最近、Dolce & Gabbanaの展示会「From the Heart to the Hands(心から手へ、そして美へ)」に足を運び、強い感銘を受けました。
この展示会では、ミラノの街とその文化にインスパイアされた壮大な作品が数多く展示されており、
その中でも特に私の目を引いたのは、金色のマクラメレースとフィリグリージュエリーを施したドレスでした。
このドレスは、ミラノという街へのオマージュとして制作されたものです。
全てのデザインが、ミラノの中心に位置するアトリエで手作りされており、ミラネーゼの魂と伝統が詰まっています。
このドレスは、単なる美しいファッションアイテムというだけではなく、ミラノの歴史や建築、そして精神性までもが反映されたアートです。
シルエットはガレリア・ヴィットリオ・エマヌエーレ2世のドームを彷彿とさせるものになっています。さらに、この作品はミラノ大聖堂の最も高い尖塔に立つ「マドンニーナ」の黄金像に敬意を表しており、単なる日常の美を超えた、世界を変える力を秘めたエレガンスの追求が感じられます。
この作品を見たとき、私はすぐにバイオリン製作と重なる部分があることに気付きました。
バイオリン製作もまた、心から手を通して、楽器に命を吹き込むからです。
各工程は緻密でありながらも、最終的な音の響きに大きな影響を与えるため、決して妥協が許されません。
このような根気の積み重ねが、楽器の音色を美しく作り上げ、まるで意思を持って生きているように豊かな表現力を持たせるのです。
イタリアのルネサンス絵画にインスピレーションを得た作品たち
アトリエの再現
ブラックコーデ
ビザンチンのモザイクにインスピレーションを得た作品
本物の鳥の羽がデコレーションされたスカート
Dolce & Gabbanaの展示会で見たこのドレスは、まさにそうしたクラフトマンシップの集大成でした。伝統と現代の技術が融合し、全く新しい形で表現されている様子に、改めて職人技の素晴らしさを感じました。
これは私がバイオリン製作を通じて目指していることとも重なり、より一層、情熱を持って製作に取り組もうという思いを強くしました。
バイオリン製作も、同様に心から手へ、そして音楽へと繋がるプロセスです。一つひとつの工程が、最終的な響きに大きな影響を与える。
その積み重ねが、楽器に命を吹きこむのです。クラフトマンシップの本質を改めて感じさせられました。