あの番組を見ていて「絶対音感は虚勢だと思ってます」は痛快に聞こえました。たとえば440Hzの音と880Hzの音の1オクターブの間を一定の法則で12分割したような、歴史的な事情というか音楽的に造られたものが例の音階なのであって、すがっている基準自体が全然絶対じゃない点がうさんくさいのだと、まあそんなようなことを言いたかったように聞こえました。ああよく言った。
いやね、「アロマテラピー」もなんかうさんくさいよな、と思っておりまして。においなんかは、それまでの習慣でずいぶん好みに違いがつく。僕とあるインドネシア人との違いで思った。同じ日本人同士ですら、きんもくせいのにおいを芳しいと感じる人と「トイレのにおい」と嫌がる人との世代間の違いがある。強烈な芳香剤が流行した時期がありましてな…。ミントティーなどたしなむおしゃれさんには悪いがあれも内心「ガム飲んでるみたいだな」と思ってる人とかけっこういるんじゃないの。我々が馴染み深いミントはロッテクールミントガムか歯みがきくらいのものですから、爽やかな香りはいいですけど、ガムや歯みがきはあまり飲むものじゃないですから後味が少々気になったりならなかったりです。その感覚の差を「アロマテラピー」が吸収できるわけがないのです。もちろん適合したおしゃれさんだけがたしなめばいいのだしそこに立ち入りはしませんが、おしゃれさんを気取りながら「ガムみたいだな」と思ってる人にね、無理しなくていいんだよと言って差し上げたいのです。