病院設計者のブログ

病院・診療所の新築・建替・リフォームに関する事や、その他色々な事について書いていきます。

病院・診療所の設計のための建築知識3

2013-06-28 | 病院建築

 

病院・診療所の診察室には

採光をとる必要はありません


 

病院、診療所の設計をする場合、

法律で、病室などには採光が取れる

窓を設置しなければならない。と

決められています。


病室の場合、その部屋の面積の1/7

以上の採光上有効な窓面積が必要

です。


食堂、談話室の場合は1/10以上の

採光上有効な窓面積が必要です。


部屋に窓が有るのは当り前だと

思われるかもしれませんが。


採光上有効な窓とは、窓の前に道路

があったり、隣の建物や、隣の敷地

から十分な距離が確保されている窓

でなければなりません。


狭い敷地で、敷地いっぱいに建物を建て

てしまうと、たとえ隣の敷地の建物が

平屋だったり、隣の大きな庭に面して

いたりして、窓からは、光がさんさんと

注ぐ窓がつくれる場合であっても、採光上

有効な窓とはならず、病室としてはつくれ

なくなってしまう場合があります。


しかし、病室、食堂、談話室以外の

診察室や、待合室などの部屋には、

法律上での採光を確保する必要は

ありません。

 

決して待合に窓が必要無い

と言っているのでは無く、法律

上の窓を設置する必要が無い

ということです。


ですので、隣地までの距離や、

隣の建物までの距離を気にせず、

部屋の位置やレイアウトを決める

ことができます。


狭い敷地の場合

はとても重要な事です。


昔の法律では、診察室・待合等にも

採光が必要でしたし、談話室には

採光窓は必要なので、今でも待合

などには採光窓は必要だと思ってい

る設計者も居ますので、確認して

みてください。


前に、確認申請時に役所の人から、

必要だと言われた事もありましたので

注意してみてください。



医療環境デザイン研究所





 

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産婦人科の設計-病棟11

2013-06-25 | 産婦人科

分娩室・手術室-5

 

無影灯について

 

手術台や分娩台上部に設け

る無影灯の設置については

注意が必要です。

 

無影灯は上下左右に移動させ

て利用しますので、しっかりと

固定されていなければなりま

せん。

 

無影灯の器具の根元の部分

を固定する為、天井裏のコン

クリート部分に鉄骨の下地を

設置しなければなりません。

 

これを設置するには、建物が

建つ前のコンクリートを打設

する前の鉄筋を組んだ状態で、

前もって金物を埋込んでおく

とより、安全性が高まります。

 

これらを行うには、設計段階で、

しっかりと打合せを行い、手術台

や分娩台の位置も決めておかな

ければなりません。

 

前もって埋込まなくても設置

できる方法はありますが、

患者さんの真上に設置する

ものですので、できるだけ

安全に設置したいものです。

直接関係が無い話ですが以前に、

中央高速道路の天井板の崩落

事故がありましたが、あの設置

方法は、天井裏のコンクリートに

後から、金物を打込む方法で

天井板を固定する方法だった

ようです。

 

医療環境デザイン研究所

 

 

 

 

 

 

 

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産婦人科の設計-病棟10

2013-06-18 | 産婦人科

分娩室・手術室-4

 

分娩室・手術室の清浄度について

 

手術室や分娩室は清潔区域として他の

区域とは区別をしなければなりません。

 

手術室の清浄度の考え方は、昔と今では

変化してきていると思いますが、指針に

基づいて、しっかりと打合せをして決めて

いく必要があります。

 

この清浄度によって、手術室の

つくり方やコストは大きく変わってきます。

 

手術の内容によって、必要な清浄

度が異なりますので、行おうとする、

オペ内容をしっかり想定して決定し

なければなりません。

 

一般的な産婦人科の手術であれば

一番高い清浄度は必要ありません。

 

人工関節の手術等をする整形外科の

手術室が、最も高い清浄度を要求する

手術室で、クリーンルームと呼ばれて

います。

 

手術室というと、全てクリーンルーム

にしなければならない、と思っている

設計者がいたりしますので、しっかり

確認する必要があります。

 

分娩室は、単独の場合は手術室よりも

低い清浄度で良いと思いますが、

分娩室との可動間仕切壁で仕切る

場合は、分娩室も手術室の清浄度

とします。

 

分娩室も清浄度を上げてしまうと、

コストが高くなってしまうのでは

思われるかもしれませんが、

兼用にするメリットと、設備計画を

適切に検討すれば、コストはあまり

変わらなくなると思います。、

 

清浄度を高めるためには、フィルター

を使用し、空気を浄化します。

このフィルターの種類によって、

清浄度が変わります。

 

機器は様々ありますが、パッケージ化

されたユニットもありますので、それを

利用しても良いと思います。

 

また、手術室内の気圧を陽圧に

保ち、手術室以外の部屋からの空気が

中に入ってこないようにします。

 

簡単に書きましたが、実際はしっかりと

計算をし、それに基づき設計をしなけれ

ばなりませんので、しっかり検討を

してください。

 

お産をメインとしている産婦人科の場合は

手術室の清浄度についてはあまり、神経質

にならなくとも良いと思いますが、利用し始

めてからの、清掃や消毒等のメンテナンスを

しっかり行い、常に清潔を保つことが、とても

大切だと思います。また、それらが行い易い

手術室・分娩室の設計を行うことが、とても

重要です。

 

医療環境デザイン研究所

 

 

 

 

 

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産婦人科の設計-病棟9

2013-06-04 | 産婦人科

分娩室・手術室-3


分娩室・手術室の内装・設備について

 

分娩室は手術室とは、清浄度等の

考え方が異なりますが、前述のように

分娩室と手術室を可動間仕切壁で

仕切る形をとることもありますので、

ここでは、分娩室も手術室と同じと

して一緒に書いていきたいと思います。

 

産婦人科ですので、一般の病院の手術室の

様な、無機質な冷たい感じの内装は避けたい

ですね。

 

しかしながら、「やさしく暖かい感じが良い」

といって、本物の木をそのまま壁に貼ってしまう

というのは問題です。(当然ですが)

 

医療法では、

「手術室は、なるべく準備室を

附設しじんあいの入らないようにし、

その内壁全部を不浸透質のもので覆い、

・・・・・・・・・・・」

とあります。

 

これは、手術室は、ほこりやチリなどが

入らない様にし、壁は血液等がしみ込

まない様な素材で覆い、掃除ができる

ようにするいうことです。

分娩室も基本的には同じ性能が

要求されますね。

 

昔はタイルを壁に貼るというのが、

ほとんどの手術室で行われていた

と思います。

 

さすがに、今の手術室で、タイル貼り

というのはありませんが・・・。

 

では、どのような素材があるか。

一般的な手術室は、セメント板に

化粧を施した製品を使っています。

 

これらは、耐水性はもちろん、抗菌

性や、対薬品性などに優れたもの

などもあり、大変優秀な材料です。

 

一般的な手術室を思い浮かべると、

薄い緑色や青色の壁と、床のイメージ

だと思います。

手術衣もこのパターンが多いですね。

 

産婦人科ですし、分娩室としても

つかいますので、、このイメージでは

なく、もう少し柔らかい感じが良いですね。

 

私の場合は、同じ素材で、表面が

木目の物をよく使います。

普通に見ると、本物の木のように見えますが、

本物では無いので、耐水性や抗菌性も優れて

いて、清掃のし易さも良いです。

 

一般的な手術室を見慣れている人は、

木目調の手術室を見ると違和感を

持つかもしれませんが、妊婦さんに

とっては、気持ちが和らぐと思います。

 

無影灯や器材などがたくさんあり、

ただでさえ、ものものしい感じになっ

ていますので、内装に少し気を使う

ことは大切です。

 

 分娩室と手術室を仕切る可動間仕切

壁も、表面材はこの壁と同じ材料で統

一するのが良いと思います。

 

それ以外にも、棚等の枠をステンレスの

ままではなく、壁と同じ様な色を塗ったり

して、全体的な雰囲気を統一する等の

工夫も欲しいところです。

 

医療環境デザイン研究所

 

 

 

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