チェンナイでは相変わらず不運続きです。今日は前回助けてもらったSouth Indian Film Chamber of Commerceのシャンカルさん(下写真)に御礼を言いに行ったのですが、そこでわかったのが、今回調査しようと思っていた映画館アビラーミがすでに変身のため、一時閉館していることでした。とっても複雑怪奇な映画館アビラーミは、中に5館ぐらいが入っているのですが、その構造がデタラメと言っていいぐらい複雑で、しかもアイスランドとかいう氷の遊戯施設等もあり、本当にヘンテコな映画館だったのでした。ところが、今回は10スクリーンあるシネコンに生まれ変わるそうで、調査が1年遅かった、というところ。
落ち込んでいるとシャンカルさんから、「今度、こんな雑誌が創刊されたんだよ」と見せてもらったのが「Tamil Cinema Trade Guide」という雑誌。この時代に雑誌とは、と思ったのですが、Tamil Film Active Produces Associationと名乗る母体名に、意気込みを感じます。しかも中身が、映画の広告が多いものの(資金集めのためでしょう)、きちんとデータも載っています。のちほど紹介したいデータもありますので、それについては帰国後またスキャンして、ということにしますが、高名な映画監督バーラティラージャーが会長であるこの組織、タミル語映画の復活に貢献してくれるかも知れません。
で、その後チェンナイの南の方にあるフェニックス・マーケット・シティに、今話題のマンムーティ主演映画『Bramayugam(狂気の時代)』を見に行きました。
何だか真っ黒けのポスターですが、じつはこのマラヤーラム語映画、モノクロ作品なんです。17世紀のマラバール地方が舞台で、一種のホラー映画とも言え、ものすごい迫力でした。監督はラーフル・サダーシヴァンという、これが3本目の人で、ケーララ出身ではあるものの、ロンドン・フィルム・アカデミーで映画製作を勉強した後、サウス・ウェールズ大でアニメーションやVFXの勉強をしたのだとか。本作も、特殊効果をいろいろ使い、欧米のホラー映画の定石をうまく使って、迫力ある作品に仕上げています。主演はマンムーティ、アルジュン・アショーカン、そして、シッダールト・バーラタン(政治家の河野太郎そっくり!)という3人でほとんどの話が進みます。
17世紀、マラバールの山の中。道に迷った2人の男が、木をこすり合わせて火をおこそうとしています。中年の男コラと若い男テーヴァン(アルジュン・アショーカン)なのですが、夜になるとコラの姿が消え、テーヴァンが探しに行くと、妖しげな女性にコラが翻弄されていました。女神か魔女か、というその様子に、怖くなったテーヴァンは逃げ帰りますが、コラは戻らず、テーヴァンは1人森の中をさまようことに。そんな時、お屋敷の門のようなものを発見、入ってみると古びた大邸宅がありました。庭の台の上にあったココナツを思わずかじってしまったテーヴァンは、木を切っていた男(シッダールト・バーラタン)に見つかりますが、彼はどうやらそこの下男らしく、テーヴァンを主人の所に連れて行きます。貫禄十分の老いた主人コドゥモン・ポッティ(マムーティ)はしばらく館にとどまるように言い、部屋も与えてくれ、食事もさせてくれます。そして、いい声で歌うテーヴァンを気に入った風情で盤上ゲームに誘ったりするのですが、何だか雰囲気がいまひとつ普通ではありません。しばらく滞在したあと、テーヴァンは下男からそっと耳打ちされます。「あれは、旦那様じゃないんだ。中に悪魔が入り込んでるんだ」テーヴァンはこの館から逃げようとしますが、その時雨期が始まってしまい、この館に足止めされてしまいます...。
おどろおどろしい物語で、モノクロで撮ったのは血やらウゲゲの液体やらがあまりはっきりしないよう、ということではないかと思いますが、ホラー映画好きにはたまらないようなシーンもあり、これ、どうやって撮ったんだ???という映像も出現して、かなり楽しめました。さすが、VFXを学んできた監督だけはある、と感心するシーンも多かったのですが、話の展開が100%うまいとは言えず、ちょっと消化不良に。あと、英語字幕が下手だった(字数制限を考えていない、全訳字幕であり、字体がただのタイプ字で読みにくかった)のもちとマイナス。「指輪物語」のゴクリを思い出したりしながら、楽しみましたが、怖がりの私が楽しめる作品なので、ホラー映画ファンにはちょっと物足りないかも。予告編を付けておきます。
Bramayugam - Trailer (Malayalam) | Mammootty | In Cinemas
ホテルの部屋を変えてもらってWiFiはサクサクと開通、外出中の冷気止めもやってもらえて(ベテランのメカニックとその親方みたいな人が来て、あっというまに変更していった。30分ぐらいかかった前回は若い人だったから?)大満足なのですが、今度はお腹が...。薬を買ってきて飲んでいるのですが、まだ服用2日目なので、アメーバー赤痢っぽい症状は治まらず困っています。チェンナイ、どうも近年相性が悪いですねー。私はチェンナイ大好きなのに、シクシク。