ロートル技術屋の日記

羽田空港事故 避けられた可能性 犯人探しはやめましょう。

元日の能登半島地震の翌日、2日に起きた羽田空港の日本航空機と海上保安庁機の衝突事故には本当に驚きました。
まさか日本の空港でこのような事故が起こるとは思ってもいませんでした。
いろいろな情報から海上保安庁機のミスの可能性が高まって来ました。
最終的な事故原因は事故調査委員会の報告書で公表される事になり時間がかかると思います。

日本航空機の乗客乗員、全員助かったのは幸いでした。
しかし、海上保安庁機の5人の方がお亡くなりになり、日本航空機の助かった方の中には怪我をされた方がいます。
お亡くなりになった海上保安庁機の方々の御冥福をお祈りします。
また、怪我をされた方々にお見舞い申し上げます。

以前、CS放送の有料チャンネルを契約していた時にナショナルジオグラフィックチャンネルで放送していた「メーデー!:航空機事故の真実と真相」という番組を見ていました。
過去に起きた航空機事故の発生状況と事故原因、その後の対策を紹介する番組です。
技術的な興味と自分も乗ることがある飛行機の安全性を知る為に見ていました。
番組表で確認したところ、現在でも放送されているようです。

過去の航空機事故の原因はいろいろあります。
航空機での旅行が始まった頃は機体の構造上の問題や知られていなかった気象上の問題が多くその都度技術的な改善や運用方法の変更がなされ安全性が高まって来ました。

最近の事故の多くは人的ミス(間違い)が原因でした。
パイロットのミス、管制官のミス、整備員のミス、製造時のミス、空港管理上のミス(標識の不備等)などなどです。
一つのミスが事故につながる訳ではなく、複数の要因が重なって事故が起きています。
事故原因を究明し同様の事故を起こさないようにすることが一番大切なことです。
人は思い込みなどでなにかしらミスをするものです。
ミスすることを前提にいろいろな対策がなされています。

事故のニュースを見た時に疑問に思ったのは滑走路には侵入を制限する信号機のようなものが無いのかと言うことでした。
ネットで調べてみたところ、信号機は設置されていたものの当日はメンテナンス中で動いていなかったという情報がありました。
本当かどうか、確実な情報ではありませんが、もし、これが事実なら不運としか言えません。

また、大きな航空機には衝突防止システムのTCASが搭載されています。
これは飛行中に近くにいる航空機の位置と飛行状況から衝突の可能性を計算し衝突回避の方法をパイロットに知らせる装置です
空港には多数の航空機が存在するので着陸時にはTCASをOFFにしている可能性がありますが同様のシステムが作動していれば衝突を回避出来たかもしれません。

航空機にはトランスポンダーと呼ばれる装置が搭載されています。
トランスポンダーはレーダーの問い合わせ信号に対し信号を送り返すもので、単純なものは離陸時に割り当てられた番号を送り返すだけですが、ADS-B対応のものはGPSの位置情報を送り返すようになっているそうです。


単純なものでは複数のレーダー基地の情報から位置を計算する事ができるそうですが、地上にいる時は受信できるレーダー基地が限られる為、精度が落ちるそうです。
(下記のリンク先に解説があります)

ネットには世界中の航空機の位置を確認出来る
Flightradar24というサイトがあります。
これは航空機のADS-B信号を直接受信したり公開されているレーダーによる位置情報を取得したりして位置情報を表示しています。
Flightradar24の当日の情報では海上保安庁機の位置が表示されていなかったそうです。
これは軍用機や政府関係機などが表示されないように登録されているからだったそうです。
別のサイトでは表示されていたということですが、海上保安庁機にはADS-Bが搭載されていなかったそうです。


TCASはADS-Bの信号にも対応しているので、海上保安庁機がADS-B対応のトランスポンダーを搭載していれば日本航空機が認識出来たかもしれません。
また、管制官のレーダーに映らなかったのはADS-B対応ではなかったからと思われます。
海上保安庁機がADS-B対応のトランスポンダーを搭載していれば管制塔のレーダーに表示され事故は避けられたのかもしれません。

今回の事故は不運にもいろいろな対策をすり抜けて起きてしまいました。

ネットやマスコミの一部では助かった海上保安庁機の機長の責任を追求する動きがあるようです。
これまで公表されている情報からすると致し方ない状況ですが、まだ本当の原因は解明されていません。
海上保安庁機に大きな責任があったとしても故意に起こした事故では無く、機長は同僚を亡くされた責任感にさいなまれる事になるのは明白です。
機長が自ら命を断つような事があってはなりません。
犯人探し、誹謗中傷はやめるべきだと思います。

今回の事故を教訓に、より安全な航空機の運行が出来るようになることを願っています。


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