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ロートル技術屋の日記

ジャンク品天体望遠鏡の整備 光学部品の清掃に木工用ボンドを使ってみた

週末、久しぶりに寄ったリサイクルショップに天体望遠鏡のジャンク品がありました。
見覚えのある形をしていたのですぐにビクセンの「ニューポラリスR100S赤道儀」であることがわかりました。
この「ニューポラリスR100S赤道儀」は家内が独身時代に、ハレー彗星見たさに買っていた天体望遠鏡と同じ機種です。
買ったはいいけれど使いこなせないということで当時大学の売店で働いていた家内の友人が毎月天文ガイドを買っていた私に「使い方を教えてもらえないか」と声をかけてきたことが知り合うきっかけでした。
今も自宅の押し入れに保管されているので必要ない物なのですが、状態が悪く、見ていてなんとなくかわいそうに感じてしまいました。

鏡筒(ファインダー付き)、赤道儀、三脚がそろっていましたが残念ながらバランスウエイトの軸とバランスウエイトはありませんでした。
家内が購入したものは三脚がアルミ製でしたがこちらは木製でさらに古い時代の物のように見えました。
主鏡には埃が乗っていて一部にはカビも生えていました。
価格は5,500円でした。

少し悩んだのですが、付属品がMizar(日野金属産業 :現ミザールテック)の接眼レンズ2本(プラスチック筐体で形式不明の20mmと12.5mm)ビクセンのK40mm、Or12.5mm、Or5mm、Or4mmと盛りだくさんで付属品だけでも5,500円以上の価値があると考え思い切って購入しました。

三脚と赤道儀がこちら(まだ車に積みっぱなしです)

埃が付着していて微動ハンドルやネジはさびが浮いています。
でも動きはスムーズでしたので清掃・整備すれば十分使えます。

鏡筒はこんな感じでかなり汚れや塗装剥がれがあります。
でも外観は性能に影響しませんので気になりません。
清掃すればきれいになるでしょう。


付属品がこちらです。


極軸望遠鏡は無いのですが明視野照明のアダプタとペンライト(下側)が付属していました。
Or4mmはビクセンのマークがありますが、かなり古い型のようです。
K40mmは36.4mmねじ込み式で大きく存在感があります。
このK40mmを使った場合、主鏡の焦点距離が600mmなので倍率は15倍になります。
15倍はかなりの低倍率ですので使っていた方は星雲や星団を観察されていたようですね。
短焦点の反射望遠鏡は惑星など高倍率での観察には不向きなのでK40mmは望遠鏡の特性を生かした良い組み合わせだと思います。

主鏡を取り外してみると全体に埃が積もって白くなっていて一部にはカビが生えており清掃が必要でした。(画像よりも全体がもっと白っぽく見えました)
どの程度綺麗になるか予測ができないレベルです。


埃の中に砂などの固いものが入っている恐れがあり、横方向にこすってしまうとアルミ蒸着してある反射膜を傷つけてしまいます。

仕事では、光学部品の埃や汚れを取り除く「ファースト コンタクト」という光学部品クリーニング用の液を使うことがあります。
液を塗って乾燥するとビニールのような膜になり、剥がすことで汚れを一緒に取り除くという物です。
これを使えば良いのですが、結構な値段なのと有機溶剤が入っていて乾燥するまでかなり匂うので一般家庭には向いていません。

そこで木工用ボンドを使って取り除くことを考えました。
なぜ木工用ボンドにしたかというとYoutubeで木工用ボンドを使ってさび落としができるという動画を見ていたからです。
鉄のさびている部分に木工用ボンドを塗って乾燥後、剥がすときれいにさびが取れていました。
木工用ボンドは水性なので失敗したら水に漬ければ柔らかくなるので取り除くのは簡単と考えました。

100円ショップで100g入りの木工用ボンドを購入して表面をこすらないように気を付けながら塗りました。


約2時間乾燥させて全体が透明になったので剥がすことにしました。



ここで誤算がありました。
木工用ボンドの接着力なんてそんなに強くはないだろうと高を括っていたのですが予想以上に強く貼り付いていてなかなか剝がれません。
最初はセロテープを貼ってみたのですがびくともしません。
布ガムテープを思い切り強く押し付けてやっと一部が浮いてきました。
周囲の面取りされている砂目部分が特に強力に貼りついていましたので鏡面を傷めないように注意しながらデザインナイフで削ってから剥がしました。
厚く塗ったのもはがれにくい要因の一つのような気がします。


乾燥した木工用ボンドは柔らかいビニールのように伸びてしまうので強く引っ張るとちぎれてしまいます。
もう一度同じ作業をする際はガーゼのような目の粗い布を一緒に貼り付けてしまえば剥がしやすいのではないかと思いましたが後の祭りです。
ガーゼを載せて上からもう一度木工用ボンドを塗れば良かったのかもしれませんがこの時点では思いいたりませんでした。

何とか剥がしてみるとこんな感じでムラがたくさんありました。


木工用ボンドが残っているのなら良いのですがアルミ蒸着膜を剥がしていたら大変です。

恐る恐る洗面器に入れて水を張り台所用洗剤を入れてしばらく放置しました。
その後、一旦取り出し水道水をかけ流した後、再び洗面器に入れて刷毛を使って表面をやさしくなぞって洗い流すと結構きれいになりました。


右上の白い点はカビがあった部分で(大きいカビの右上にあったカビのところ)反射膜が剥がれていました。
ただ、小さいのであまり影響しないと思われます。
このぐらいきれいになれば本来の性能を発揮できそうです。

組付けて天気の良い日に星を観察してみようと思います。
梅雨に入っていてしばらく綺麗に晴れそうにないので先のことになりそうです。

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