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鼓曲萬来

QUICKSILVER MESSENGER SERVICE

60年代後半のサンフランシスコ、ハイトアシュベリーは憧れの地であり
当時新しいカルチャー、ムーブメント発祥の地でもありました
なによりヒッピー文化の動向にも注目が集まっていた訳で

私も当然憧れましたわ
しかし当然当時は校則で長髪禁止の時代でしたから
憧れてはいたものの ああいう格好するのは
停学退学覚悟、家出も辞さない位の気持ちが必要だった訳です
まあ秘かにペーズリーだのポカロだののシャツを買い求めておりましたが

グレートフルデッドにジェファーソンエアプレイン
そしてジャニスがいたビッグブラザー&ホールディングカンパニー
モービーグレイプといった
いわゆるサイケデリックバンドが
新しいカルチャーと共に犇めき合っていたんですよね

そんなサンフランシスコのバンドの中で
クイックシルヴァーはデビューも他のバンドに比べて遅かったし
今一プロモーションもパッとしなかったから
あの頃の送られて来る情報をや雑誌を読んでも
何か他のバンドよりマイナーというか
格下の印象も受ける感じも致しました



ヴォーカルのディノヴァレンテですが
当時の他のバンドの物憂げな感じとは違って
声量もあって、堂々としていましたけど
それがかえって いかにも歌い方がイタリアカンッオーネ風という
反面、その時代とそぐわなかったのかもしれません
そういった意味ではヤングラスカルズのエディブリガティ
西海岸進化系といっても良いかもしれませんね
二人とも好きなヴァーカリストではあったんですが

そういう事で
そのバンドの歴史までは深く知らなかったんですけど
改めてwiki等を読んでみると新たな人間関係や
繋がり、そしてその界隈での立ち居地等が
そうだったのかと長年のなんとも言えない
好きなんだけど今一シャキッとしないなという
歯痒い思いが溶けるような気持ちでもありました
実は界隈の重鎮とも言える凄いバンドなんですわ


歌われる内容も
ちょっと当時の社会問題の先を行っていたんでしょうね
時代は東西冷戦、ベトナム戦争真っ只中
今に繋がる環境問題とか差別とかテロとか
若干他のバンドとは異なっておりました

で、個人的な話になるんですが
当時山口富士夫と京都のコミューンで
一緒に生活していたんですが
村八分結成前に富士夫がよくコピーしていたのが
このクイックシルヴァーメッセンジャーサーヴィスでした
1枚目のアルバムをどこ行くにもバッグの中にいつも持っていて
事有る毎にジョンシポリーナのギターをコピーしていましたね

今でも富士夫が床に仰向けになったり
壁に寄りかかりながら座ってギターを抱えて
コピーした曲にあわせ
何度も一緒に弾いていた姿を思い出します

Fresh Air  

おそらくブルースではなく
こういうメロディアスなギターをこれから弾きたいと思っていたのか
或いはこれから作るバンドの雛形をこのバンドに求めていたのかも
こういうバンドをやりたかったんじゃないかなと今になるとそう思う訳です
当時はまだ裸のラリーズの時代
水谷君の作る曲の影響も少なからずあったんだと思います

当時の京都にはサンフランシスコから沢山のヒッピー達が流れて来ておりまして
彼らの住居によく遊びにも参りました
そりゃもう見たことも聞いたこともないような
生活様式も直接味わった訳ですが
決してこちらで言うようなフーテンハレンチとかノーモラルとかいう人種ではなく
どちらかというとインテリジェンスに溢れた
チャーミングでピースフルな奴らが多かったです

チャー坊は其の内の一人 ステファニーと付き合っておりましたし
音楽以外でも色々と教えてもらい
彼らのターンテーブルではジェファーソンやデッド以上に
クイックシルバーのレコードがよく掛かっておりましたね

間違いなく当時の京都は東京のバンド以上に
最先端のところを醸し出しておりましたし
富士夫もクイックシルヴァーのステイタスが
ヒッピーコミューンの重要な立ち位置にあるんだという事を
彼らとの付き合いの中で敏感に感じ取っていたのかもしれません

What About Me? 
 

まあ、それからバンドは富士夫からチャー坊に決定権の中心が移っていって
そのスタイルもジョンシポリナからキースリチャードに変わっていきましたけど
何故かあの頃の自分たちとクイックシルバーは
妙にオーヴァーラップする処があって
サンフランシスコというとまずこのバンドをイメージしてしまう訳です
思えば富士夫と初めて演奏したのがMONAでしたから
そういった意味ではなにか縁とか繋がりとかも感じてしまう訳です

アメリカの体制や不条理に真っ向から
反体制の立場で向かっていったクイックシルバー
もうすぐ9・11がやってまいりますが
そのテーマや歌詞のメッセージはあれから半世紀たった今でも
現代の社会に真っ直ぐ突き刺さって来ます

Pride Of Man (Remastered) 

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