ムンバイも4年ぶりなら、チェンナイも4年ぶり。チェンナイ空港は目下増改築がなされているようで、エプロンのボーディング・ブリッジの多くが使えなくなっており、降機はえっちらおっちらタラップを降りる羽目に。お体が不自由な方が何人かいて、見ていて気の毒でした。付き添いの息子さんとかがいても、背負って降りるわけにはいかず...。でも、車椅子や杖つき移動でも、臆せず旅に出ているご老人たちはすごいと思います。こんな状態なので、空港の到着階出口の外にあるプリペイド・タクシーやUber, OLAの乗り場も、むき出し地面のすごい所にありました。ムンバイだと、UberやOLAにはちゃんと冷房付きの待合室があったのにね。空港から来る途中、何やら政党の集会がある所に遭遇。飾り立ててあって、すごいんですが交通渋滞を引き起こしていました。下写真のM.K.スターリンというのは現在のタミル・ナードゥ州首相で、政界の大物だった故M.カルナーニディの息子です。なぜ「スターリン」なのかは、日本語のWikiに載っているので見てみて下さいね。
泊まっているのは、ここのところずーっとチェンナイの定宿にしていたT.ナガルのレジデンシー・ホテル。着くと荷物を下ろそうとしたボーイさんが、「マダム、久しぶりですね!」と言ってくれます。外交辞令かも知れませんが、「ながーく来ませんでしたよね」と言われると、顔を覚えていてくれたのかなあ、とも思い、最後に部屋で渡すチップも50ルピー(9円円)にアップ。チェックイン時フロントに小銭両替を頼むと、200ルピー札を出したら見事に50ルピー札4枚が戻ってきたし、絶妙の連携です(笑)。ここは中級ホテルなのに、家具等が機能的で気に入っています。
特に、今パソコンを打っているデスクがL字型なので、とても仕事がしやすいのです。実は昨日は、ちょっと面倒な申請書というか依頼のレターを作っていて、お出かけの合間にはこの椅子にかじりついていたのでした。難点は、部屋が寒いこと。もちろん冷房は切っているのですが、不在中の換気の風が冷え冷え~で、部屋に戻ると止まるもののもうブルブルの寒さ。夜はダブルベッドの掛け布団を2つ折りにして寝ていますが、セーターを持って来なかったことを後悔しています。あの軽いモヘヤのセーター、入れておけばよかった...。というわけでちょい風邪気味で、万一新型コロナウィルスで寝込んだ場合に、と持ってきた風邪薬やトローチが大活躍。アメもあるし、何とかなるでしょう。
昨日朝起きてびっくりしたのは、ホテルの前を通る広い道には「フライオーバー」と呼ばれる立体交差路がかかっているのですが、そこを皆さんが朝の散歩やジョギングしながら通っていること。時折バイクや自転車も通りますが、ほぼ歩行者天国です。ホテルのガードマンに聞くと、朝一定時間まで(8時だったような...)車は通行止めで、歩行者が利用できるようにしてあるのだとか。粋なはからいですね。――ここまで書いていたら、ドアベルが。誰かとおもいきや、ハウスキーピングの人で、毛布を持ってきてくれたのでした。実は9時過ぎに朝食から帰ってきて、お掃除の人(20歳ぐらいのお兄さん)が早く掃除したい、というのでお願いし、そこにやってきたマネージャーみたいなこれまた若いお兄さんに「ご不自由はありませんか?」と言われてつい「寒くて毛布がほしい」と訴えたのでした。マネージャーは「タンビー(”弟”という意味で、年下の男性に対する呼びかけ)、毛布を持ってくるようハウスキーピングに言って」というようなことをお掃除の人に命じ、お掃除の人は電話をかけていました。それが10時ちょっと前で、今は午後2時半。毛布到着まで4時間半(笑)ですが、それよりもよく覚えていて確実に届けてくれた! という感謝の方が大きかったです。あ~毛布、暖か~い。あ、チップを渡し忘れた! ごめんね。
昨日は朝ご飯のあともう10数年のお付き合いの仕立屋さんに行き、サリーの端始末やブラウスの仕立てなどをお願いしました。ショックだったのは、いつも会うのを楽しみしていたオーナーであるマダムが亡くなっていたこと。コロナ前から体調が優れなかったので、ちょっと心配していたのですが、こんなお写真が店に飾ってありました。2年前、心臓発作で亡くなったそうです。
今は息子さんがやっているようですが、2,3軒先の男性用仕立て店もあるので、こちらは必要な時だけ顔を出すようです。マダムがいなくなったせいか、女性部門はさびれた感じでした。マダムは女傑という感じの、英語もよくできる女性で、「サリーブラウスはもっとぴったりしてなくちゃダメ」とか、「また、あんたは水色のサリー買って」とか、いろいろお説教されましたっけ(笑)。ご冥福をお祈りします。仕立代も高くなって、今回はサリー3枚の始末と絹のブラウス7枚で6,200ルピー。以前の倍以上です。ま、この前ムンバイで買ったのも高いサリーだし、あとの2枚はスペース・アーナンディのアーナンディさんにもらったこれまた見るからに高そうなサリーだし、1万円の仕立代なら御の字かも。
そこからサティヤムという映画館に行き、タミル語映画『Dada(父?)』を見たのですが、英語字幕がなかったので大体しかわからず。若い2人が恋に落ち、彼女は妊娠したのに結婚できず別れることに。生まれた赤ん坊を男性の方が育て、小学校低学年ぐらいになった時に、父親は就職先で元カノの彼女と再会、めでたしめでたし、というものでした。しかし、やたらとセンチメンタルなBGMが入って、ベタベタした映画が苦手な私は食傷気味。しまった、ダヌシュの『Vaathi(Sir)』(上写真右)にすればよかった。まあ、『パターン』のタミル語版看板が撮れたのでいいか。この時の映画料金は165ルピーで、珍しくレシート状のチケットをくれたのですが、ムンバイと同じ値段なんですね。以前はチェンナイはずっと安かったのに、ムンバイが安くなっていた、ということみたいです。そして映画館はどこも、食べ物で元を取ろうというわけで、昨日もチャナー豆のカレーがサモウサをくだいた上にかかったものとジュースとで350ルピーだったかして、映画の倍じゃん! と思ってしまいました。
ただ、ここで収穫だったのは、場内の設計図が壁にかかっていたこと。今回見たホールは1階と2階に分かれている、昔の映画館そのままのホールでへ~と思ったのですが、右側にあるホールがそれで、その左には小ホールが作られているようです。日本に帰ったらプリントアウトして、詳細に見てみようと思います。そして夜は、こちらにお住まいのアールーゴービーさんご夫妻とおいしい中華でお夕食。カテドラル・ロードにあるMandarin Chinese Restaurantという店を予約して下さっており、料理がおいしい上にお値段もとってもリーゾナブル。写真は左から春巻、チャーハン、インド中華と言えばこれ!のマンチューリアと呼ばれる料理で、今回はカリフラワーのマンチューリア、これが美味この上なし。冷房もあまり効いていず(笑)、助かりました~。アールーゴービーさんからはコロナ禍下の大変だったお話とか貴重なお話をうかがうことができ、充実したチェンナイの夜となりました。