ホラー映画の嫌いなcinetamaです。ホラー映画を見るとどうも何かがついてくるみたいで、タイ映画『心霊写真』(2004)の時も、香港で『陰陽路』の何作目かを見た時も、トンデモ事件発生で参りました。でも、アジア映画をフォローするためにはホラーも必須ジャンル。というわけで、今回もおそるおそる試写を見たのですが、これが何ともよくできた映画で、ラストはちょっと恐かったものの、とても楽しめました。3月23日(土)からの公開ですが、そろそろアジアン・ホラー映画ファンの噂にもなってきたようなので、このあたりでご紹介してしまいます。まずはデータをどうぞ。
『コンジアム』 公式サイト
2018/韓国/韓国語/94分/原題:昆地岩(곤지암)
監督:チョン・ボムシク
出演:ウィ・ハジュン、パク・ジヒョン、オ・アヨン、ムン・イェウォン、パク・ソンフン、ユ・ジェユン、イ・スンウク
配給:ブロードウェイ
※3月23日(土)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国順次ロードショー
プレスによると、『コンジアム』とは、韓国京畿道(キョンギド)広州(クァンジュ)市に実在するコンジアム精神病院跡の廃墟のことだそうで、「大勢の患者が不可解な死を遂げ、院長が失跡もしくは自殺したとされるこの病院は、閉鎖後に幽霊の目撃情報などの恐ろしい噂が絶えず、2012年には”世界7大心霊スポット”の一つに選出された」のだとか。でも、今でも肝試し的に病院跡を訪れる人が後を絶たず、本作の主人公たちも、自分たちがYouTubeで流している恐怖動画チャンネル「ホラータイムズ」で現場の様子をライブ配信するべく、参加者を募ります。「ホラータイムズ」の主催者ハジュン(ウィ・ハジュン)を中心に集まった男女7人は、様々な機材を持ってソウル特別市からも近い広州市に乗り込み、病院跡近くにテントを設置。そこを本部にしてハジュンが配信を担当、他の6人は真夜中に病院跡へと乗り込みます。手持ちカメラのほか、各自には自分の顔を映し出すカメラを装備させて、強がったり怖がったりするその様子も録画。ドローンも使って、暗闇の中の荒れ果てた病院の様子を見せていきます。目標とするのは100万ページビュー。予想通り、チャンネルへのアクセス数は順調に増えていきますが...。
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一昔前の『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(1999)的な構造のホラー映画です。『ブレア~』はアジア映画にも影響を及ぼしていて、インドネシア映画『Jelangkung(ジュランクン。確か、”コックリさん”という意味だったような...)」』(2001)などが生まれています。『コンジアム』は「YouTubeでライブ配信」という新しさを付け加えてあるものの、素人が撮った(と称する)映像で恐怖の存在を暴き、恐さを煽っていく『ブレア~』系統のホラーと言えます。ただ、これまでの作品と違うのは、映像を撮る素人自身も撮影対象となっていること。それぞれの体に自撮りカメラが付けてあり、彼らは常に被写体にもなっているのです。その自撮りカメラ映像が、これまた恐い。上の写真は4分割画面にそれを収めたものですが、煽りのアングルと光の当たり方で、まさに恐怖の仮面といった表情が出現しています。
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映画の始まり部分では、合コンのような形で参加者と顔合わせし、車で現地に行く時も時間調整なのか途中でバンジージャンプをしたりと、青春ドラマみたいな描写が続きます。真夜中になるとそこから一転、病院跡に6人が侵入し、おどろおどろしい映像が送られてき始めます。現場の6人と、テントで指示を出し、映像を配信するハジュンとが交互に画面に登場するのですが、いかにもの素人映像から、上に写真を付けた4分割映像とかプロっぽい撮り方の映像まで、あの手この手で見せてくれる様々な映像と、それに付随する音声がとても凝っていて、劇中にぐっと引き込まれます。プレスによると、カメラは6タイプ、19台が同時に使われたそうで、大部分の映像が出演している俳優たち自身によって撮られたものだとか。音声は現場で拾った音だけで、効果音は排除されているとのことですが、各画面の映像に出演者たちの切羽詰まった声や足音等がシンクロし、絶大な効果を上げています。
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とにかく、細部まで凝りに凝った作品と言え、製作会社ショーボックスのオープニング・ロゴまでもが、いつもとは違うカラーになっています。配信が始まると、画面に「ホラータイムズ」の放送フレームが出てくるのですが、そこにもご注目。最後まで目を離さないでいて下さいね。という風に、恐いんだけれど「おおっ!」もいっぱいあって、それへの興味が恐怖を凌駕してしまい、私でもしっかりと見られたのでした。ラストはちょっと恐いかも知れませんが、ホラーが苦手な方でも一見の価値はあります。最後に予告編を付けておきます。
映画『コンジアム』予告_2019年3月23日公開!!
ドキュメンタリー映画を撮るために、幽霊屋敷に乗り込んでいった若者たちの遭遇する恐怖が、家のあちこちに設置された定点カメラとか、何人かが持ち歩いているビデオカメラとか、さらにはスマホで撮影された動画で描かれていきます。
でも、韓国の『コンジアム』の方がはるかに怖そうですね。
ホラー映画は大好きなので、楽しみです。
http://garakuta.blue.coocan.jp/denei/philippines/2017/philippines38_20.htm
貼っておいて下さったアドレスで、『Darkroom』のご紹介も見てみました。
調べてみたら、2017年の作品なのですね。
(同名のホラー映画が結構ありました)
ぜひ、『コンジアム』と見比べてみて下さいませ。
昨年TIFFで上映されたフィリピン映画『リスペクト(Respeto)』と設定が似た、スラムに住む青年がラップミュージックで自己を解放していく、というインド映画『Gully Boy(ガリー・ボーイ=小路(下町)の青年)』が、今インドでヒット中です。
世界は思いがけない所で響き合っている、という感じですね。