その方は入所されたときから既にガンが進行していて
もういつ亡くなっても、、という状況でした。
来られた頃はトイレには手を引いていけばしっかりと
歩けていました。
ただ、食べることができなくて
栄養飲料のラコールを1日500くらいを何とかお勧めしていました。
が、そればかりでは飽きてしまい。
「もうそればっかりで飲めないよー」とおっしゃり
飴玉をしゃぶったり、水分も氷を少しずつ舐めてもらいました。
夜勤に入った申し送りのとき
「今日ドクターが来て、もう今晩か明日くらいでしょう」と言われていますと、
びっくりでした。
うちは夜間もナースが居てくれるので頼りにできるから助かりました。
夜間帯に入った時、ナースが大声で
「〇〇さーーん」と何度も呼ぶ声がしたので
すぐ部屋へ飛んで行きました。
目は上を向いて意識が遠のいていくようでした。
胸をたたいてナースが名前を読んでいたので
私も一緒にお名前を呼びながら胸をたたきました。
すると口が少し動いて何かをおっしゃったようでした。
それが最期でした。
まだ残っていたスタッフが何人かお別れに部屋を訪れました。
その晩は静かに眠れるようにと
祈りながら夜勤勤務を果たしました。
静かな息の引き取り方でした。
ご本人がこのホームで最期を迎えたことを納得されていたかは
誰にも分かりませんが、
我々は優しい気持ちで最期を看取ろうと思っていたことは
確かです。
安心して、ゆっくり眠ってください。
もう痛みや苦しみはありませんからね。