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ところで、2つに分かれて争うのが民主主義だという考えこそは、実は本当の民主主義を封じ込めるものだったのだ。
ザハロワが言っているのは、まさにそのことだ。
この数年、ウィルスだとかロシアだとか反グローバリストだとか、あるものが悪者にされて、それと戦うのが民主主義であり自由だという概念が植えつけられてきた。
それで、民主主義と自由のためにと戦っている人たちが、異なる意見をすべて否定して、弾圧し始めるという、まさに独裁的な行動に出るのを、私たちは目の当たりにしてきた。
BRICSが世界的に注目されるようになって、そのあり方を見ていると、民主主義とは争うことではなく、たがいに尊重し合い、協調し合うことだということが、理屈ではなくわかる。
何が正しいかにこだわることではなく、受け入れ合うことなのだということが。その結果、BRICSでは、ある国が無理して合わせるということもなく、ともに豊かになるような関係性が広がっていくようだ。
そうした風景を見るのは、分かれて争うことが民主主義だと思っていた私たちには、新鮮な驚きだ。
本当はこうしたものこそが民主主義だったのだ。そのことが、だんだんと納得できていく。
ウクライナの紛争を終わりにすると言っているトランプが大勝したことで、ウクライナ支援を強行していた国では、波乱が起きているらしい。
バイデン政権は任期が終わる前に急いで何十億ドルだかをウクライナに送ろうとしているらしいし、ドイツ政府は負債の上限を外すことに反対している財務大臣を降ろして、ウクライナ支援にお金を流そうとしている。
このことについてドイツの副首相は、「いろいろな解決法があるのに、財務大臣はそれを拒否した」と言っていた。そして、「負債の上限を外してウクライナ支援することが、正しい答えなのです」と。
いろいろな解決法があると言っておきながら、たった一つの答えが正しいと言っているのだから、まったく矛盾している。
しかし、これこそは、民主主義のためにと言って、独裁を行う傀儡政治家たちがよく使う論理なのだ。
皆の意見を尊重するべきです、と言って、相手には自分たちの意見を尊重することを要求するけれど、自分は相手の意見を尊重するつもりなどさらさらない。
あるものを悪者にして、それが民主主義の脅威だという考えを植えつけると、大衆を思うように操作することができてしまう。
こうした手法はこれまでもずっと使われてきたけれど、コロナのときに、それが意図的に使われていた大衆操作法だったことを、多くの人たちは初めて知ることになった。
危険なウィルスが流行しているというイメージを植えつけることで、予防する薬を売るのは、製薬会社がいつもやってきた大衆操作法だった。
それが2022年からは、ロシアが脅威だという話になり、ウクライナ支援に巨額のお金が流れ、多くの兵士たちが送り込まれることになった。
このときも、ロシアは独裁国だから、民主主義の脅威だという話になっていた。
現実には脅威ではないものを、脅威だと思い込ませることで、人を集団的に操作することができ、自分や家族の身を犠牲にすることさえさせてしまえるようになるのだ。
こうしたことについては、2020年にベルリンで政府のコロナ対策に抗議する大規模デモが開かれたとき、ロバート・ケネディ・ジュニアがアメリカから飛んできて、スピーチしたときにも言っていた。
ナチは恐怖を与えることで、人々を操作してきたのだと。
そのケネディ・ジュニアが、今回の選挙ではトランプ支持にまわり、トランプ政権のチームとして、アメリカの保健機関を管理することになったのだ。
これはつまり、少なくとも医療や食品の部門で、あるものを悪者にして、ある一つだけの答えが強制されるやり方が解体されていくということを意味している。
トランプのチームはそれだけでなく、CIAやFBIの解体ということも言っていた。
こうした安全保障の機関は、あるものが脅威だというプロパガンダを作り出すのに、これまで使われてきたのだ。
それによって、ある国が独裁で脅威だということにされ、それと敵対するのが民主主義だと人々に思わせてきた。
アメリカの巨額の税収は、こうしたプロパガンダを作り出したり、防衛のためのあらゆるものに使われてきたのだ。それでいつも、争って戦っている状態が作り出されてきた。
西側諸国の主流メディアは、トランプが危険な独裁者であるかのような印象を作り出していたから、トランプが勝利したことで恐ろしいことになったと思い込んでいる人たちもたくさんいた。
しかし、アメリカの多くの人たちは、そうした印象操作にさらされながらも、トランプに投票したのだ。
それが圧倒的な支持率になったことがわかったとき、これまでアメリカで民主主義を封じ込めてきたものが、魔法のように解けてしまったかのようだ。
独立系のジャーナリストたちは、「西側主流メディアは視聴者の信頼を決定的に失った」と言っていた。
トランプが危険でハリスが正義だという印象を作り出して、ハリスが当選するように予測していたのに、それがまったくの見当違いだったことがわかってしまったからだ。
見当違いというより、意図的に作り出された印象だった。
トランプが圧勝したとき、まさにそうしたカラクリが表に出てしまい、世界がその呪縛から抜け出てしまったようだ。
私たちはこれまで、こんなこけ脅しにいつも騙されてきたのだ。そのことが、手品のタネ明かしをするように、見えてしまったような感覚がある。
トランプが勝ったことで、右が左に勝ったというようなことではなく、対立そのものが消えてしまったかのようなのだ。
それによって、これまで対立して争っていたのが、実は作られたものにすぎなかったことが見えてしまった。
そして、民主主義はまさにこうした見せかけの対立によって封じ込められてきたのだということが、これによって表に出てしまったかのようだ。
昨年のロシア大統領選挙では、プーチンが80%以上の支持率で当選した。
そんなことは、対立が民主主義だと思っていたら、独裁にしか思えない。
ところが、ロシアはアメリカと違って、作られた対立構造がないのだ。
プーチン政権は、右とか左とかいうようなある一つのイデオロギーに従っているのではなく、なるべくすべての国民が満足するようにやっているだけだ。
民主主義は、つまりは民が主である政治のことを言っているのだから、人々の希望を聞いて、皆が満足するようにすればいい。
それがうまくできる政治家が、人々に支持されて選ばれる、というだけのことだ。
そこには何が正義だとか何主義が正しいといったことはない。
ただ、皆の望みが尊重されるという信頼感があるかどうかだけだ。
アメリカ政府はこれまで、そうしたロシアみたいな国が独裁国だという印象を作り出すことで、民主主義を封じ込め、たがいに争わせることで、実は人々を独裁的に支配してきた。
ところが、今回の選挙でトランプが圧倒的な差をつけて勝ってしまったとき、アメリカは二極対立で争う次元を越えてしまったようだ。
マリア・ザハロワは、それを感じたから、「アメリカは分断して争うのをやめるべきだ」と言ったのだろうか? 民主主義は西洋で生み出された概念だけれど、長いこと本来の姿を封じ込められ、利害関係で争うようなことにすり替えられてきた。
それが、今回の歴史的な選挙で、ついに封じ込めが解けて解放されてしまったようだ。
プーチンとトランプ。2人とも話し合いができる器。
降ろされたドイツの財務大臣。イジメに遭って困った風な表情。
財務大臣を降ろしたことについて説明する副首相のハーベック(左)と外務大臣のベルボック(右)。2人とも不寛容な攻撃的な表情。
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