骨髄腫腎による急性腎傷害を呈した患者を対象としたボルテゾミブベースに2剤または3剤併用レジメンの比較試験

2020-08-17 12:18:50 | 多発性骨髄腫

Randomized Trial Comparing Double Versus Triple Bortezomib-Based Regimen in Patients With Multiple Myeloma and Acute Kidney Injury Due to Cast Nephropathy
J Clin Oncol. 2020 Aug 10;38(23):2647-2657.  doi: 10.1200/JCO.20.00298.
PMID: 32574117

目的
骨髄腫腎(myeloma cast nephropathy; CN)と、透析を必要としない急性腎傷害を呈した患者を対象に、ボルテゾミブをベースとした2剤併用レジメンと3剤併用レジメンについて腎機能の回復と忍容性プロファイルを比較した多施設共同・比較対照試験の結果を報告する。

方法
対象患者に対症療法と高用量デキサメタゾン投与を行った後、ボルテゾミブ+デキサメタゾン(BD)またはBD+シクロフォスファミド(C-BD)のいずれかの治療にランダムに割り付けた。3サイクル後に血清遊離軽鎖(sFLC)の減少幅が50%未満の患者に対しては、化学療法を強化した(BD群ではシクロフォスファミドを追加、C-BD群ではサリドマイドを追加)。

結果
各群に92人ずつが参加した。ランダム割付時点で、両群の患者背景は類似していた(年齢中央値はいずれも68歳、血清クレアチニンレベルの中央値はBD群で305.5 μmol/L、C-BD群で273.5 μmol/L)。
3ヶ月時点で、主要評価項目である腎機能の奏効率に差はみられなかった(奏功者はBD群 41人、C-BD群 47人; relative risk [RR], 0.87; P = 0.46)。very good partial response (遊離軽鎖が90%以上減少)もしくはそれ以上の効果がみられた患者は、それぞれ36人と47人だった(RR, 0.76; P = 0.10)。化学療法を1サイクル行った後、BD群の69人とC-BD群の67人はsFLCレベルが500 mg/L以下になっていた。
重篤な有害事象がみられたのは各群それぞれ30人、40人だった。12ヶ月時点で、19人が死亡していた(BD群 9人、C-BD群 10人)。このうち10人(BD群 6人、C-BD群 4人)は骨髄腫増悪のため死亡し、3人(BD群 0人、C-BD群 10人)は感染症により死亡した。
中央値27ヶ月のフォローアップ中、各群43人、42人がそれぞれ新しい治療に切り替えた。全体として、50人(BD群 24人、C-BD群 26人)が亡くなった。

結論
今回のランダム化試験では、透析を必要としない初発CN患者の腎機能回復という点において、C-BDはBDと比較して有益性を示さなかった。シクロフォスファミドの追加は、効果と毒性のバランスを十分に改善しなかった。急性腎傷害を合併した骨髄腫患者は脆弱であり、2剤併用または3剤併用レジメンの適応は脆弱性に適合させるべきである。