアイリッシュ(アイルランド)が発祥ですが、英国のスコッチ、アメリカのバーボンにテネシー、カナディアンそして最近人気のあるのが日本のウィスキーです。個性からすれば、スコッチとライ麦が主原料のバーボンが、カクテルでは多用されます。
前回ご紹介したのは主にロングドリンクでした。別にグラスの長い、短いという意味ではありません。供されてから飲み終わるまでの時間が短い(お勧めとして)のが、ショートタイム・カクテル、ゆっくりでも宜しいのがロングカクテルとなります。お試しになれば一目瞭然で、カクテルグラスで供される強めのカクテルは、温くなると本当にまずいのです。
今回はあたくしの好きなショートドリンクを中心に紹介いたしますが、まずはショートカクテルに使用される、フレッシュジュース以外の材料を紹介します。まあ普通に大きな酒屋では売っていますが、個人的にそろえるのは少々ハードルが高い。まあ多少は我が家にもございますが(自慢)殆どがリキュールと呼ばれる、お酒です。まずベルモットから。
「ベルモット」とは白ワインにニガヨモギなどの香草やスパイスを配合したフレーバーワインを指します。大きく分けると辛口(ドライ)が主体のフレンチベルモットと甘みの強い(スイート)イタリアンベルモットとなります。スイーツ系は更に白のビアンコと赤のロッソの区別があります。
イタリアンのドライで有名なのは「チンザノ」「マルティーニ」という銘柄があります。勿論両社はスィートも出しています。
次はキュラソー。元々はブランディなどのスピリッツにオレンジの果皮と糖分を加えた甘めのリキュールです。オレンジキュラソーと、ホワイトキュラソーに大別され、ブルーキュラソーや、グリーンキュラソーはホワイトキュラソーを着色したものです。
ホワイトキュラソーの有名な銘柄として、コアントロー。オレンジキュラソーでは、グラン・マルニエが挙げられます。
甘みが続きましたが、最後は苦みです。「アンゴラスセラ・ビターズ」です。そもそもビターズとはチョコレートなどでお馴染みで、お察しの通り、苦みです。元々は薬酒として医師が開発した薬草・香草・樹皮・香辛料などを数種類お酒に付け込んで作られたものです。アブサンも元々はこれの範疇ですし、日本では各地に残っていますが、養命酒が有名です。胃の薬などとして処方されていましたが、現在はカクテルに苦みや香りを加味する目的で使用されます。
代表がアンゴラスセラ・ビターズで、アロマティックが語源の薫り高い薬酒です。双璧がオレンジ・ビター、名前の通り柑橘系の香りとなります。
このほかには良く使用されるのが、フレッシュレモンと、フレッシュライムであります。
昔はレモンが高くて、代用品としてポッカレモンや、甘ったるいライムジュース(といよりシロップ)が使われましたが、どちらもそれなりに安く入手できるようになりました。
ライムはメキシコ産が多いのですが、ちはら台の「ください菜」には初冬に市原産のライムが店頭に並びます。大きくて黄色くなるまで熟れた、本当に美味なライムで、毎年大量に購入し、札幌のすすき野でライブバーをやっている弟に送っています。勿論我が家でもカクテル三昧。