スロバキア、タトラ山脈の麓より

スロバキア人の夫と2人の娘と私の生活
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物乞いと食事券

2019-02-26 | ひとりごと
ちょうど給料日の翌日あたりだったか、仕事を終えて駐車場へ出たとき、一人の男性が「何も食べていないんだ。食事券をくださいませんか」と近寄ってきました。

物乞いにお金や不要になったものを恵んでくれと声をかけられるのはスロバキアでは日常の一部です。スーパーの入り口や駐車場、集合住宅の前等が最も声をかけられる場所です。(集合住宅のゴミ箱をあさりに来るんです)私は基本的にあげないことが多く、マルツェルは時々あげています。使わなくなったベビーカーや何かをあげたことはありますし、衣類やおもちゃなどは袋に入れてゴミ箱に入れておく(或いはかけておく)と持って行ったりします。

この日物乞いに食事券をくださいと言われて私は正直すごく迷いました。食事券とは、会社から受けられる手当の一つで、社食のない会社などで、昼食の代わりにこのクーポンが支給され、そのクーポンを使ってレストランやフードコートの支払いや、スーパーの支払いに利用することができるものです。一部私も負担していて(給料から控除されている)全額会社負担ではないのですが、とてもありがたい制度です。私がもらっているものは一枚につき、3ユーロ60セント、レストランのランチメニューがだいたいこれくらいの金額に設定されていて、ランチ一食分に相当する価値のあるものです。



話を戻し、物乞いに食事券をくださいと言われとても迷いました。私が物乞いにあまり金銭をあげないのは、その使い道が分からないからです。本当にその人の、その家族の、その子供の助けになるのならあげたいですが、それがアルコールに消えてしまうのならあげたくはない。それにそういう人たちの前でむやみにかばんを開け、財布を取り出すのもあまり安全とは思えず、したくありません。この日、オフィスの前で待っていた男性からアルコールの臭いはしませんでしたし、言葉遣いも礼儀正しいものでした。現金でなく、食事券ならばそれをお酒に変えることもないでしょう。この人は本当に困っているんだろう、一瞬あげようかな、どうしようかなと迷ったけれど、やはり見知らぬ男性、かばんを開ける気にはならず断り、車に乗り込みました。

私に断られ、その男性が真っすぐ向かった先は駐車場の片隅にあるゴミ箱(コンテナ)でした。あぁ、やはりあげるべきだったのか。私はなんてケチなんだろうか、後味悪く帰宅し、夜になってもずっとその男性の姿が脳裏から消えませんでした。








2 Comments

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こんにちは (Keiichi)
2019-03-27 05:30:47
こんにちは。
その優しいお気持ち、
目には見えないけれど、
その方に伝わっていると思います。
決して、ご自分を責める必要はありません。
その方の幸せを祈ります。
Chihirko様のますますのご活躍、ご健勝を祈ります。
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Keiichiさん (Chihirko)
2019-04-11 02:43:51
食事券も小銭もあげなかったことをしばらく悔やみましたが、仕方なかったと思うことにしています。こういう風に瞬時で人を判断するのは難しいことですね。
その方が暖かいごはんを食べられたらいいのですけど。

コメントありがとうございました。
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