今回は診療所を開業する時に
気をつけなければならない事に
ついて書いていきます。
診療所を開設する時には、保健所や
厚生局等へ様々な書類を提出しなけ
ればなりません。
まず最初に、保健所へ開設届けを提出
する必要があります。その後、社保や
国保から診療報酬を受取る為の、保険
診療機関指定申請書を地方厚生局へ
提出します。
その後各厚生局から、保険診療機関指定
を受け、始めて診療が行えるようになります。
ここで重要なのが、保険診療機関指定申請
のタイミングです。
各厚生局は、それぞれ、締切日を設定して
います。
たとえば、7月1日に開業予定のクリニックが
あるとします。
締切日が10日の厚生局の場合、7月1日に
指定が必要になりますので、前月の10日
である6月10日までに保険診療機関指定
申請を提出しなければならないという事です。
6月11日に指定申請を提出したら、指定を
受けられるのが、8月1日となり、1ヶ月も
開業が遅れてしまうことになります。
ですので、この締切日を最重要ポイントとして
スケジュールを立てる必要があります。
保険診療機関指定申請書には保健所
へ提出した開設届けの写しが必要とな
りますので、指定申請までに、開設届け
を提出して、写しを手に入れておかなけ
ればなりません。
開設届けの写しは、保健所の受付印
が押されているものでなければなりま
せんので、同じ内容の開設届けを2部
準備して保健所へ提出します。
ここがまた、重要ポイントです。
医療法では、「診療所を開設した場合、
10日以内に開設届けを提出しなけれ
ばならない」とあります。
ということは、言い換えれば、届出なの
だから、クリニックを開設した後に書類を
提出すれば良い。
という事になりますから、診療所の建物
が完成していれば、開設届けを提出す
れば、受付印を押して返却してくれると
思ってしまいます。
しかしながら、実際は、異なる場合が
ほとんどです。
開設する前に保健所へ建物プラン
や診療時間、診療内容等の事前
打合を行い、開設届けを前もって
提出し、保健所の職員がクリニック
に立入り検査を行い、問題が無い
ことを確認した後に、保健所の印
を押した開設届けの写しを返却
する。という、形をとる保健所が
かなりの数あります。
ですので、保険診療機関指定申請
の締切日の数日前に、開設届けを
保健所へ持って行っても、建物に
問題指摘があったりして、受付印
を押した写しを返却してもらえず、
締切日に間に合わず、開業日が
遅れてしまう事になってしまうことが
有り得ます。
これは、届出制ではなく、実質許可制
になっているので、保健所のやっている
ことは、おかしいのですが、ここでは
その是非はおいておきます。
大切なことは、これらの状況をしっかり
踏まえて、開業までのスケジュールを
たて、建築工事や、機器の発注などを
調整を行う必要があるという事です。
保健所の立入り検査が行われる
段階では基本的には、すぐに診療
が開始できる状態である必要があ
ります。
ということは、指定締切日前に保健所
検査を受けていなければならないので、
建築工事は少なくとも開業1ヶ月前に
は終わっている必要があります。
建築工事や内装工事が終わっている
だけではなく、X線機器等の医療機器
はもちろんの事、診察机や処置ベッド等、
全て整っている必要があります。
院内掲示や室名表示なども全て準備
していなければなりません。
建築工事はこれら以外にも、消防署や、
役所などの建築検査もありますので、
全てをトータル的に把握することが、
大変重要になってくると思います。
予定のスケジュールがたった1日づれても、
指定申請が1ヶ月遅れ、開業が延びてしまい、
明日にでも開業できるという状態をつくっ
ていながら、2ヶ月間も診療ができずいる。
という事が起こる可能性があるのです。
それに、従業員の給料の問題も大きく
関わってきます。
病院・診療所の建築設計を行う設計者は
建築・内装工事の工程管理だけでは無く、
医療機器の搬入時期との調整や、その他
申請関係のスケジュール調整など、開業
までの一連のスケジュール管理をしっかり
行ってもらう必要がありますので、開業日に
ついては、設計者とは最初の段階から、十分
に話し合って進めていくことが、大変重要で
あると思います。
ただし、完全自費のみで保険診療をしない
場合は、異なります。