皆さんもきっとお手元にお持ちだと思いますが、「地球の歩き方:インド」が現在、2025年新版の編集中です。現在発売されている版はこの表紙で、総ページ数656ページ。ここに、気の遠くなるほどたくさんの文字数と写真枚数とが収まっています。これを編集する方たちのタフさには、まったく頭が下がる思いがします。
私が「インド映画のページを担当してほしい」とお声を掛けていただいたのは一昨年夏、この写真の「2024~25」年版からで、担当ページ数は4ページでした。このガイドブックの巻頭にある様々な特集のうち、最後の方に位置する「インドのカルチャー」の一部で、「映画が拓くインドへの道」という見開き2ページ、計4ページの特集でした。今回は、それが8ページになったので、これは嬉しい、と思いながら拙稿を仕上げたのですが、いざゲラに組んでいただくと、どうもいまひとつ...ということで、編集担当者さんとあれこれ手を入れている最中です。また、映画の画像(場面写真やチラシ、ソフト=DVDやBlu-rayのジャケット写真など)を使わせていただく許可をいただくために、8社の皆様に依頼メールを送ったりと、ここ3日ぐらい、胃の痛くなるような作業が続いているのでした。
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例えば、上の写真はご覧になっておわかりのように、目下上映中のテルグ語映画『カルキ 2898-AD』(2024)の写真です。配給会社さんは、こういったポスター類や場面写真をいろいろと取りそろえ、映画の公開に先立って宣伝をしてくれる媒体に画像データを配布します。媒体は、紙媒体(映画雑誌等)、電波媒体(テレビ・ラジオ等)、ウェブ媒体(映画関連のサイト等)とに分かれ、それぞれ配給会社や宣伝会社で担当を決めて、「ぜひご紹介下さい」とプレスリリースと呼ばれるニュース体裁のものを流し、大手にはその時に画像と共に、映画を解説した「プレス」、予告編のアドレスなどを一緒に送ります。プレスリリースには映画の基本データに加えて、画像使用の時に付けなければならないコピーライト表記も書いてあります。私は一応、このブログ「アジア映画巡礼」という宣伝手段を持っているので、「ブログに載せます」と言えばプレスリリースを送って貰え、画像の提供も受けることができます。とはいえ、大手映画紹介サイト(映画.com、シネマトゥデイ、ナタリー等)ほどの知名度もアクセス数もないため、プレスリリースが出たら自動的に送ってきて下さる、というわけにはいかず、常にネットをチェックしていて、インド映画関連の記事が出たら配給会社さんに、「私にもプレスリリース下さ~い、画像も下さ~い」とお願いすることになるんですね。それでも、普段からそういうやり取りをしているので、こんな風に書籍に掲載したい場合も、許可をどなたにお願いすればいいか、とかがわかり、また使える画像も手元にあるので、ゼロから「画像下さい、©教えて下さい」とかしなくて済んで助かっています。
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今回も、多くのインド映画を配給しているツインさん始め、8社にお世話になっているのですが、今日は『JAWAN/ジャワーン』の画像の件などで、ツインの方に貴重なアドバイスをいただいたりと、大変お世話になってしまいました。ただ、初めて依頼を差し上げる時のメールは書くのに半日かかったりと、胃の痛くなるようなことも多いです。というわけで、なかなかブログも書けなかったのでした。インド映画専門ライターという仕事も、いろんなところで役に立つのですが、この道はなかなかけわしいな、と思うこともあります。それは、書く内容を確かなものにするため、ものすごくたくさんのことを勉強しないといけないからです。一般的な洋画の場合は欧米の人が主人公で、欧米を舞台とするため、皆さん歴史、地理、宗教、言語、日常生活等に関してもある程度の知識があることから、少し調べれば間違ったことを書かないで済むのですが、インド映画に関しては、ちょっと付け焼き刃で勉強しただけではそれができないところがあるのです。先日も、インドの人気男優シャーヒド・カプールを「シャヒード・カプール」と書いていた人がいて、「殺しちゃダメだよ~」と思ったのですが、「シャヒード」という単語は元は「証人」という意味ながら、「殉教者」という意味で使われ始めてすっかりそちらが定着してしまっているのでした。話がそれましたが、まだ「地球の歩き方:インド」の仕事は数日間続くので、ブログも毎日書けないと思います。そうだ、中国映画の2024年興収トップ10も書かなくてはいけないのに、サボってますねー。
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ツインさんは、日本でも大・大ヒットした『RRR』(2021)の配給もして下さっていますが、『RRR』が日本の映画賞を受賞していることをご存じか? とラーム口調になってしまいましたが、2022年公開作品を対象とした第46回日本アカデミー賞で、外国作品賞の優秀作品賞を受賞しているのです。この時点で5作品が「優秀作品」となり、その中から3月に「最優秀作品」が選ばれる、というのが日本アカデミー賞のシステムで、残念ながらこの時はハリウッド映画『トップガン マーヴェリック』が最優秀作品賞に輝いたのですが、2013年の第37回に『きっと、うまくいく』が優秀作品に選ばれて以降、久しぶりのノミネートだったのでした。そして今年は、何と『花嫁はどこへ?』(2024)が優秀作品賞を獲得、3月の受賞式で「最」を獲得するかどうかに注目が集まっています。こんな風に、日本にしっかりと定着しつつあるインド映画。インドにいらした折にはこの「地球の歩き方:インド」の映画紹介ページを見せて、「日本人もインド映画に詳しいんだよ」と言ってみて下さいね。では最後に、『花嫁はどこへ』の本編映像+予告編を付けておきましょう。松竹さんの配給による、いい作品でしたね~。競争相手に『オッペンハイマー』がいるので難しいかと思いますが、最優秀作品賞、取ってもらいたいものです。
10/4公開『花嫁はどこへ?』満員電車で花嫁を取り違える⁉新婚夫婦に起きた前代未聞の“かん違い”の始まり<映像解禁>【公式】