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鼓曲萬来

夜の帝王系ドラマーになりたかった


高校生の頃から
いっぱしのバンドマンを気取って
当時のクラブ等で演奏を始めた訳ですが

その頃、67年8年あたりの東京
まだジャズ喫茶とかで
GSの先輩方がガンガン活躍していた頃ですね

私もまだ「アマチュアに毛が生えた」ような時代ですから
事務所等に所属していた訳でもなし
ジャズ喫茶等に到底出演出来る訳はございません

それでも学校に内緒で演奏させてもらえる場所を捜して
例えどんな条件でも
演奏させてもらえる場所があれば
喜んで演奏していた訳です

知り合いのオーナーの一存で
温情で演奏させて貰えたのが当時のゴーゴークラブやナイトクラブって奴

まあ大体が今のようなコンプライアンスなんて
通用しなかった時代の事ではありますが
歳ごまかしゃわかりゃしないよと
幾ばくかのギャラで内緒で演奏させてもらえた訳です

それでも、こちらは 何かあったら
まじ高校生って事で
流石に大体6時から11時くらいまで
終電に間に合うように上がらして貰えました

で、そのステージの途中から後バンというか
もう百戦練磨の先輩バンドが入って来る訳ですが
「おは よう~ごぜーます!」なんて言いながら入ってくる
先輩ドラマーは それから深夜の夜の帝王として
明け方まで店に君臨する訳ですわ

前にも書きましたが
先輩方のレパートリーは そりゃ多岐に渡っておりまして
当時の深夜の都会の遊び人達に受けがいい

我々の演奏するリヴァプールサウンドやロックンロール
覚えたての流行のソウルミュージック等と異なりまして

まあ、まさに夜の帝王系と申しますか
歌謡曲からお水系演歌
スタンダードな曲
或るいは レトロ感満載の
聴いたことも無い様なルーツミュージック迄
そつなく演奏していく訳ですわ

勉強させて貰いましたね
なにしろこちらは 
8ビートしか知らない訳ですし

まだPAなんてどこにも見当たらない時代
先輩方の出音中心と申しますか
どんな箱であろうと
まとまりの良い音にしてしまう
その余裕に溢れたプロフェッショナルな演奏

ドラムのミュートの仕方
シンバル等の金物の扱い
複雑なキックのシンコペ
歌やベースとの音圧的な兼ね合い
ブラシにシンバルレガート

なにより、ボサノヴァであるとかシャッフル、ブギー
4ビートにウエスタン2ビート
ラテンインツーに8/6バラード

まあ60年代ですから
そんなに複雑なテクニックは
今のように必要でありませんでしたけど

それでも目の前に展開される
種々のフレーズに
ああ、こうやってこのスタイルは演奏するのかと
当時の高校生ドラマーにとっては 
もう驚愕の勉強場所でもありました

まあ等々
そんなこんなで
先輩夜の帝王系ドラマーの方々に
ぞっこんだった訳ですが

今でも皆さん元気にしてらっしゃるのか
お会いしたら、間違いなく直立不動状態になるとは思いますし
まあ、将来自分もこういう大人になって行きたいとも思いました
が....

只一つ

夜の帝王系の先輩方はどうも
つまり....何と申しましょうか

「汚れ(ヨゴレ)」とでも表現しますか
帝王生活が長かったせいもあるんでしょうけど

大体女性関係とか
或るいは金銭面のトラブルを多く抱えていらっしゃいましてw

調子は良いんですけど
どうも実現性に欠ける言動も多く
使う言語も仲間内だけに通じるような
ある種、独特過ぎてどうも高校生の我々には
理解出来ない事も多かったです

で、本当に尊敬し多くを学ばせて頂いた夜の帝王方でしたけれど
この「汚れ感」だけは貰わないようにしようと
当時の高校生ドラマーは固く心に誓った訳でもあります。

※汚れ(ヨゴレ)
衣装等の首筋や襟足に
よく芸能界とか演劇界で使われた化粧道具
ドーランが付着している状態から芸能界臭を称して汚れと呼称する
或るいは環境に適応するのは良いが
其の世界の嫌な部分まで染まりきってしまった状態の人の事


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