3Dプリンターを使い始めてデータ作成に3D-CADを使っています。
3D-CADと言えば少し前ならSolidWorksというソフトが有名でした。
価格はかなり高く1年間のライセンス料が最低でも50~60万円、解析用のアドオンツールを組み合わせると100万円をすぐに超えてしまう(しかも年額)という高価なソフトです。
最近ではSolidWorksを販売しているAutoDeskからサブスクリプション契約のみのFusion360という比較的安価(8,800円/月、71,500円/年)な別のソフトが販売されていて個人で非商用利用であれば無料で使えるのでこちらの無料版を使っている人が多いようです。
その他ではオープンソースで開発されているFreeCADの利用者も多いようです。
最初は勤務先で導入されているSolidWorksを使わせてもらったのですが、さすがに業務以外で使うのはまずいのでFusion360の無償版を使い始めました。
Fusion360の無償版は機能が豊富で良いのですが、基本的にデータをメーカーのサーバーに保存する、いわゆるクラウドに保存する形になっている点が気になります。
ローカルフォルダーに保存することもできますが、履歴データがなくなるので後で変更箇所を遡るという機能が使えなくなるという制限付きになるようです。
また、編集可能なデータは10個までとなっており、10個を超えたデータを編集する場合はそれまでに保存したデータの1つ以上を編集できない状態に変更しなければなりません。
データが消えるわけではないので編集可能/不可能の切り替えをする手間の問題だけで慣れてしまえばよい話ではあります。
クラウド前提ということはネットにつながっていないPCでは使えないというのも使い勝手が悪いと思います。
(起動時にネットでログインが必要)
FreeCADは機能が多すぎて使いこなすのが大変という解説がたくさん出てきます。
簡単に使えるもっと良い3D-CADはないものかと探したらRS-コンポーネンツという電子部品の通販会社が出しているdesign spark mechanical が商用利用可能でほとんど制限なく使えるということがわかり使ってみることにしました。
RS-コンポーネンツはプリント基板作成用のCAD、design spark PCBというソフトも無償で提供しており、商用利用の制限が無いので仕事で簡単なプリント基板の設計で使っています。
機能豊富でとても無償のソフトとは思えないレベルです。
これもdesign spark mechanical を使ってみることにした理由です。
design spark mechanicalはSpaceClaimという3D-CADメーカーとRS-コンポーネンツが開発した3D-CADのようでSpaceClaimの機能制限版ということのようです。
「このソフトウェアはDesignSpark自身で開発されたものですか?」で検索すると説明が出てきます。
機能制限版ということから扱えるデータ形式が少ないのですが、3Dプリンターで使うSTL形式で出力可能なので自分で設計したデータであれば3Dプリンタで造形可能です。
SolidWorksやFusion360と大きく異なる点は保存したデータの履歴を遡れないということです。
SolidWorksやFusion360は操作した履歴の情報がファイルに含まれているため保存してあったファイルを読み込んで前の状態に遡ることが出来ます。
design spark mechanicalにはこの機能がありません。
ソフトのハングアップによるデータ消失に備えてこまめにファイル名を変えて保存していればこの機能が無いことを補えると思います。
design spark mechanicalの一番のポイントは無償かつ商用利用可能というところで設計したデータで造形したものを販売しても問題がありません。
Fusion360の無償版は商用利用不可でしかもメーカーのサーバーにデータを保管するので規約に反して商用利用すると簡単に発覚する恐れがあります。
リタイアに向けて副業として便利なものを作って販売することを考えているので商用利用可能なことは重要です。
FreeCADも商用利用可能のようです。
もう一つのメリットは機能限定版ということで動作が軽いといわれていることです。
動作が重くなるような複雑なものを作るつもりはありませんが低いスペックのPCでも安定に動作するということなのでクラッシュしてデータが消失するという可能性が低いと思われ安心感があります。
操作方法がSolidWorks、Fusion360、design spark mechanicalそれぞれ違っているので使いこなすには時間がかかりそうです。
使い始めて一番困ったのが拡大縮小表示させる時のマウスホイールの回転方向がMicrosoft Officeなどと逆になっていることでした。
設定画面で探しても切り替える項目がありませんでした。
日本語で検索しても参考になる情報は出てきませんでした。
そこで、英語で検索したところ、design spark mechanical のホームページのユーザーフォーラムと思われるところの質問への回答に情報がありました。
回答通りに設定すると無事マウスホイールの向きを他のソフトに合わせることが出来ました。
変更するには設定ファイルを書き換える必要があります。
変更方法は以下の通りです。
まず、エクスプローラの表示設定で隠しファイルを表示できるようにします。
(定番のやり方ですね)
次に、design spark mechanical が起動していない状態で設定ファイルの場所を表示させます。
ファルダーのユーザー名のところは使っている人のユーザー名になりますので人それぞれで違います。
SpaceClaimというフォルダーに入っていることがSpaceClaimが開発していることを物語っています。
設定ファイル「user.config」をメモ帳などで開きます。
「DownWards 」で検索して「ZoomInWheelDirection」の下の「DownWards 」を「Upwards」に変更して上書き保存します。
隠しファイルを表示させたくない場合はエクスプローラの「隠しファイルの表示」のチェックを外しておきます。
design spark mechanicalを起動してマウスホイールの動作が反転できたことを確認すればOKです。
この程度の切り替えであれば設定画面に項目を入れておいてほしいところです。
design spark mechanicalの操作自体は直感的なので覚えるのは簡単で、とりあえずモデルを設計することはできるようになっていますが、出来上がったものを編集する操作にわからないところがあってまだ四苦八苦しています。
しばらく使ってこのまま使い続けるか判断することにしています。
(操作がわからずイライラが続くとFreeCADに走るかもしれません)