これまで3Dプリンター用データの作成にDesign Spark Mechanical (以下DSMと表記)を使ってきました。
DSMを使う前にFusion360の個人用無償版を使いました。
Fusion360の個人用無償版は商用利用不可であること、データをFusion360のクラウドに保存しなければならないこと、同時に編集可能にできるファイルが10個まで(10個を超えたデータは編集できない状態にして保存しておくことは可能で後から編集可能にすることが出来る)という制限があったので商用利用可能な完全フリーのDSMを使ってきました。
しかし、DSMでネジを作ろうとするとネジ山の形を作ってそれを回転させるというやり方で非常に手間がかかります。
Fusion360にはネジ穴のコマンドがあり、穴や円柱を指定すればミリメートル規格のISOネジやインチ規格のユニファイネジ、ウイットネジ、水道管などで使われているテーパーネジなど、規格に準拠したネジであれば簡単に作れます。
そこでもう一度Fusion360を使う事にしました。
これまでDSMで設計したデータをFusion360で使えると便利です。
先日の記事でDSM6のデータファイルから拡張子「.x_b」のファイルが取り出せる事を紹介しました。
Fusion360でもインポート可能ということでしたので試しました。
結果はプレビュー表示はできたものの残念ながらインポートできませんでした。
良く調べてみたら無償版Fusion360には機能が無い事がわかりました。
https://help.autodesk.com/view/fusion360/JPN/?guid=TPD-SUPPORTED-FILE-FORMATS
オンラインで変換する方法があったのですがアップロードしたデータは誰でも見られる状態になると言うことで抵抗があります。
https://help.autodesk.com/view/fusion360/JPN/?guid=TPD-SUPPORTED-FILE-FORMATS
オンラインで変換する方法があったのですがアップロードしたデータは誰でも見られる状態になると言うことで抵抗があります。
他に方法が無いかと探したらSTLファイルを変換して編集できるという話しがありました。
STLファイルは立体を多数の平面の組合せで表現したデータでサーフェースモデルと呼ばれる形式のデータになっています。
3Dプリンターで造形する際にはSTLファイルに保存してデータ変換させるスライサーソフトで読み込みます。
このデータが編集できれば問題ありません。
サーフェースモデルは表面のデータだけなのでサイコロ状の立方体の場合は中身のない紙の箱のような形になります。
Fusion360などの多くの3D-CADで扱われるデータはソリッドモデルと呼ばれる形式で外形だけでなく内部の情報も持たせたデータです。
ソリッドモデルの場合は材質を決めてやることで重さを計算させることが出来ます。
ソリッドモデルの場合は外形として球面や円筒面などの曲面を取り扱うことが出来ます。
STLファイルを3D-CADで編集するためにはサーフェースモデルからソリッドモデルへの変換が必要になります。
例えば円柱の場合、STLファイルでは側面は細かい細長い平面の組み合わせで表現されています。
これを円筒面に変換する必要があります。
Fusion360は2021年7月のアップデートでサーフェースモデルからソリッドモデルへの変換機能が強化されたそうです。
下記の記事を参考に試してみたところ、うまく変換できました。
STLをソリッド化してSTEPで保存する方法【Fusion360を使用】 | 新田設計
過去に設計したデータが再利用できるのであればDSMにこだわる必要がなくなるのでFusion360に完全移行することにしました。
過去に設計したデータが再利用できるのであればDSMにこだわる必要がなくなるのでFusion360に完全移行することにしました。
編集可能な状態にしておけるファイル数は10個と制限されていますが、1つのファイルに関係する部品を何個か配置しておけば何とかなります。
(ファイルは重くなり開いたり保存したりに時間がかかるのが欠点です)
無償版は商用利用不可となっていますが、個人で3Dプリンター製作品を販売するなどの利用方法であればスタートアップ企業向けのFusion 360を申請する方法があるようです。
申請が通ればしばらくは無償で商用利用できますので、事業が軌道に乗ったら製品版(71,500円/1 年)を契約すれば良いですね。