病院・診療所の新築・建替・リフォームに関する事や、その他色々な事について書いていきます。
分娩室・手術室-2
帝王切開など、産婦人科では
必ず手術が行われます。
手術台を分娩台と兼用して
利用する場合もありますが、
やはり、分娩台は、専用を
1台確保し、もう1台を手術
兼用分娩台とする形が良い
と思います。
では、分娩室と手術室は
それぞれ別の部屋とした
方が良いか。
先生の方で、特別な希望が無い
場合、私は分娩・手術室として
1室とし、それぞれを可動間
仕切り壁で仕切れる形を提案して
います。
手術と分娩が重なった場合や、
分娩が重なった場合は、可動
間仕切壁で仕切り、それぞれの
プライバシーを確保する。
それ以外の時は、広く1室
として利用する、というスタイル
です。
1室にしたからといって、大部屋の
病室みたいに、エアコンや照明等の
設備を兼用することはできませんが、
広く利用することは可能です。
せっかく、しっかり独立した手術室
をつくっても利用していない時間が
多かったり、無理に2部屋つくるた
めに、両方とも狭くなるのは、少々
もったい無い気がします。
可動間仕切壁の種類も、様々な
種類があり、簡易的なものから、
防音性能があったりするものもあ
りますので、予定分娩数、オペ数
などを良く考慮して、検討したほうが
良いと思います。
次回は分娩室の内装について書きたい
と思います。
医療環境デザイン研究所
分娩室・手術室-1
分娩室は産婦人科にとって最も重要な
部屋の一つだと思います。
病棟の職員にとっては、この部屋のつくり
かたが、病棟の作業効率をおおきく左右
する、とても重要な部分だと思います。
そこで、私が分娩室を設計する上で最も
重視しているのは、患者さんの不安感の
払拭です。
作業効率を上げるために、患者さんの
不安感を払拭する事を重視する。という
のは少しおかしい気がすると思います。
患者さんにとっては、不安いっぱいの中、
痛み苦しみ、新たな生命の誕生が行われる
場所ですので、プライバシーや、清潔感等
とても関心が高いと思いますが、職員の
作業効率などは一見どうでも良い様な
気がします。
分娩は手術や検査のように、時間を
決めて行い、必要時間もだいたい
分かるものとは異なり、分娩の場合は
大まかな予定はできても、いつから始
まり、どの位時間がかかるかを決める
のはとても難しい事だと思います。
患者さんは陣痛がはじまり、陣痛室等
を経て、分娩室へ入ってきます。
分娩台の乗ってすぐ産まれる、
という人もたまに居ますが、
人によっては長時間分娩室に
乗っている場合もあると思います。
その場合、職員がずっと付きっきりで、
見なくてはなりません。
しかし病棟では、新生児のケアや
処置、入院患者さんの授乳サポート
ナースコール対応等様々な作業を
おこなわなくてはなりません。
夜勤などは、人員も限られており、
患者さんが落ち着いている時等は、
少し部屋を離れる場合もあると
思います。
職員が、新生児のケアをしている時に
分娩室の患者さんが、ナースコールで
呼んでも、新生児室と分娩室が遠く離
れており、分娩室にナースがくるのに
少し時間がかかってしまった。という様
な事が起こったとします。
職員が離れる場合は、状態が安定して
おり、緊急性は無い場合ですので、
大きな問題は発生しない思いますが、
患者さんの心理的な面では、とても
大きな不安を与えることになると思います。
分娩室内に職員が居なくても、いつも
見守られている、呼べばすぐ来てくれる、
という事が、患者さんの不安感を減らす
とても重要な要素だと思います。
分娩室は、陣痛室はもちろんの事、
ナースステーション、新生児室、
授乳室、沐浴室等の病棟の関係
諸室とのつながりが、とても大切
になってきます。
これらをどのようにして配置していくかを、
院長先生や診療所の考え方に沿って、
職員のそれぞれの動き方を具体的に、
検討し、十分話合い慎重に決めていく
ことがとても大切だと思います。
次回はもう少し具体的なことについて
書いていきたいと思います。
医療環境デザイン研究所
病室その6
病室内の設備
病室内には照明やエアコンはもちろんですが
様々な設備が必要です。
■コンセント
治療用に利用するフットポンプ用、
ハートモニター用、NST機器用、
ヒーター用等のなコンセントが必要に
なります。
すべてのベッドにこれらの治療用
コンセントが必要では無いと思い
ますが、設計段階から、しっかり
検討しておく必要があります。
それ以外にベッドの廻りには、ベッド用、
ベッドライト用、テレビ用、携帯電話の
充電用やパソコン用等の一般コンセント
等が必要です。
また、配置についても、機器操作の
為に抜き差しする必要があるコンセント
等は、ナースが腰を曲げて行わなくても
良い様な位置に設置してあげたいですね。
しかしながら、効率優先で、普通の病院の
ような、ベッドの頭に上にコンセントがあり、
そこからコードが垂れ下がっている様な
状態は避けたいですね。回復室や、陣痛室
等の場合はこのような形でも良いと思います
が、普通の病室は、落ち着いた雰囲気を
保ちながら、かつナース等の職員の操作も
し易い位置を検討し設置した方が良いです。
その他ベッド廻り以外は加湿器用、掃除用等の
コンセントを設置しておく必要があります。
■スイッチ類
個室の場合の照明のスイッチは部屋の入口と
ベッドサイドに三路スイッチを設け、患者さんが
ベッドに居ても操作できる様にした方が良いと
思います。
エアコンのリモコンについても同じく、
ベッドサイドに取付けられる用にして
おくと良いと思います。
患者さんがいちいち、ベッドから降りて
操作しなくても良い様に考えておくこと
が重要です。
医療環境デザイン研究所
病室その5
大部屋病室(多床病室)
大部屋をどのようにつくるか。
とても重要な問題です。
普通の病院のように、ベッドの間をカーテン
だけで仕切る。という方法では残念です。
患者さんが一番気にする点は、
プライバシーの確保です。
ベッドの上で「ぐたっと」している姿を他人に
見られるのは、男性でも嫌だと思います。
カーテン1枚でも、見られないようにする事は
可能ですが、やはりカーテン1枚といのは、
心理的にも不安を感じると思います。
ベッドとベットの間に収納家具を設置して、
患者さんのプライバシーを確保するなど
の工夫が必要です。
この家具のつくりかたによって、部屋全体
の雰囲気が全く違ったものになります。
その他にも、ベッドの上しか居場所が無い
というようなことを避けるため、ベッドサイド
に一人用ソファが置けるくらいのスペースを
取れるくらいに広げたり、家族写真などの
小物が置けるスペースを設けるなどの工夫
も欲しいところです。
夜の消灯後に利用するベッドライトの配置や、
テレビの配置や種類などにも、細やかな気配
りをしたいですね。