以前にもご紹介しましたが、明後日、11月16日(土)には、「タゴール 10の物語」を翻訳・出版した大西正幸さんの講演会があります。もう一度、チラシ画像を付けておきますね。さっき大倉山記念会館のサイトに行ってみたら、まだ申し込みを受け付けているようなので、ベンガル文化について知識を得たい方は、お早めにお申し込み下さい。
映画好きの方は、「ボリウッドやトリウッドとは関係ないから...」と思ってらっしゃるかも知れませんが、ベンガル文化の中心地、つまり西ベンガル州の州都コルカタでは、結構盛んに映画が作られています。コルカタの映画製作の中心地はトリガンジという地区で、従ってベンガル語映画は自身の映画界を「トリウッド」と呼んだりしていました。でも、2010年代に入ってから、テルグ語映画がぐんと力を付けてきて、全国的なヒット作を次々と世に出すようになったので、「トリウッド」はすっかりハイダラーバードを中心としたテルグ語映画界のこと、という使い方が定着してしまいました。しかしながらコルカタ、昔の名前ではカルカッタは、映画がインドにやってきた20世紀の初めには、当時ボンベイと言っていた今のムンバイよりも、さらに盛んな映画製作地だったのです。独立後も、サタジット・レイ監督の『大地のうた』(1955)が欧米世界にインド映画という存在を知らしめたからこそ、インド映画は今日の発展を遂げたのだ、と言っても過言ではありません。でも日本では、サタジット・レイ監督が亡くなって以降はベンガル語映画の公開は隣国バングラデシュ映画の『メイド・イン・バングラデシュ』しかなく、インドのベンガル語映画は公開されていません。
『大地のうた』©NFAI
『大地のうた』撮影中のスナップ。サタジット・レイ監督と子役たち。©NFAI
ですが2025年は、ひょっとしたらひょっとするので、今からベンガル語やベンガル映画、そして豊かなベンガル文化―タゴール文学やタゴールソング、ベンガルという土地や人々の暮らしなどに親しんでおいていただけたらと思います。大西正幸さんがこのたび訳出した本「タゴール 10の物語」(めこん、2000円+税)には、何度か映画化されている「カーブルの行商人」(1892)や、サタジット・レイ監督が『Teen Kanya(3人の娘)』(1961)の中に取り込んだ「郵便局長」(1891)、「宝石(モニ)を失って」(1898)、「完結」(1893)といった作品も含まれています。この時代タゴールは、「奇譚」に分類されるような作品をいくつか書いており、本書にもちょっとおどろおどろしいお話がいくつか入っていて、最初に読んだ時はびっくりしました。大西さんの解説で「なるほど、エドガー・アラン・ポーか」と手を打ったりと、詳しい解説が理解を助けてくれます。タゴールの著作で映画化、テレビドラマ化された作品の一覧はこちらにありますので、ぜひ小説と映画の世界を行き来してみて下さい。ちょっと残念なのは、小説の原題がベンガル語文字でしか書いてないことで、上のリストはローマ字表記のため、対照するのがベンガル語文字を知っていないとできない、という点です。デザインとしてローマナイズを入れたくないお気持ちはわかりますが、一般人のためにもローマナイズと、あとできればカタカナ表記も入れておいていただきたかったです。
では、土曜日にまた、と言いたいところなのですが、実は我が家は明日から給排水管交換工事が始まり、日曜と休日以外は工事の人が自宅にやってくるので、在宅していないとダメなんです。そんなわけで、土曜日は外出できないのでした(ごめんね、大西さん、直樹さん、由香さん)。交換工事の対象となる給排水管は、臨戸との間に作られた壁の隙間を通っているため、その壁を壊す部屋は荷物を全部運び出さねばならず、突っ張り書架6連にファイルケース4個など、今日汗だくになってリビングに移しました。みんな金属製品なので、重いこと重いこと...。まだ体力のある時でよかったけど、終わったらまた同じことをして元の部屋に戻さなければならないかと思うと、もううんざり。こんな時、魔法が使えたらなあ、としみじみ思います(魔法の杖をさっと一振り! ああ、写真アルバムであふれたファイルケースが空を飛んでいく~、という景色を一度見てみたいわ)。そんなわけで、明日から上映開始となる『コムライヤ爺さんのお葬式』(Balagam/2023/テルグ語)にも当分行けそうにありません。情報は、こちらなどをご参照の上、上映館に足をお運びくださいね。愚痴ついでに、我が家の写真も付けておきます。
四半世紀ぶりに空っぽになった部屋。前の住人から引き継いだままの絨毯敷きなので、ファイルケースや本棚の跡がくっきり。
ファイルケースと突っ張り書棚が越してきたリビング。つっぱり書棚は組み立てる時も上手に考えてあるなあ、
と感心したのですが、今回の解体時にもまたいろんなアイディアに感服。一種の職人ワザですね。