その場合は、「建てられたのは、昭和56年より前ですか、それともそれ以降ですか?」と必ず確認する。
なぜかというと、56年より前か後かで、建物の強さは、全く異なるからです。
昭和56年に建築基準法の改正があり、構造の規定が大きく変わったのです。
56年以前の規定では、大規模な地震が起こった場合、建物が倒壊してもおかしくない状態になっているのです。
だからといって、56年以前の建物は全て危険である。というわけではありませんが、阪神淡路大震災の時に、崩壊した建物は、ほとんどが、昭和56年以前の建物だったのです。
我々建築界では、56年以降の建物を新耐震建物と呼び、それ以前の旧耐震建物と区別しているのです。
政府などは、旧耐震で建てられた、公共建物の建物の耐震化を進めています。学校などから始め、公立病院なども、建替えなどを含め、耐震化が進んでいるとおもいます。
しかし、民間の病院などの耐震化は、まだまだ進んでいない状態です。
理由としては、
・耐震診断などの補助金が、少ないもしくは出ない。
・耐震診断をしないと、耐震補強の工事金額が、算出できない。
・お金をかけて、耐震補強をしても、建物が使い易くなるわけでもなく、見栄えが良くなるわけでもない。逆に筋交いなどができて、外観上も悪くなる場合がある。
など、目に見えて良くなる事が少ない。
・現状は問題なく使えている。
などの理由があげられます。
耐震補強には、かなりの工事金額がかかりますので、私も病院から相談されて、
患者さんが入院している施設なのだから、震災の時も倒壊しないように、するべきです。と言うのが理想ですが、
上記のような理由もあり、勧められていないのが、実状です。