アジア映画巡礼

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恭喜發財! すごい映画『イップ・マン外伝 マスターZ』がやって来る! 

2019-02-05 | 香港映画

本日は、中華世界では農暦新年の初一、元旦です。恭喜發財、萬事如意、身体健康、豬年吉祥!! 皆様にとって、本年がよいお年となりますように。私は西暦新年の時は風邪を引いてしまったので、農暦新年で仕切り直しです...が、わが家は今リフォーム中で、昨日台所やお風呂、洗面所等が撤去されてしまい、とてもお正月とは思えない寒々しい眺めに。これでは、財神は来て下さりそうにありません。

というわけで、わが家の不運続きを吹っ飛ばしてくれるような、勢いのある香港映画をご紹介しようと思います。誰あろう、張晋(マックス・チャン)の主演です。『イップ・マン 継承』(2015)で子丹(ドニー・イェン)演じるイップ・マン師父とのすごい対決を見せてくれた、マックス・チャンの張天志(チョン・ティンチー)を憶えていらっしゃる方は多いはず。そうです、今回はあの張天志が主人公なのです。では、まずは作品データをどうぞ。

 

『イップ・マン外伝 マスターZ』 公式サイト  
2018年/香港・中国/広東語/108分/原題:葉問外傳 張天志/英語題:Master Z: The Ip Man Legacy
 監督:ユエン・ウーピン(袁和平)
 主演:マックス・チャン(張晋)、デイヴ・バウティスタ、ミシェル・ヨー(楊紫瓊)、トニー・ジャー、リウ・イェン(柳岩)、クリッシー・チャウ(周秀娜)
 配給:ツイン
3月9日(土)より、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー!

 

© 2018 Mandarin Motion Pictures Limited All Rights Reserved

『イップ・マン 継承』では、一度は詠春拳の道場を開いたものの、イップ・マン(ドニー・イェン)に敗れて自分は指導者の道は歩まない、と決心した張天志(チョン・ティンチー)。その後張は小さな食料品店を開き、それまで引き受けていた闇の殺し屋の仕事も元締め(元華/ユン・ワー)に断わりを入れて、息子峰(フォン)と共にひっそりと暮らし始めます。ところが配達の途中、そのあたりを仕切り、阿片を蔓延させている長楽グループのキット(鄭嘉/ケビン・チェン)が2人の女性、ジュリア(リウ・イェン)とナナ(クリッシー・チャウ)を追っている場面に遭遇し、争いに巻き込まれてしまいます。張は、フォンの誕生日プレゼントを足蹴にされたこともあって、キット一味をこてんぱんにのしてしまうことに。実はクラブのホステスであるナナは阿片中毒で、キット一味から阿片の代金の催促を受けていたのですが、ナナの働くクラブのオーナーであるフー(釋彦能/シー・イェンネン)の妹であり、自身も歌姫として働いているジュリアが立て替えて精算してやったのでした。それにも関わらずキットが難癖をつけ、2人はキット一味に追われていたのです。

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こうして張とジュリアたちは知り合うことになりますが、この事件で張はキットに恨まれ、店に放火されてしまいました。放火によって店は丸焼けとなり、フォンはやけどで重傷、張も腕をやけどしてしまいます。そんな2人を助けたのはジュリアで、病院に連れて行き、その後は自分とナナの住むフラットに親子を住まわせることにしました。また、ナナは兄フーに相談し、張はフーのクラブでボーイとして働くことになります。フーは、長楽グループの総帥であるクワン姐(ミシェル・ヨー)を尊敬していました。クワン姐は長楽グループを近代企業に変身させて、これまでの裏社会組織のイメージを一掃しようとしますが、彼女の弟キットはそれに反発します。キットは幼なじみのサン(譚耀文/パトリック・タム)を引き込み、阿片ビジネスの拡大を画策、ですが阿片ビジネスは、表向きは一流レストランのオーナーである大物が裏で仕切っていたのでした....。

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登場人物が多いのですが、それをうまくさばいていて、それぞれが見事にキャラ立ちしているのはさすがユェン・ウーピン監督。特に、張を演じるマックス・チャンを筆頭に、クンフーはお久しぶりのミシェル・ヨー、『カンフー・ハッスル』(2004)で豚小屋砦に住む苦力として活躍したシー・イェンネン、さらにはジュリア役のリウ・イェンなどが鮮やかな手並みを見せてくれてサービス満点。トニー・ジャーはどうしたのかって? ご心配なく、謎の男として登場し、最後に彼の正体がわかるようになっているのですが、マックス・チャンとの街頭での激しい闘いを見せてくれます。本作のアクション監督はユエン・ウーピン監督の弟ユエン・シュンイー(袁信義)ですが、ガラスが割れるアクションシーンが好きなようで、マックス・チャンとトニー・ジャーの対決でもショーウィンドーが派手に粉砕されます。

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こういった見応えのある張天志のアクションシーンが、ちょっとお遊び的なフー(シー・イェンネン)相手のものも含めていくつもあるのですから、堪えられません。クワン姐(ミシェル・ヨー)相手の闘いは、上の画像のように武器まで登場、久々のミシェル・ヨーのアクションも実に魅せてくれます。『クレイジー・リッチ!』(2018)での大家の奥様然とした役にも通じる、裏社会の人間ながら誇りも実力も持っている「女強人」を演じるミッシェル・ヨー、そのチーパオ(旗袍)姿の美しさはここで画像を使えないのが残念なぐらいです。レトロなチャイナ風味がお好きな方は、ぜひお見逃しなく。

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レトロと言えば、1960年代の香港が事細かに再現されているのも本作の見どころの一つ。露地にある貸本屋で子供たちがマンガ本を読んでいたり、息子のフォンが誕生日にもらうのは、当時のヒーローマンガのキャラクターが台に乗って動くオルゴールだったり。そして、街頭にずらりと並ぶ香港特有の看板を使っての、華麗なアクションシーンもあるのですから、香港の観客たちにとっては懐かしさいっぱい、というところでしょう。それもあってか、香港では昨年12月20日に公開され、つい先日まで上映が続いていたというヒット作となりました。こちらでもご紹介した通り、昨年末の時点で2018年の興収第8位となっています。日本でも、久々の香港映画のヒットになってほしいですね。

© 2018 Mandarin Motion Pictures Limited All Rights Reserved

なお、邦題の「マスターZ」ですが、これは英語題名「Master Z: The Ip Man Legacy」からつけられたもので、この「Z」は「張」の普通話読み「Zhang」の頭文字だと、中国語に詳しい方はすぐおわかりになるはず。宣伝プロデュースを担当する江戸木純さんのお話によると、「『Master Z』は製作開始時点から決定していた国際英語題名で、張天志の張の普通語表記(Zhang)のZに、マックス・チャン(張晋・Max Zhang)のZをかけています。つまりこれは『イップ・マン』系列のスピンオフであると同時に、マックス・チャンという香港最後の武打星を世界に売り出すために企画されたものなのです。ちなみに日本では”マスター・ゼット”と発音しますが、マックス・チャン自身は”マスター・ジー”と言っています」とのことです。日本でもこの際、”マスター・ジー”をブレイクさせましょう!

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ところで私、本作を見ていて”マスター・ジー”にあだ名を付けました。「3%しか笑わない男」、ほんっとーに、笑わないのです、この最強男は。嬉しいことがあっても、唇の端をちょっと上げて、ほんの少し微笑むだけ。そのほころび度3%、というわけでこんなあだ名を付けたのですが、あのイップ・マン師父の味わい深いほんわか100%笑顔に比べると、それじゃ人生、いろんな局面で不利ですぜ、と言いたくなってしまいます。本作では、ジュリアとの間に心の通い合いもあるようですが、「3%の笑顔」がせめて「30%の笑顔」になるのかどうか、そういった点にもご注目下さい。最後に予告編を付けておきます。

『イップ・マン外伝 マスターZ』特報

 


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