『パターン』に続きもう1本、『Selfee(セルフィー)』を見ました。この前、お昼を食べさせてくれたナスリーン・ムンニー・カビールが、「ちょっと面白い映画があったわ」と教えてくれたもので、確かに現在のヒンディー語映画の中では異色のテーマを扱っていました。日本でこの映画の予告編やソング&ダンスシーンをチェックした時は、アクシャイ・クマールの人気に乗っかった映画かな、と思っていたのですが、大衆心理なども読み込んだ一風変わった作品でした。主演はアクシャイ・クマールと『汚れたミルク』のイムラーン・ハーシュミー、あとは脇役で活躍する人ばかりで有名な人は出ていません。ロケ地がボーパールだったので、これも行ったことのある私にはアピール度が高かったです。
著名スターのヴィジャイ・クマール(アクシャイ・クマール)が撮影のためボーパールにやってくる、というので、交通関係担当の警察官オーム・プラカーシュ・アグルワール(イムラーン・ハーシュミー)と小学生の息子は大興奮。二人とも、ヴィジャイ・クマールの大ファンなのです。ところが空港に出迎えに行っても、すごいファンに囲まれる彼は一緒に写真を撮るどころか、すぐに目の前から去ってしまいます。そんな時、ヴィジャイ・クマールの免許証が紛失する、という事件が起きました。免許証を再取得しないと、ボーパールで予定されている運転シーンが撮れないため、便宜依頼がオーム・プラカーシュの所にやってきます。オーム・プラカーシュは便宜を図ることをOKし、ただ、その代わり息子と自分と共にセルフィーを撮ってほしい、と頼みます。ところがちょっとした行き違いから話がこじれ、息子の目の前でオーム・プラカーシュは辱めを受けて、「映画スターのヴィジャイ・クマールは傲慢だ」と発言することに。それを耳にしたファンは怒り、オーム・プラカーシュの自宅を襲って、レンガを投げ込んで窓や室内を壊したりします。その時レンガの1つが息子にも当たって怪我をさせ、ますますオーム・プラカーシュとヴィジャイ・クマールの仲はこじれます。
ヴィジャイ・クマールの免許証再発行については、再度試験を受験させることになり、筆記試験に当たる口頭試問は公開で行われることになりました。これにヴィジャイ・クマールは見事パス、何とか彼を邪魔したいオーム・プラカーシュは次のロードテストでもいろんな欠点をあげつらい、あるいは昼休みの休憩と称して待たせたりして、ヴィジャイ・クマールをいらつかせます。実はヴィジャイ・クマールの方にも深刻な事情があり、早くテストを終わらせてアメリカに渡りたいとじりじりしていたのでした。オーム・プラカーシュの上司もヴィジャイ・クマールの味方、そこにいるマスコミもファンを始めとする群衆も彼の味方。そんな中でオーム・プラカーシュはどうこの難局を切り抜けるのでしょうか...。
観客としては、一般人である警官オーム・プラカーシュの方に味方しながら見ていたのですが、監督はどちらの欠点も描き出していて、見ている方はオーム・プラカーシュに味方したり、ヴィジャイ・クマールに味方したりと、二人の間で揺れることに。結論から言うとハッピーエンドになるのですが、その間をサスペンス映画さながらに観客を引っ張っていく手法はなかなかのものでした。実はオーム・プラカーシュの自宅襲撃は別人の仕掛けたものとわかったり、ヴィジャイ・クマールがなぜ早く免許証を手にして撮影を終え、アメリカに行きたいのかという理由がわかってオーム・プラカーシュがしゅんとしたり、と、細かい展開を描く脚本もなかなかのもの。マラヤーラム語映画『Driving Licence(運転免許証)』(2019)のリメイクとのことですが、プリトヴィーラージ・スクマランとスラージ・ヴェニャーラムードが主演したというオリジナル版も見てみたくなりました。予告編が2つあるので、両方とも付けておきます。
SELFIEE Official Trailer | Akshay Kumar, Emraan, Nushratt, Diana | Raj Mehta | In Cinemas Feb 24
SELFIEE | Trailer 2 | Akshay Kumar, Emraan, Nushratt, Diana | Raj Mehta | In Cinemas Feb 24
これを見たのは、ゴーレーガーオンというかなり郊外のオベロイ・モールというショッピングセンターなのですが、残念ながら客足はいまひとつ。でも、最近のボリウッド映画では異色の作品で、リメイクだったのはちょっと残念ですが、こういう作品も出演するアクシャイ・クマールはなかなか偉い! と思ってしまいました。
本日は朝はインド版宅急便DTDCでデリーにいる元教え子に荷物を出しに行き(何せ、キャセイのオファーが「荷物は2個、各23㎏までOK」なので、その重量を無駄にする手はありません)、親切な事務所の女性ラクシュミーさんと荷物作りのスキルがすごい同僚の方に助けてもらいました。ラッピングだと安全ですね。
続いては、サンタクルーズのマーケットに行って、フォール(端模様)と呼ぶテープ状のものを売っているお店でお買い物(日本にも取引先がある、と言っていました)、それからゴーレーガーオンのオベロイ・モールに行って映画、というわけで、映画が終わってからモールのフードコートでやっと夕ご飯にありつきました。食べたのはダヒー・プーリーというパーニー・プーリーの変形版。
これがメチャクチャにおいしくて、食べ終わってからお店に行き、作ってくれた店員さんに「とってもおいしかったですー!」とお礼を言ってきました。下の写真の「カイラーシュ・パルバト(カイラーシュ山)」というお店です。まだまだおいしい食べ物が、インドにはいっぱいありますねー。
というわけで、ムンバイ滞在その1はこれで終了。これからチェンナイに向かいます。