12月も半ば。
寒がりのワシは外出時に厚く着込んでまう。
そら雪国の格好やろ、と笑われそうや。
外を歩いてると時々、薄着の老人がいてるやん。
さすがに昔の人は鍛え方が違うわ。
自分の軟弱さを恥じつつ感心するばかりやった。
そやけど、どうも違うようやと最近気ぃついた。
驚くほど薄着の老人はたいてい独りで歩いてる。
そういう老人はきっと服装を選ばれへんねん。
先日、老父を散歩に誘ってん。
すると部屋着のまま出ようとするんや。
寒いから上着を着ぃ言うても、判らへん様子や。
今日は何月何日?
日に何度も訊く老父に季節感はもう無さそうや。
家の何処にどんな服があるかも覚えてへんやろ。
町で薄着な老人を見ると、一段と寒い。
服装を相談できる人も居やへんのやろな。
独りで町を覚束ん足取りで歩いて行かはるわ。