305「古代エジプトの教え」

暑さ対策として（？）図書館に涼みにいってエジプト関係の本など3冊を借りてきました。

その中の1冊に、古代エジプトの古王国時代（BC 2686～BC 2181)・第5王朝のジェドカラー・イセシ王に仕えた宰相プタハヘテプという人物が引退にあたり息子宛に書いたといわれている、宮廷内の処世術教訓書についての記述がありました。

第5王朝というと、ギザの3代ピラミッドで有名なクフ、カフラー、メンカウラーなどが第4王朝ですから、その次の王朝です。(第3王朝から第6王朝までが古王国時代）

クフなどの大4王朝時代は大きなピラミッドが盛んに作られた時代ですが、この第5王朝時代はアブ・シールという場所に比較的小規模なピラミッドを立てている時代です。

「宰相プタハヘテプの教訓」

★よき会話は、エメラルドよりもまれなものであり、下女の口からさえ出ることがある。

★汝に論争を仕掛けるものがいて、悪しき言葉を吐くとき、沈黙によって汝の優越を際立たせよ。さすればわかってくれる人々の心の中で汝の名声は高まる。

★汝より身分が低いものが論争を仕掛けてきても、彼を攻撃するな。
汝の心をぶちまけるような言葉をむけるな。
彼の心を嘲笑するな。
弱いものを挫くのは良くない。彼の望むままにしておけ。
そうすれば、おのずと法律が彼を罰しよう。

★上司同士を仲たがいさせるような中傷や告げ口をするな。

★出世しているものが、過去に卑しい身分であったとしてもその過去ゆえに軽蔑してはならない。

★汝の生計に必要以上に働いて、時を失うことはするな。

★汝にものを頼む人がいたら、彼の言葉に耳を傾けてやれ。
彼の願いを成就させてやる必要はない。彼は願いが成就することより、聞いてもらえることを望んでいる。話し、それを聞いてもらえることが彼の心を慰める。

★汝が親交を続けていこうと思う人がいるなら、その家のご婦人には近づくな。

★貪欲に用心しろ。貪欲は不治の病である。

★汝は自分の話そうとしていることが、よくわかっていると確信するときだけ話せ。

★子供である娘と臥所（ふしど）を共にするな。


4千年たった今でも、時の隔たりを感じません。
とても素晴らしい政治を行った方なのでしょうね。






柴崎みゆき著「古代エジプトうんちく図鑑」より